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薄型テレビはもっとエコになるエコプロダクツ2008

» 2008年12月12日 12時11分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2008」が12月11日に開幕した。東京ビッグサイト東棟の6ホールすべてを使用した会場には、過去最大となる758の企業と団体が出展。技術力で二酸化炭素の排出量を減らしつつ、利便性は損なわない現代的なエコ技術の数々をアピールしている。

 その象徴的な存在といえるのが薄型大画面テレビだ。ブラウン管などの旧型テレビと置きかえることで、より高精細で迫力のある大画面を楽しみながら、多くの場合は以前と同レベルか、それ以下の電力消費ですむ。例えばソニーブースでは、省電力を全面に押し出した“BRAVIA”「KDL-32JE1」と2年前のモデル「KDL-32J3000」を比較。JE1の83ワットという数値を二酸化炭素排出量や電球に置きかえ、子どもたちにも分かりやすく展示している。

photophoto シャープはBDレコーダー一体型のDX1ラインなどを展示(左)。パナソニックはビエラリンクによる節電をアピール(右)

 また、エコロジー素材やリサイクル性、節電機能など語る部分が多い薄型テレビについては、各社がそれぞれのアプローチで展示を工夫している。三菱電機は「REAL」シリーズが持つ光センサー連動の節電設定を詳しく解説。パナソニックは「ビエラリンク」によるシステム連携で電源の切り忘れといった無駄がなくなること。「UTシリーズ」で超薄型テレビを先導した日立製作所は、テレビ自体の薄さにより材料の削減や輸送時の二酸化炭素排出量削減が可能になる点をアピールする。Blu-ray Discレコーダー一体型の「DX1」ラインを投入したシャープはもちろん、“いっしょになって省エネ”だ。製品の特徴がそのままアピールポイントになっている。

photophoto 日立製作所はUTシリーズの薄さを全面に押し出す(左)。三菱電機は節電設定を詳しく解説(右)

 一方、参考展示の試作機からは、薄型テレビの未来像が見えてくる。例えばJVC・ケンウッド・ホールディングスでは、LEDバックライトを搭載した42V型試作機とCCFLバックライトの37V型を比較展示。画面の小さい37V型が200ワット前後であるのに対し、LEDバックライトの42V型は150ワット前後を示していた。画質面でもメリットの多いLEDバックライトだが、エコロジーという点でも見逃せない。

photo JVC・ケンウッド・ホールディングスのLEDバックライト液晶テレビ

 ただし、LEDバックライトはまだ高価でボリュームゾーンの製品に採用するのは難しい。そうした状況の中、東芝が参考展示したのは、CCFLを使用しながら消費電力を3分の2にした試作機。新しい光学フィルムの採用により、蛍光管の出力を絞っても従来と同程度の明るさを実現できるというもので、42V型ながら150ワットとLEDバックライト搭載機と同レベルの消費電力を実現する。試作機は42V型にくわえ、32V型、37V型をあわせて展示しており、「2009年の製品化を目指す」(同社)と話していた。

photophoto 東芝が2009年の発売を予定している42V型の省電力液晶テレビを展示(左)。32V型と37V型も用意されている(右)。CCFLバックライトを使用することにくわえ、比較展示がスタンダードモデルのCシリーズであることなどを考えるとボリュームゾーンに投入される可能性が高そうだ

 

 コンセプトモデルながら、26V型で40ワット以下という飛び抜けた数値を掲げていたのがシャープブースの「26V型低消費電力液晶TV」。テレビ自体の詳細は非公開だが、もう1つのポイントといえるのが“DC駆動”だ。

photophoto 26V型で40ワット以下というシャープのコンセプトモデル(左)。同じくDC駆動の「プラズマクラスターイオン発生機」

 これは将来的に家庭用ソーラーパネルが普及したとき、そこで生み出されるDC電源をACに変換せず、そのまま家電に回したほうが「ロスが少ない」(同社)という考え方。コンセント(AC)と共存するための「ハイブリッド電源供給コントローラ」や同じくDC駆動の「プラズマクラスターイオン発生機」「LEDライト」、家庭用ソーラーパネルなどをあわせて「DCエコハウス」をうたう。あくまで研究段階のコンセプト展示だが、家庭内発電とそれに見合う低消費電力の薄型テレビは、未来のリビングルームを想像させてくれる。

photophoto DCエコハウスの概要とAC/DCを共用するためのコントロールボックス(右)

 エコプロダクツ2008の会期は12月13日(土曜日)まで。開場時間は10時から18時(13日は17時まで)。入場は無料だ。

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