334×352×125ミリというエントリークラスのなかでも1、2を争うコンパクトなボディー。しかも、エントリーモデルではコストダウンのターゲットとなりやすい電動式フォーカス/ズームを採用した。頻繁に使う機能ではないが、スクリーンに思いっきり近づいて、リモコンでピッタリのピントとサイズを設定できるのは大変ありがたい。しかも“荒調整”“微調整”と2つのモードが用意されているので、コントロールも思うままに行える。
一方で、少々使いにくいと思ったのが、レンズシフト機能に関してだ。こちらも電動式なので調整自体はとても簡単なのだが、いかんせん上下方向にしか動かず、左右のスライドは用意されていないのだ。そのためプロジェクターを、スクリーンの真正面に設置しなければならず、部屋のカタチによってはHC5500を利用することができない。
天井からのつり下げ設置などではまず問題ないだろうが、テーブルなどに設置する場合はよく考えてレイアウトしなければならない。上下方向には50%ずつスライドできるので、その幅広さをうまく利用して適切な設置位置を見つけ出すのが得策だろう。それでも調整しきれない場合のためか、メニュー内にもレンズシフトとは別に水平/垂直位置調整が用意されている。左右の微妙な調整はこちらを使うのも手だろう。
ちょっとした工夫がうれしい部分もあった。それはレンズカバーで、HC5500はレンズ胴体ではなく、ボディに直接はめ込むタイプであるため、誤ってレンズに手が触ることはなく、見るたびに微調整を行う必要もない。こういった心づかいは、ほかのメーカーにも見習ってほしいものだ。
メニュー体系に関しては、決して難しい操作系ではないものの、項目的にかなりのマニアックさがうかがえる。他メーカーのエントリークラス同様、スポーツ、ビデオ、シネマという3つのプリセットモードが用意されているのだが、それで変更されるのはガンマカーブのみ。色温度や色合いなどは、同じ画質メニュー内にあるパラメーターを直接操作する必要がある。
明るさ調整も同様で、例えば明るくしたい場合、色温度を“高輝度”にするか、設置メニュー内のランプモードを“標準”に切り替えなければならない(どちらを使うかはケースバイケース)。調整幅が広いゆえに、かえって取っつきにくい内容となっているので、初心者や手慣れていない人は、ガンマ補正“オート”を使ってプロジェクター任せにするのが無難なようだ。
逆に細かく調整したい人にとっては、充実したメニューだといえるだろう。ガンマカーブや色温度などに加えて、オートアイリスやノイズリダクションの効かせ方、クランプ(黒つぶれ)など、さまざまな調整項目が用意されている。面と向かってじっくりつきあえば、自分好みの映像を作り上げられるはずだ。
リモコンの使い勝手は、可もなく不可もなくといった印象。ダイレクトボタンが多数用意されているので、操作の手早さに関しては文句のないところだが、ボタンが小さめで、しかも同じ形状のものがズラリと並んでいるので、ブラインドタッチはほぼ不可能。とはいえボタン自身が輝く照明もあって、暗いシーンでの使用時にも不便はなかった。
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