コラム
» 2009年02月02日 10時20分 UPDATE

小寺信良の現象試考:モバイラーマストダウンロード 「x-Radar」 (1/3)

ソニーが提供している位置情報アプリ「x-Radar」が実に面白い。Wi-Fiを利用して現在地を割り出すだけではなく、周辺に何があるかを示して案内までしてくれる。いわゆる「地図」とは異なる、位置情報の見せ方だ。

[小寺信良,ITmedia]

 昨年9月に行なわれた「ソニーディーラーコンベンション2008」で、地味ぃにあるアプリケーションが展示されていた。名前は「x-Radar」。よくある地図連動のサービスなのかと思って話を聞いたら、実はこれまでの位置情報サービスの概念を覆す、まったく新しい実験的プロジェクトであるということが分かった。これはすごいモノだ。

 x-Raderの役割は、今自分がいる位置を割り出し、その近くにどんなポイントがあるかを示すことである。な、なにを言ってるのかわからねーかもしれねえので、もう少し詳しく説明しよう。

 まず1点目のポイント。自分の位置を割り出すにはどうするか。そう、普通はGPSが必要である。しかしx-Radarは、GPSを必要としない。無線LAN機能が搭載されたデバイスがあれば、自分の位置が分かるのである。それはなぜか。公共無線LANのアクセスポイントの位置というのは、公開情報として存在する。また各ユーザーが共有アクセスポイントを設ける「FON」も、自分のアクセスポイントの位置を公開している。

 それらのアクセスポイントが複数見つかれば、三角測量の要領で、自分の位置を割り出すことができる。実際にアクセスポイントにログインしなくても、単に電波を観測するだけで自分の位置が分かるのである。

 ポイントの2つ目。自分の位置が分かれば、地図上でその位置を特定し、周辺になにがあるかはグルメサイトなどのデータを引っ張ってくればいい。しかし仮に地図が表示できたとしても、方角が分からなければどうしようもない。ランドマーク的なものがあればそれを頼りにできるが、初めて行った場所の大きな建物がなんという名前なのかも知らないような場合は、役に立たない。

 それよりも根本的に、地図が読めないというタイプの人に地図を示しても、仕方がないのである。それよりもどっちの方向にどれぐらい歩いていけばいいかが分かったほうが、ナビゲーションとしては役に立つはずだ。x-Radarは、そういうことを示してくれるソフトウェアなのである。

どう使うのか

 x-Radarは、現在ソニースタイルの「体験空間」にて無償公開されており、一般の無線LAN搭載ノートPCで動く。また昨今発売になったVAIO type Pにも、初めてプリインストールされた。すでにtype Pを買った人でも、x-Radarはなんだか使い方が分からなかったのではないだろうか。ここでは具体的に使い方を疑似体験してみよう。

 まず、ある駅に降り立ったとしよう。初めて訪れた駅だ。そこでおもむろにPCからx-Radarを起動する。無線LANはONにしておく。x-Radar上には、いくつか公共スポットを含めたアクセスポイントが見つかるはずだ。この時点でx-Radarにはすでに、自分の位置が分かっている。

photophoto ここはどこ?(写真=左)、オモムロにx-Radarを起動して現在位置を測定。近くにFONスポットがあるらしい(写真=右)

 まず無料で使える無線LANスポットを探そう。ダブルクリックで画面を拡大する。レーダー上には現在位置と時刻との関係から計算された太陽の位置と、センターから伸びる影が示される。これを今立っている位置で、実際の影の方向と合わせる。最寄りの無線LANスポットの方角とだいたいの距離が分かるはずだ。

photo 自分の影と画面上の影を合わせて方向を知る

 最寄りの無線LANスポットの近くまで歩いてみる。マクドナルドの近くにFONのアクセスポイントがあるようだ。30秒ほど歩いてマクドナルド発見。FONに接続できた。

photophoto 詳細情報によれば、マクドナルドの近くにFONスポットがあるらしい(写真=左)、マクドナルド発見! 早速FONスポットに接続(写真=右)

 ここまで書けば、FONユーザーはこれがひっくり返るほど便利なものだと分かるはずだ。従来FONのアクセスポイントを探すには、でたらめに歩いてFONルータが偶然見つかることを期待するしかなかった。FONの位置情報はネット上の地図に記載されているが、そもそもネットに繋げないのだから、どこにFONルータがあるか分からないのである。まさに「缶切りは缶の中」という表現がピッタリな、ダメダメソリューションだったのだ。

 この問題がx-Radarで解決する。x-RadarはローカルにFONを始めとする無料・有料アクセスポイントの位置情報を持っているので、現在位置が割り出せる程度のポイントが見つかれば、電波が届かない範囲にあるルータの位置も表示できるのである。自分が加入していないポイントだらけの場所にいても、使いたいポイントのところまでたどり着けるわけである。

 疑似体験に戻ろう。ここでちょっと遅い昼食を食べたいな、と思ったとしよう。目の前のマクドナルドに入れよという意見は却下する。ラーメン屋を探してみよう。今はラーメンの気分なのだ。x-Radarを「ラーメン」に切り替える。よさげな店が見つかった。ダブルクリックすると、お店のテキスト情報が表示される。

photo ラーメン屋の情報を検索。歩いていける距離で良さそうなお店だ

 無料アクセスポイントにつながっているので、地図を見てみよう。画面上の「PetaMap」をクリックすると、場所の地図が表示される。もちろんこの地図を頼りに向かってもいいが、さっきアクセスポイントを探した要領で、影の位置を頼りにその方向に歩いていく。するとお店が見つかった。

photophoto ネットにつながれば、地図情報も見られる(写真=左)。40秒ほど歩いて、目的のラーメン店発見!(写真=右)

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