いずれも、決して新しい発想・提案とは思わないが、誰もが必要であることを認識しながら、徹底しては実施できていないものが多い。ソニー自身も、CES Sevenを意識した社内改革は進んでいると感じているのだろうが、自己評価ではなく、外部からソニーは変化したといわれるようになる必要がある。
基調講演の中で紹介した製品や技術は、なるほど将来を期待させるものもあった。超小型の「VAIO type P」は、日本で製造するPCのあり方を問う製品といっていい力作だ。曲がる有機EL「Flex OLED」もアプリケーションの幅を広げるに違いない。40%の消費電力削減をうたうエコ機能対応の「BRAVIA VE5シリーズ」やバイオ電池。それにメガネのレンズに映像をオーバーレイするメガネ型ディスプレイ、3D映像技術など、さすがに基調講演の材料はそろえてきた。
しかし、確かに楽しさは演出されているのだが、個人的にはひと味の足りなさを感じざる。それは夢想と夢想を現実のものにするモチベーションを持ち続けることの大切さを訴えながら、ソニー自身が夢のような製品にチャレンジしようとしている姿勢を、具体例として示せなかったからだ。
「こんなとんでもない製品、よく試作しようと思ったものだ」とあきれるようなものを持ち込み、夢を与えることも必要だったのではないか。今回の基調講演は実際の製品、あるいは製品に近い技術が目立った。例えばAV機器メーカーとして有機EL(OLED)に命をかけているのなら、1枚でもいいから30インチを大きく超えるようなOLEDを展示し、未来を創造するのはソニーなのであると力を見せてほしかった。
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