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» 2009年01月21日 18時20分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.32:“AQUOS”の高級機「LC-65XS1」で観る「カジノ」の虚構の光 (1/3)

液晶テレビとプラズマテレビを比較する上で問題となっていた、暗所コントラストの弱さ。それを根本から解消するのが、LEDバックライトのエリア制御技術だ。シャープの65V型大画面テレビ「LC-65XS1」をじっくりと検証した。

[山本浩司,ITmedia]

 これまで液晶テレビの弱点として、動きボケ、視野角の狭さ、暗所コントラストの弱さなどが指摘されてきたが、それぞれの問題点が劇的に改善されつつある。動きボケについては中間フレームを生成してスムーズにつなぐ120Hz倍速駆動の一般化によって、視野角の狭さについてはIPSタイプの成熟によって、その違和感はかなり軽減されてきた。

 そして、プラズマテレビとの比較の上でも問題となっていた、暗所コントラストの弱さを根本から解消するモデルが、国内の液晶テレビ市場を牽引するソニーとシャープから昨秋発売された。LEDバックライトを採用し、それをエリア制御(部分点灯)し、メガコントラスト(100万:1)という超絶的なスペックを実現したソニー「XRシリーズ」とシャープ「XSシリーズ」である。

photo シャープ「LC-65XS1」

 今回は、その画質をじっくりチェックする機会のあったシャープの65V型大画面テレビ、「LC-65XS1」の魅力について迫ってみたい。

 LEDバックライト採用のXSシリーズは、52V型の「LC-52XS1」と65V型の本機の2モデル。超大型の「AQUOSプレミアム」という位置づけになるシリーズだ。採用された液晶パネルは、亀山工場製の倍速駆動対応10ビットタイプ。もちろん正面コントラストに強いVAパネルである。

 チューナー部とディスプレイ部をセパレートし、スピーカーもディスプレイの下部に専用キャビネットをあてがうというコンポーネント・スタイルが貫かれた本機だが、注目すべきはディスプレイ部の薄さ。液晶パネル後方にLEDバックライトを多数配置しながら最薄部で2.28センチを実現している。ディスプレイのフレームにもメタル素材を採用、スピーカーのステンレス製ネットと相まって、文句なしの高級感あるたたずまいである。

photophoto スピーカーは、ディスプレイの下部に専用キャビネットを使って装着されている

 7.7センチウーファーを1基備えたスピーカーは、資本関係にあるパイオニアとの共同開発品。シャープ独自開発の高効率な1ビットアンプで駆動されるそのサウンドは、専用キャビネットがあてがわれたこともあり、従来気になっていたひずみっぽさが一掃されたさわやかな音調。シャープのテレビとしては大進歩の音なのは間違いないが、映画を再生したときなど、ぼくの耳には音が薄味すぎて平板に聞こえ、面白みを感じない。静特性には優れるが、動的なダイナミック・コントラストに欠ける印象なのである。

 また、ハイビジョンの適視距離3H(画面高の3倍)の位置で聴くと、画面下から音が聞こえてくる違和感は否めない。この製品を出発点に、シャープ開発陣には「人の心を打つ音」を目指して研究を重ねてほしいと思う。

 さて、メガコントラストの実現をうたう画質だが、確かにその黒の表現力は、目を疑うばかりの見事さである。黒を表示するエリアはバックライトを点灯しないのだから、黒が黒く見えるのは当たり前なのだが、CCFL(冷陰極管)を光源に使って画面全体を一律に光らせていた従来製品の“光漏れ”による黒浮きを当たり前と思っていた目で実際に完全暗室でこの黒を見ると、「これがほんとうに液晶テレビなのか」と誰もが深い感慨を覚えるのではないだろうか。

 なお、本機の駆動エリアはかなり細かく区分されており、画面全体が暗く、一部に白ピークがあるようなシーンを見ても暗い部分は均等に沈み込んでいて、不自然さをあまり感じさせない。ここは明らかにソニーのXRシリーズをしのぐポイントだろう。

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