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「やすらぎ」と「ワイヤレス」 ヤマハのiPod用オーディオ2機種を楽しむお好みはどちら?(2/2 ページ)

» 2009年03月09日 15時46分 公開
[荒木孝一,ITmedia]
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iPodがリモコン?! “フリースタイル”なPDX-50

photo 「PDX-50」

 TSX-130がオールインワンタイプのデスクトップオーディオシステムであるのに対して、一方のPDX-50はヤマハが独自に開発した非圧縮デジタルワイヤレス伝送技術「AirWired」の採用し、より使い勝手の自由度を追求したモデルといえる。

 AirWiredはBluetoothと同じく2.4GHz帯の電波を用いるが、Bluetoothでは通信時に100〜200ミリ秒の遅延が発生するのに対し、AirWiredではこの遅延を12ミリまで抑えることに成功しており、“ズレ”のないワイヤレス再生が行える。また、帯域幅についても6.4Mbpsという高いビットレートが確保されており、まさに音響機器や楽器などで使うのに最適な技術といえるだろう。

 また、Bluetoothでは受信側と送信側が1:1で通信を行うため初期設定としてペアリングが必要になるが、AirWiredでは1:7の同時受信が可能なために面倒な作業が一切不要。これだけの性能を備えていながらも、電池寿命はBluetoothと比べて50%アップを実現しているため「ワイヤレス通信はiPod本体の電源を使うからバッテリー消費が気になる」という人にも最適だ。iPhoneの場合は、トランスミッターを装着した状態でも通話などの機能を利用可能で、通話が終わればスムーズに音楽再生が再開できるのも特徴といえる。

photophotophoto iPodとトランスミッターを接続した状態でもかなりコンパクト(写真=左)、ネジ式の調整機構により、アタッチメントなどを使うことなく厚みの異なる各iPodとの接続を実現(写真=中、右)

 実際に使ってみて驚いたのが、スピーカーから音が出るまでの手順が予想以上に簡単かつスピーディーなこと。電源ケーブルを接続してiPodにトランスミッターを装着、あとは好みの音楽を再生するだけなので、30秒とかからずに使い始めることができる。

photo トランスミッターを接続したまま手軽にiPodが充電できるクレードルタイプの充電器が付属する

 第5世代iPodをはじめiPod classicやiPod nano、iPod touch、iPhone 3GなどさまざまなiPodシリーズに対応しているが、トランスミッターとの接続もネジ式の調整機構で隙間を埋める方式のため非常に簡単。iPodの充電についても、トランスミッターを装着したまま置けるクレードルタイプの充電器を採用している。

 また、ラジオやアラームなどの機能を省いた仕様も軽快な使い心地さに拍車をかけており、本体のボタンはなんと音量調節用に装備された2個のみ。このボタンすら利用に際して絶対に必要というわけではなく、音量調節を含めた全操作がiPodをリモコンがわりにして行える。ワイヤレスでの快適さが欲しい人にももちろん、「スピーカーは欲しいけど説明書を読むのが面倒」という人にも最適なモデルといえるだろう。

photophotophoto 非常にシンプルな「PDX-50」。本体に用意されているのは音量ボタンのみだが、ワイヤレスでの音量調整が行えるので、実質的にはボタンレスともいえる

 AirWiredを用いたワイヤレス制御、そしてiPodから全操作ができる利便性を兼ね備えることで、本体の設置場所に関する自由度も大幅に広がっている。手の届かない棚やタンスの上に本製品を設置して音楽を楽しむことはもちろん、スピーカー本体にiPodを装着するタイプでは不可能な、「手元で動画を楽しみ、音声は離れたスピーカーから」という動画視聴も可能だ。まさに“フリースタイル”を実現する製品だ。

 AirWiredの伝送距離に関するメーカー公表値は約20メートル(遮へい物がない状態)だが、ここで実際の使用を想定した実験を行ってみた。実験といっても簡単なもので、実際の部屋でAirWiredがどれくらい通信可能かテストしてみるというもの。ちなみに部屋は6畳間を長手方向に2部屋つなげた広さ(最長距離は約7メートル)で、建物自体は鉄筋コンクリートとなっている。

 まず、遮へい物がない状態では当然ながら最長距離の約7メートルでも問題なく通信が行えるため、iPod+トランスミッターを手に持ち、棚の後ろや机の下などに隠しながら移動してみる。すると、5メートルあたりからは遮へい物による影響が若干大きくなるようで、特に金属製の大きな物体に隠れると時折ながら通信が途絶えることがあった。

 しかし、途切れたままではなく1秒程度で再度つながり、iPodを素早く動かすとまた途切れるという状態。木造や鉄筋コンクリートなど建物の構造、インテリアの配置によっても異なるが、どうやら多少の遮へい物であれば電波の回り込みによって接続状態が保たれるようだ。ちなみに3メートル程度の距離であれば、たとえ机の引き出しに入れても通信が途切れることはなかった。

 今回の実験はあえて電波の届きにくそうなところを狙うという極端な例だったが、それでも完全な通信不能状態に陥ることはなかった。また、数多くのパソコンやFAXなどの事務機器が並ぶ環境でもこれだけの結果が得られていることから、一般家庭で多少家具に隠れるくらいであればまったく問題ないと推測できる。


 今回は、同じヤマハ製のiPod用スピーカーながら異なる個性を持つ2機種を紹介した。ベッドサイドで実力を発揮する多機能なTSX-130、手元ですべての操作ができるシンプルなPDX-50と、どちらも素晴らしい能力を備えている機種なので、ライフスタイルや使用環境などによって選んでいただきたい。

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