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話題のSNS名刺「Poken」創業者が語る、「人になじむテクノロジー」(後編)mixiやGREEにも対応したい(2/3 ページ)

» 2009年03月23日 08時30分 公開
[林信行,ITmedia]

技術的用件 vs 人間的用件

――同様の非接触型無線技術というと、Felica(やTouch Message)という技術もありますし、日本の携帯電話では赤外線を使った連絡先の交換も可能です。

ドトリオ氏: 確かにその通りです。でも、いざ情報を交換しようとした時に、「メニューを開いて何階層も下って……」というのでは、ちょっと面倒で、なかなか定着しないですよね。

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 それは、こうした操作が、人間の自然な対話の流れを止めてしまうからです。

 例えばですが、おそらくパソコンを使った方が文字が早く打てる人でも、やはり、いざという時にはペンに頼りますよね。

 現在存在する連絡先交換のソリューションは、確かに紙の名刺交換に取って代わるだけの技術的な用件は満たしていると思います。ですが、この技術的用件を満たす方法は、1つだけではありません。

 わたしたちは、同じ技術的な用件を、もっと人間味のあるやり方で満たそうとしているのです。だからこそ、わたしたちは極めて直感的でシンプルな所作の実現を目指しました。ただポケットから取り出して、お互いのPokenをタッチさせる。それだけでいいのです。

――なるほど、これは日本の家電メーカーでものづくりをしている方々に、ぜひ聞かせたい深みのある言葉ですね。

なくしても安心

ドドリオ氏: それに、携帯電話にPokenの役割を担わせたくない理由は、もう1つあります。名刺はプライベートな情報を扱うセンシティブなものです。携帯電話に、そうした機能まで担わせてしまったら、携帯電話をなくした時のダメージが大きいですよね。

 でも、これがPokenなら、なくしても、まったくダメージがありません。次のPokenを買えば済むのです。

――具体的にPokenを紛失してしまった場合、どうすればいいのですか?

ドトリオ氏: まずはPokenのページにログインして、「Lost Poken」というリンクがあるので、ここをクリックして、紛失したPokenを無効化します。この際、拾った人あてのメッセージをいれることもできます。

 拾った人が、自分のパソコンにPokenを差して、HTMLファイルを開くと、そのメッセージが表示されるのです。届け先を表示させてもいいですし、盗まれたという確信があるなら、うらみごとを書き込んでもいいかもしれません(笑)。

 つづいて、新しいPokenを入手して、登録します。これで、再びPokenをすることができます。

 携帯電話を紛失するとダメージが大きいですが、Pokenをなくすことは、ホテルのカードキーをなくすようなものです。紛失した旨を示せば、これまでのPokenを無効にして、新しいPokenが使えるようになるのです。

 これ以外に、あらかじめ複数のPokenを登録しておいて、気分やファッションにあわせて違うPokenを持ち歩いたり、Pokenごとに、異なるプロフィールを割り当てる、といった使い方もいいでしょう。

――そういえば、1つのPokenでも、複数のプロフィールを登録できるんですよね。

ドトリオ氏: そうです。この光る部分を押すと光の色が変わっていきます。緑のときのプロフィール、赤の時用のプロフィールといった具合に、交換するプロフィールを切り替えることができます。

 場合によっては、個人情報を教えることに抵抗がある場合もありますよね。その場合には、ゴーストモードというのを使います。

 ゴーストモードでPokenした場合、相手のパソコンには自分の情報が表示されません。ただ、自分のパソコンでは(相手もゴーストモードでない限り)相手の情報がちゃんと確認できるので、SNSのプロフィールなどを見て信頼できる相手だと分かったら、その時点で相手に連絡先情報を公開するわけです。

 こうしたモード切り替えの操作は面倒ですし、ほとんどの人はやらないだろうと思っていますが、それでも、必要な人もいるだろう、ということで用意しました。

――先ほど、Pokenは、なくしても安心という話がありましたが、情報の安全性はどうなのでしょう?

ドトリオ氏: Poken上の情報はすべて128ビット鍵で暗号化されています。自分のIDも暗号化されていれば、どの相手と連絡先交換をしたのかの情報も暗号化されています。さらにサーバー上の情報も暗号化されています。

――大きなパーティーだと次から次へと、大勢の人とPokenすることになりますよね。現在のPokenは、情報交換した後、30秒間、緑のライトがついた状態になってしまいますが。

ドトリオ氏: その場合は、光っている部分を押せば、明かりが消え、次のPokenとタッチできるようになりますよ。


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