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3つのトピックで振り返る、2008年のデジモノ家電(後編)デジモノ家電を読み解くキーワード(2/2 ページ)

» 2008年12月25日 19時13分 公開
[海上忍,ITmedia]
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紆余(うよ)曲折を経てスタートした「ダビング10」

 「ダビング10」のスタートも、デジモノ家電分野におけるビッグニュースだ。地デジなどのDRMで保護された番組を録画しても、一定の条件下でコピー9回+ムーブ1回まで許されるようになり、それまでのコピーワンス(録画は一度きりでムーブは可だがコピーは不可)に比べ、消費者の利便性は増した。いまや当たり前の機能として定着した感もある。

photo 消費者不在との批判もある中、著作権者とメーカーの歩み寄りを受けて「ダビング10」がスタートした

 忘れてはならないのは、実際にダビング10がスタートするまでの経緯。当初6月2日のスタートが予定されていたが、著作権者とメーカー側の対立により、なし崩し的に延期が決定。最終的には7月4日スタートで落着したが、その経緯には「消費者不在」との批判も多く聞かれる。

 紆余曲折した背景には、録音録画補償金制度に関する著作権者側とメーカー側の意見の不一致がある。HDD内蔵型のポータブルオーディオへの課金をどうするかという、いわゆる「iPod課金問題」は、10月に見送りが決定されたものの、最終結論には至っていない。課金はメーカーのみならず消費者からの強い反発が予想されるだけに、事態の推移を見守っていきたい。

デジタルカメラは「連写」と「小型デジイチ」が話題に

 2008年に発売されたデジタルカメラのなかで、まず思い浮かぶのはカシオ計算機の“EXILIM PRO”「EX-F1」。超高速CMOSセンサーと高速LSIを搭載、最高で毎秒60枚という従来にない速さでの静止画連写を実現した。疾走する動物も地面で跳ねる雨粒も、肉眼では見分けられない「瞬間」をとらえることができる。デジタルカメラという映像機器の可能性を広げた、といっても言い過ぎではないだろう。

photophoto 毎秒60枚という超高速連写を実現した「EX-F1」(写真=左)、初のマイクロフォーサーズ機「DMC-G1」(写真=右)

 もう1機種挙げるとするならば、初のマイクロフォーサーズ機であるパナソニックの“LIMIX”「DMC-G1」だ。しかもミラーレス構造の採用など小型化を追求した結果、レンズ交換型でありながらも女性の手にも優しい小型サイズを実現してみせた。

 マイクロフォーサーズの普及はこれからだが、市場の活性化につながると期待する声も多い。時期は未定だが、オリンパスからもマイクロフォーサーズ準拠機の発売が予定されているので、楽しみに待ちたい。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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