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何を撮る? どれを選ぶ? 春のフルHDビデオカメラ特集 春のフルHDビデオカメラ(8)(2/2 ページ)

» 2009年03月06日 10時32分 公開
[都築航一,ITmedia]
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 もちろん、こうしたカメラとしての基本スペックや、生み出される映像信号の絶対的な質をうんぬんするよりも、被写体として狙った子どもやペットを期待どおりに写せるかどうかが重要だと考えるユーザーも多いだろう。

 すなわち、カメラ任せのフルオート時にどれだけ撮影者の期待にそった映像を撮影できるかも、このクラスのカメラでは重要なポイントになる。今春モデルでは、全メーカーで顔検出機能が搭載されたのは、家庭用カメラにおいて、自分の子どもをはじめ、人物を撮影する場合が多いからにほかならない。

photo 「HDC-HS300」

 すると、撮影している時刻や場所などのシチュエーションをカメラが自動で判断する「おまかせiA」搭載する「HDC-HS300」の優位性が際だつ。人物撮影時に顔認識が働くのはもちろん、旅行先などで風景を撮る際にも、適切な設定に調整してくれるのがミソだ。

 一方、オートフォーカスや顔認識を含めたピント合わせの的確さでは、iVIS HF S10がナンバーワン。外部測距センサーのおかげですばやくピントが合い、しかも一度決まればビシッと安定する。HDR-XR520VとHDC-HS300も安定はしているが、中心から外れた位置の被写体や、真っ白花などはどうしても苦手なようだ。そこで、両機種ともオートフォーカスを補完する機能として、タッチパネルを使って被写体を指定することもできるのだが、この補完機能については、機能の呼び出しが容易なHDC-HS300が扱いやすかった。

 家庭では三脚に固定して撮る機会が少ないことも予想されるが、手ブレ補正の優秀さでは文句なくHDR-XR520Vの圧勝。もはや新しい映像表現といえるほど安定した映像が得られる。ただし、三脚に載せる機会もけっこうある、というユーザーには、ボタン1つで手ブレ補正機能のオン/オフをすばやく切り替えられるHDC-HS300も魅力に映るだろう。

 こうしてみてくると、3機種とも一長一短、すべての面で他社を圧倒するカメラは存在しないが、いずれもカメラとしての完成度はぐんと高まっており、昨秋よりハイレベルな争いになっていることは間違いない。

photo

長く付き合うには――用途や好みに合った1台を選ぶ

 以上、各メーカーのフルHDビデオカメラ春モデルをひととおり試用してきたが、子どもやペットの成長とともに、カメラとも長く付き合っていけるよう、最適な1台を見つける参考になれば幸いだ。可能であれば、家電量販店などで実際に実機を触れてみることで、デザインやメニュー操作などの使い勝手を確認しながら、ビデオカメラ選びを存分に楽しんでほしい。

 最後に、ここまでの各記事では触れてこなかった、カメラのバッテリーについて一言申し添えておきたい。この春登場したカメラに限らず、付属バッテリーは最小限の容量に近いもので、省電力化技術が進んだ今春モデルでも、実撮影時間が1時間を上回る機種はわずかしかない。

 カメラ購入の際は、各社ともオプションで用意している予備バッテリーや大容量バッテリーの予算もあらかじめ見積もっておいた方がいいだろう。記録メディアについては、残り時間を気にする必要がほぼなくなっているだけに、大切なイベントの撮影がバッテリー残量のせいで途切れてしまってはシャレにならない。

 バッテリーは撮影時のカメラ重量を左右する重要なパーツであり、かつ日々進化していることも理解できるが、各メーカーには、最初から大容量タイプを同梱するのが難しければ、せめて同一のタイプを長く採用し続けてもらいたい。モデルチェンジのたびに新しいタイプへ変更されると、買い替えの際、せっかく買った大容量バッテリーや充電器までムダになってしまい、なおさら大容量バッテリーに手を出しづらくなってしまうからだ。サードパーティ製の互換バッテリーを買ってしまうユーザーが絶えないのも、純正の大容量バッテリーに手を出しづらいからだろう。高価でも安心して純正のオプションバッテリーを買える仕組みを打ち出してもらいたい。

モデル:TargetTVリポーター 駒谷仁美(こまたに ひとみ)

1988年12月16日生まれ。 サンミュージックブレーン所属

本人の公式ブログ「ひよこのひいちゃん」公開中。


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