――今後の価格トレンドはどうでしょう。普及速度が速いことをアピールしていますが、一方でやっと立ち上がった市場なのに、急激な低価格化が進んでいるようにも見えます
長尾氏:おそらく、今年は中国ブランドのBDプレーヤーも市場に入ってくるでしょう。低価格化は今後、彼らの製品がリードしていくことになると思います。これまではフォーマット戦争があったり、その後の市場立ち上げといった任務があり、ソニーが率先してプライスリーダーになってきましたが、それは本来のソニーの役目ではないと考えています。今後はプライスリーダーではなく、画質や機能などを重視した付加価値の高いモデルを販売する方向へとステップアップをしていくつもりです。
――ポストDVDという意味では、ダウンロード配信(→「2009 International CES」にみる映像ダウンロード配信の可能性)との競合は意識していませんか?
長尾氏:ダウンロードに関しては、北米のインターネット環境が関係しています。北米の家庭向け回線は、どんなに高速なサービスでもダウンロード速度で10Mbpsを超えません。したがって、市販レベルの高画質映像をダウンロードすることは、かなり厳しいといえるでしょう。帯域ごとに最適化できる(画質ではなくオンデマンドを狙う)ストリーミングの方が、より適していると思います。
――BDプレーヤーにIP TVの機能を取り込む方向もあるようです。“Blu-ray”の枠組みの中で、市販ディスクもネットコンテンツもサポートしていくといった商品開発のイメージはあるのでしょうか?
長尾氏:それは意識していますね。市販ディスクやダウンロードだけでなく、さまざまなメディアでコンテンツが供給される可能性はありますから、それらすべてを高画質に再生するためのプレーヤーといった位置づけは、今後注目されてくるでしょう。
――BDプレーヤーにはメモリもプロセッサも、なかなか立派なものを入れておく必要がありますから、ドライブを記録型にしてダウンロードコンテンツを記録するなどの方向もあるのでは?
長尾氏:HD映像のダウンロードサービスは、プレイステーション 3ですでに行っていますから、これに記録型ドライブを組み合わせれば提供できるかもしれませんね。配信する側のテンションは高く、少しでも多様な流通を確保しようとしていますが、近い将来に実現するかどうかは分かりません。
ただ、デジタル写真やAVCHD対応ビデオカメラで撮影した映像をPCレスでBDに記録する製品は、今回のCESで展示させていただきました。北米では録画機需要がほとんどないので、こうした製品でBDの大容量記録機能を生かそうと思います。
――経済情勢は厳しいままですが、今年はさらに伸びるでしょうか?
長尾氏:もちろん経済状況次第で、こればかりは正確に予想するのは難しいでしょう。しかし、厳しい中でも普通に推移すれば、大きな伸びが期待できると考えています。
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