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“AQUOS”の高級機「LC-65XS1」で観る「カジノ」の虚構の光山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.32(3/3 ページ)

» 2009年01月21日 18時20分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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photo BD「カジノ」 発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 価格:4935円 (c) 2008 Universal Studios. All Rights Reserved.

 本作「カジノ」は、1970年代のラスベガスを舞台に、欲望に取りつかれた人間の愚かさを冷徹な目でとらえた実録ドラマ。流れるようなカメラワーク(撮影監督は「ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト」を手がけたロバート・リチャードソン)とキレのよい編集、ロバート・デ・ニーロ、シャロン・ストーン、ジョー・ペシなどの役者陣の好演で、3時間近い長尺映画ながら、最後まで飽きさせずに見せる娯楽大作である。

 BD ROMで見直して、改めて感銘を受けたのが、ロック、ジャズ、ソウル、ブルースなどの1960〜1970年代の黄金のアメリカ・ポピュラー音楽をストーリーに見事にリンクさせた音楽の編集の素晴らしさと砂漠の中にこつぜんと表れた欲望の街・ラスベガスにうごめく人間たちを描いた色彩設計の見事さである。

 スコセッシとリチャードソンが、ラスベガスの街と人間を人工着色したその映像を、本機LC-65XS1の「映画」モードはじつに見事に表現する。カジノの毒々しい照明、デ・ニーロの着るド派手なスーツ、シャロン・ストーンがうっとりと見つめる光り輝く宝石……。LED バックライト採用機ならではの鮮やかな色彩で、LC-65XS1はこの街の人間たちの業の深さを的確に描き分けるのである。

 一方で、主演女優・シャロン・ストーンの横顔を本機の「映画」モードは、美しく描写する。「標準」モードではやや赤みが強調された肌色に傾くが、「映画」モードでは安定したスキントーンで、シャロンの欲深く美しいビッチぶりを本機ならではの味わいで表現する。この肌色の表現力の高さに、シャープ画質エンジニアの成熟を見る思いがする。

 LC-65XS1は、100万円を超えるプライスタグが付けられたたいへん高価なテレビだが、デザイン、仕上げ、画質、すべてにプレミアム製品とはどうあるべきかを問う、じつに興味深い製品だと思う。

photo 「ピクチャー」モード

 本機のカタログを見ていて面白いと思ったのは、「ピクチャー」モードの搭載。65インチという大画面をリビングルームに置いた場合、映像を映し出していないときに真っ黒いカタマリが部屋に鎮座する違和感が否めないが、本機は14種類の名画の画像をプリインストールしていて、映像プログラムを見ないときは、リモコンのワンタッチで「ピクチャー」モードに入り、ゴッホやルノワール、ゴーギャン、北斎などの名画を表示することができる。

 その際、チューナー部の電源はオフになり、省エネモードに入るというのもシャープらしい。テレビとして使わないときは、壁に掛けられた1枚の名画として機能する65V型テレビ。超大型テレビをインテリアと融合させる1つのテクニックとして歓迎したい。

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