一連のワークフローが完了した写真データは、内蔵HDDにずっとためておくわけにもいかず、外部の記録装置へいずれバックアップしなければならないだろう。
このときVGN-AW71JBの、特にアマチュアユーザーにとって強力な武器となるのが、内蔵のBlu-ray Discドライブだ。大容量のデータディスクとしてバックアップに使えるのに加え、鑑賞用のビデオディスクを作成できる点は、使い方が広がる意味で評価したい。ソニー独自のプリインストールソフト「Click to Disc Editor」を使えば、静止画データからスライドショービデオを簡単に作成できる。BD-J形式で作成しておけば、検索も簡単に行なえるし、ディスクには元画像と同じ画素数のデータも別途格納されるので、バックアップとして使うこともできる。
なお、作成したディスクをVAIO自身で再生する際は、HDMIケーブル経由でより大画面のテレビに映し出すのも面白い。シーン2のような、とことん正確さや厳密さを追い込むスタンスではなく、もっと気軽にデジタル写真と付き合うスタンスにも、VAIO type A フォトエディションは応えてくれる。
今回評価機として取り上げたのは、店頭販売モデルのVGN-AW71JBだが、VAIOオーナーメードモデルなら、仕様を細かくカスタマイズすることもできる。
特に写真編集専用ではなく、メインマシンとしてあらゆるシーンで使うのであれば、付加機能として追加できる、地上デジタル放送の視聴・録画機能をぜひチェックしたい。サードパーティから販売されている外付けチューナーを買い足す場合に比べて内蔵型のほうがスマートなのはもちろん、ソニー独自の視聴・録画ソフト「Giga Pocket Digital」が提供する機能の充実ぶりも見逃せない。
Blu-ray DiscやDVDといった市販ビデオタイトルの視聴にももちろん使えるが、こうした映像コンテンツ鑑賞の用途も想定して、VAIO type A フォトエディションでは「テレビ」および「DVD/BD」の色モード設定も用意されている。さらに、最近では大半のビデオカメラが対応するビデオの色空間「x.v.Color」専用の色モードも組み込まれており、フラッグシップノートらしく、写真編集に限らない、さまざまな可能性を秘めていることが分かる。
最後に、基礎体力のチェックという意味でベンチマークテストの結果も掲載しておく。店頭販売モデルのVGN-AW71JBは、ハイエンドノートとしてズバ抜けて高性能というわけではないが、Windowsエクスペリエンスインデックスは多くの項目で最高点の「5.9」をマークしている。外付けGPUのGeForce 9600M GTを搭載しているため、ノートPCとしてはグラフィックス性能も高い。
これでもまだ不満なら、前述のVAIOオーナーメードモデルで基本スペックを強化するのもよいだろう。店頭モデルよりも高速な、2.93GHz駆動のCore 2 Duo T9800(+1万5000円)や8Gバイトのメインメモリ(+4万円)、さらにはシステムドライブを128GバイトのSSD×2(RAID 0)に変更し、データドライブとして別途500GバイトのHDDを内蔵するという選択肢(+7万円)まで用意される。ハードウェアスペックを最強の構成にすると40万円を軽く超えてしまうが、もともと低価格を求める製品ではないので、細部までこだわって購入できるのがうれしい。
なお、両エディションの店頭販売モデルにおいて、基本スペック面での唯一の違いであるHDDの性能を比較するため、PCMark05のHDD関連テストを実施したところ、RAID 0構成のフォトエディションがビデオエディションを上回るスコアをたたき出した。
一方、CFスロットの読み書き速度については、サンディスク「Extreme IV」の4Gバイトモデル(読み書きとも45Mバイト/秒をうたう現行モデル)を使ったところ、CrystalDiskMark 2.2でほぼ理論値通りの結果をたたき出しており、高速カードの能力を存分に引き出していることが分かる。実際にこのメディアに、空き容量が3Mバイトになるまで写真を撮り続け、全データをPCにコピーしてみたところ、2分強でコピーが完了した。
業務用の高価な液晶ディスプレイを使えば、どんなPCでも写真の正確な表示は可能だし、キャリブレーションツールの併用により、プリンタまで一貫したカラーマネジメントも実現できる。だが、それに近い環境を持ち運びたいのであれば、VAIO type A フォトエディションのような、高品位な液晶ディスプレイを採用したハイエンドノートPCを選ぶしかない。ノートとはいえ重量級なので、機材がかさばる覚悟は必要だが、PC1台ですべてを完結できる手軽さには代えがたい。
今回のモデルチェンジは、マイナーチェンジというべき内容ではあるが、こうしたソリューションが続けて提供されること自体に大きな意味がある。同じカテゴリーに属する製品は、他社からも投入されてはいるものの、選択肢はごくごく限られている。こうした現状にあって、コンシューマー向けに使いやすくする工夫や、ソニー独自の価値観も忘れずに盛り込んだVAIO type A 両エディションのコンセプトを、われわれユーザーも大事にしたい。
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