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AVメーカーの誇りを感じさせる1台、最高峰ウォークマン「NW-X1000」レビュー(2/3 ページ)

» 2009年04月30日 08時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 同社AVアンプやピュアオーディオ製品に搭載されているデジタルアンプ「S-Master」の搭載も、本製品の特徴のひとつとして挙げられる。

photo 再生中の画面

 一般的なアナログアンプでは入力から出力の間が、入力→DSP→D/Aコンバータ→ローパスフィルタ→アナログパワーアンプ→出力という構造になるところを、S-Masterの採用により、入力→DSP→S-Master→ローパスフィルタ→出力となっている。つまり、デジタルの音楽ソースをD/Aコンバータでアナログに変換してから増幅するのではなく、デジタルのまま増幅を行っているのだ。

 まずは付属イヤフォンではなく、「MDR-EX90SL」「MDR-EX500SL」(いずれもソニー)、「E2c」(Shure)と筆者が日常的に利用している実売1万円クラスのカナル型イヤフォンを組み合わせてみたところ、すぐさま全域に渡る高い解像感を感じ取ることができた。デジタルアンプらしく中〜高域にエッジが立ったやや硬質な感も受けるが、やはり解像感の高さは特筆すべきレベルだ。

 情報量も多く、ギターのカッティングプレイやスネアドラムのアタック音などが非常に心地よい。どちらかといえば、ウォームな質感よりもデジタルらしい硬質さ、キレの良さが前面に出る印象で、この点については好き嫌いが分かれてしまうかもしれないが、ロックやポップ、女性ボーカル、ジャズ、クラシックの音場までもその解像感と情報量で、明確に描き出してくれる。

photo 付属イヤフォンはノイズキャンセリング用の集音マイクが一体化されている

 ノイズキャンセリングについては、ノイズキャンセリングヘッドフォン「MDR-NC500D」のような周辺環境にあわせて効果を自動調整する機能こそ備えないが、「バス/電車」「飛行機」「オフィス」の3つから効果を選択でき、マニュアルでの調整も行える。

 効果の高さは既存シリーズ製品譲りだが、なによりも適用時の音質変化が少ないことには驚かされるほか、「スイッチを入れた」ことを感じさせるヒスノイズの発生も少ない。なお、別売入力ケーブルを用いて本製品のノイズキャンセル機能のみを利用することも可能となっている。

無線LANでYouTube連携も

photo ITmedia +D LifeStyleを表示させてみたが、レイアウトが崩れてしまっている

 本製品は無線LAN機能を搭載しており、Webブラウジングやポッドキャストの受信、YouTubeの視聴などが行える。YouTubeについては再生専用アプリがHOME画面から選択できる仕様となっており、このあたりはiPod touch/iPhoneにほぼ相当するといっていいだろう。

 WebブラウザはNetFrontで、画面表示も3段階に切り替えが可能だが、Flashとダウンロードには非対応であり、操作感についても、iPod touch/iPhoneのsafariほどの快適さは残念ながら持ち合わせない。あくまでもオマケ的な機能と認識した方が良さそうだ。YouTubeについては再生専用アプリが用意されているため、操作に対するレスポンスも機敏でなかなか楽しめる。

 面白いのが、音楽再生の画面から無線LANを使ってインターネットに接続し、再生中の楽曲に関連する情報や動画を検索・表示する「おまかせリンク」機能。再生している楽曲の「曲名」「アーティスト名」「アルバム名」のいずれかを検索キーとして、Windows Live SearchあるいはYouTubeからの検索が行える。

photophotophotophoto 「おまかせリンク」の利用例。Museの「Starlight」を聞きながら「おまかせリンク」を立ち上げ、MuseをキーにしてWindows Live SearchあるいはYouTubeから検索した

 PCでWebブラウザを使っても同様のことが行えると言えばそれまでだが、音楽を聞いていた手のひらの携帯プレーヤーから、インターネットに接続してその曲に関連した情報を検索できるというのはなかなか面白い体験だ。YouTubeへアクセスした時点で音楽再生が途切れてしまうので、検索結果がハズレだった際には残念なことになってしまうので、レジューム再生機能を搭載して欲しかったところだ。

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