これらのアートフィルター機能は、撮影時のみに適用され、後からカメラ内や付属ソフト上で効果を与えることはできない。効果によっては撮影直後に数秒の待ち時間が生じるが、ストレスを感じるほどではない。効果はJPEG画像のみに加わるので、RAW+JPEGモードで撮影すれば、効果非適用の元画像を同時保存することも可能だ。
通常の設定方法はモードダイヤルからの選択となるが、好きなアートフィルターを「マイモード」に登録し、さらにボディ背面の「Fnボタン」にマイモードの機能を割り当てておけば、モードダイヤルの位置がプログラムAEなど他のモードの場合でも、Fnボタンを押せば一時的にアートフィルターを呼び出すことができる。
付属ソフトでの効果適用はできないと書いたが、もしフォトレタッチの腕があれば、市販のレタッチソフトによる後処理で似たような効果を作り出すことは可能だろう。だが、このアートフィルターの魅力のひとつは、効果が加わったライブビュー画面を見ながら撮影できること。見慣れた日常風景が、映画のワンシーンやイラストのように変換して表示されるのは画面を見ているだけでも新鮮だ。記念や記録としての用途には適さないが、撮る対象が何であれ、写真を撮ること自体が好きな人ならきっと楽しめるはず。
アートフィルターと同じく、ライブビューがあるからこそ役立つ付加機能として、多重露出という機能がある。これは、1コマ撮影した後、その画像をライブビュー画面上に半透明表示しつつ、2コマ目を撮影すると、その2カットがカメラ内で自動合成される機能だ。最大で4コマまでの合成ができ、すでに撮影されたRAW画像を選択して、他の画像を多重露出することもできる。
マルチアスペクト機能もユニークだ。通常の4:3のほか、3:2、16:9、6:6、5:4、7:6、6:5、7:5、3:4の計9種類のアスペクト比を選択できる。この機能は、画像の部分的なトリミングであり、4:3以外では記録画素数が低下する。レタッチソフトなどを使って後からトリミングすることと結果的には差はないが、ライブビュー画面を通じて、撮る際にアスペクト比に応じた構図を決められるのは便利だ。
なおライブビュー画面上では、選んだアスペクト比に応じて、画像の余白部分が黒枠で覆われるが、ファインダー表示については4:3のままになる。
以上の、アートフィルターと多重露出、マルチアスペクトの3機能には、クリエイティブな写真撮影を楽しむというE-30のコンセプトがはっきりと表れている。コンパクト機など他のデジカメにも同種の機能を備えた製品はあり、画期的というほどではないものの、デジタル一眼の進化のひとつの方向として興味深い。
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