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» 2008年12月08日 12時45分 UPDATE

複合機08-09年モデル徹底検証:第1回 今年は複合機の“当たり年”――最新モデルの傾向と注目機は? (1/4)

「デジカメで撮影した写真や年賀状を手軽に美しく印刷したい」というニーズに応えるA4複合機の最新ラインアップが出そろった。今年はどれを買う?

[榊信康,ITmedia]

見どころ満載の複合機最新モデルを攻略する

 今年も年末に向けて、個人向けインクジェット複合機の新モデルが多数発売され、市場をにぎわせている。従来機から大きな進化が見られなかった昨年のモデルと比較して、今年は外観や中身がガラリと変わったモデルが目立ち、まさにプリンタの「当たり年」といえる。

 本特集では国内フォトプリンタメーカーの三傑であるエプソン、キヤノン、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の新製品から注目のモデルをピックアップして、じっくりと比較・検証していく。年末年始にプリンタの購入を検討している人はもちろん、既に購入した人もその実力をぜひチェックしてほしい。詳細な検証の前に、まずは各メーカーの動向をざっと述べていこう。

・「エプソン」――新しいカラリオは洗練された小型ボディがウリ

 今年、最も派手な動きを見せたのは「カラリオ・プリンタ」シリーズで名をはせるエプソンだ。8月にカラリオのブランドロゴを変更するとともに、そのコンセプトも一新した。これまでの「写真を美しく彩るプリンタ」から飛躍し、「暮らしをカラフルに彩るパートナー」を目指すという。

 抽象的だが、実際に投入された新型の複合機から判断すると、ハンドリング(取り扱いやすさ)の向上を重視しているようだ。従来のカラリオ・プリンタシリーズは画質の向上と多機能化に注力していた。ことに多機能化については、他社の追随を許さぬほどにどん欲だったが、機能の多さが操作の簡便さを阻害していた面も否定はできない。今回はこうした部分を見直し、多機能と操作性の両立を図っている。

 また、プリントエンジンを見ても、プリントヘッドとインクタンクを分離したオフキャリッジ機構やプリントヘッドの目詰まり対策を盛り込むなど、従来機では見られなかったアプローチを行っている。さらに、ボディを「生活空間との調和」に配慮したスマートなデザインに変更しつつ、給排紙機構の利便性を高めるとともに、大幅な小型化にも成功した。

 これらの要素を採り入れて生まれ変わった複合機が、型番に「EP」を冠す「EP-901F」「EP-901A」「EP-801A」の新生「マルチフォトカラリオ」だ。今年の複合機商戦でひときわ目を引く華やかな新モデル群といえるだろう。特に上位機のEP-901FとEP-901Aは、新たに7.8型タッチパネル式(液晶モニタ部は3.5型)の操作パネルと、薄型のADF(オートドキュメントフィーダ)をコンパクトボディに内蔵した意欲的なモデルとなっている。

tm_0812mfp1_01.jpgtm_0812mfp1_02.jpgtm_0812mfp1_03.jpg カラリオの新ロゴは“Colorio”の“i”が「わたし=ユーザー」を表現しており、その周囲に「安心」「快適」「キレイ」「スタイリッシュ」「環境」「未来」の意味を込めたカラーボールが並ぶ(写真=左)。上部にADFを装備し、タッチパネルでの操作が可能な「EP-901F」と「EP-901A」は、多機能ながらスタイリッシュなデザインが光る(写真=中央)。新型カラリオは電荷を加えたインク滴を電極プレートに吐出してドット抜けを検知する「自動ノズルチェックシステム」も備えている(写真=右)

・「キヤノン」――SUPER PHOTO BOXを小型化し、新インクを採用

 キヤノンの個人向け複合機「PIXUS MP」シリーズは従来の方針を継承しつつ、ブラッシュアップした印象だ。2004年に「SUPER PHOTO BOX」デザインを採用して以来、見栄えのする外観と省スペース性、使い勝手、そして印刷品位のバランスが絶妙に取れているので、この路線で進化させたのは当然の判断だろう。エプソンのモデルに比べて見た目の変化は小さいが、完成度は非常に高い。

 今年の目玉は画質向上への取り組みだ。新型の染料インク(BCI-321/BC-311)を採用することで全体の色域を広げ、特にレッドの領域(イエロー/レッド/マゼンタ)を拡大した。無論、文書印刷用の顔料ブラックインクも引き続き搭載する。新型インクの採用にともない、インクタンクを背の低いロープロファイル仕様に変更しつつ、両面印刷用の給紙ユニットの小型化、スキャナ部とプリンタ部の配置見直しなどの工夫で、ボディをより小型化しているのも見逃せない。

 さらに、フラッグシップモデルの「PIXUS MP980」はグレーインクをPIXUS MPシリーズとしては初めて採用することで、従来機との差別化を図った。これまでA4クラスのインクジェットプリンタでグレーインクを搭載した例は日本HPの「HP Deskjet 6840」があるが、Deskjet 6840のグレーインクがモノクロ印刷のためだったのに対して、MP980はカラー印刷にも用いられる。つまり、A3ノビ対応プリンタや大判プリンタと同様、カラー印刷の階調を整えるためにグレーインクを打ち込むという使い方で、色再現性、色安定性、粒状低減に貢献する。

 これら新型のPIXUS MPシリーズに対応した最上位グレードの光沢紙「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」が追加されたのもポイントだ。

tm_0812mfp1_04.jpgtm_0812mfp1_05.jpgtm_0812mfp1_06.jpg 主力モデルの「PIXUS MP630」は、従来機より奥行きと高さがさらに短くなった(写真=左)。新型のインクタンクは背が低いロープロファイル仕様を採用する(写真=中央)。グレーインクを採用した最上位機「PIXUS MP980」のインクカートリッジ部(写真=右)。エプソンの複合機とは異なり、プリントヘッドのキャリッジにインクカートリッジを装着するオンキャリッジ機構のまま小型化している

・「日本HP」――インクドロップの縮小で画質を向上

 日本HPの複合機はフラッグシップモデルこそ、昨年の「HP Photosmart C8180 All-in-One」が継続する格好となったものの、ミドルクラスの新モデル「HP Photosmart C6380 All-in-One」と「HP Photosmart C5380 All-in-One」で面白い動きがある。

 C6380とC5380は新開発のプリントエンジンを採用し、待望のインクドロップサイズの縮小を果たした。従来モデルは最小インク滴が5ピコリットルだったが、新たに1.3ピコリットルと5.2ピコリットルの2つの大きさで打ち分ける「デュアルドロップボリュームテクノロジー」を用いることで、ライトインクを省きながらも、苦手としていたハイライト域での階調描写がスムーズに行える。文書印刷用の顔料ブラックインクも健在だ。

 自動両面印刷の機能は省かれたものの、従来から高いコストパフォーマンスに定評がある日本HPの複合機「HP Photosmart All-in-One」シリーズに、印刷品質の改善が加わり、買い得感は確実に増している。

tm_0812mfp1_07.jpgtm_0812mfp1_08.jpgtm_0812mfp1_09.jpg 1.3ピコリットルと5.2ピコリットルのインク滴を打ち分ける5色独立の新インクシステムを採用している(写真=左/中央)。前面給排紙機構を備えたコンパクトなボディデザインは従来通りだ(写真=右)


 それでは、次のページから本特集で比較・検証を行う各社の複合機をざっと整理していこう。今回は売れ筋のミドルレンジモデルを中心に、見どころが多いハイエンドモデルも加えた計7機種を取り上げる。

 選にもれた低価格のエントリーモデルでもコピー/プリント/スキャンの機能を備えた複合機として十分使えるのだが、ミドルレンジ以上のモデルと比較して、性能や機能の差は少なくない。最新複合機の魅力を存分に味わいたいならば、やはりミドルレンジ以上のモデルがおすすめだ。

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