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» 2008年11月20日 20時27分 UPDATE

家の中に“メッシュ”ネットワークを――QuantennaがIEEE802.11nチップを発表

PCやテレビをはじめ、ゲーム機、携帯電話など家の中で無線を使う機器が増え続けている。これらがハイビジョン映像のリアルタイム伝送などに影響を与えないよう、メッシュネットワークを構築できる無線LANチップが登場した。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 Quantenna Communications(クアンテナ・コミュニケーションズ)は11月19日、IEEE802.11n準拠の無線LANチップセット「QHS」シリーズを発表した。増え続ける無線LAN機器がハイビジョン映像伝送などのアプリケーションを阻害しないよう、新たにベクトル・メッシュ・ルーティング機能を装備。ホームネットワークにメッシュ構成を持ち込むことで、干渉が起きた際には“迂回路”を選択できるようにする。

photophoto クアンテナのベルーズ・レズバーニ会長兼CEO(左)とベクトル・メッシュ・ルーティングの概要(左)

 クアンテナの創業者で現在も会長兼CEOを務めるベルーズ・レズバーニ博士は、「日本の家屋では、多くの薄い壁があり、過度の干渉を受けやすい」という。同様に、欧州の家庭では“壁の厚さ”が、北米の家庭では広さが無線LANのカバレッジを下げる要因になっていると指摘する。「1つの電球ですべての部屋を明るくすることができないように、1つのアクセスポイントですべての部屋をカバーすることは難しい」(レズバーニ氏)。

 同社の提案は、「高速プラグ」と呼ばれる小型の中継ノードを宅内に複数設け、アクセスポイントやほかのエッジノード(PCなど)とともにメッシュネットワークを構築するというもの。同氏が持ち出したプラグのリファレンスボードはマッチ箱程度の大きさで、電源部を取り付けるだけで「高速プラグ」が完成。これを宅内の電源コンセントにいつか挿しておけば、ルーティング機能を持った中継ノードとなる仕組みだ。「サイズは一般的なアクセスポイントの10分の1程度。このプラグを壁に付けるだけで家庭内にメッシュノードができあがる」。

photophoto 「高速プラグ」のリファレンスデザイン(左)と同社製無線LANチップ

 またQHSシリーズには、最大4×4のMIMO(Multiple Input Multiple Output)およびTxビームフォーミングといった機能もあり、従来の無線LANチップに比べて格段にカバレッジを広げた。「伝送範囲は、現在入手できる3×3 MIMOの2倍。データ転送速度も2倍。同じデータレートならカバレッジは4倍になる」(同氏)。これをメッシュルーティング機能と合わせ、チャンネルや出力、アンテナを動的に割り当てることで、さらに電波干渉を抑え、ハイビジョン動画伝送などをスムーズに実行できるようにする。

スループットは最大600Mbps

 発表された無線LANチップは3種類。いずれもベースバンド、RF、ARMベースのネットワークプロセッサなどを統合したものだ。5GHz帯を使う「QHS600」は、最大600Mbpsのリンクスピードと最大400Mbpsのスループットを持ち、アンテナはシングルの4×4またはデュアル2×2のMIMOアーキテクチャをサポート。また2.4GHz帯の「QHS450」は、リンクスピードが最大450Mbps、データ転送速度は最大200Mbpsで、QHS600と同じアンテナコンフィグレーションに対応する。さらに上記の2つをICC接続したデュアルバンド仕様の「QHS1000」も用意。こちらはデュアル4×4もしくはクアッド2×2に対応し、リンクスピード1Gbps、スループットは最大600Mbpsに達するという。

 クアンテナでは、12月からサンプル出荷を開始する予定。国内では、技術パートナーであるバッファローと検証を進めているという。レズバーニ氏は、「2009年の5月から7月ころには同チップを搭載した製品が登場するだろう。802.11nのワイヤレスネットワークを介してリアルタイムの動画配信を実現する、他社の1年先をいくソリューションだ」と胸を張った。

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