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» 2009年05月24日 04時30分 UPDATE

AVアンプ特集:今が“旬”のAVアンプ、価格帯別に注目機種をチェックする (1/3)

2009年春の時点で、AVアンプは何度目かの旬を迎えつつある。HDオーディオ対応機がエントリーモデルにまで広がり、比較的安い製品でもBlu-ray Discの音を存分に楽しめるようになった。今回は価格帯別に注目の機種を紹介していこう。

[野村ケンジ,ITmedia]

 2008年秋以降2009年春にかけて、AVアンプ界に訪れた風潮をひとことで表すとすれば、ドルビーTrue HDやDTS HD MA(マスターオーディオ)といったHDオーディオの普及時代といえるだろう。そもそもBlu-ray Disc(以下、BD)は、非圧縮音声であるリニアPCMを5.1チャンネルで収録できることから音の良さについては高い認知度を得ていたが、膨大なデータ容量を必要とするリニアPCM5.1チャンネルが主流になることはなく、以前から本命と目されていたロスレス圧縮のHDオーディオが台頭。機器側に実装されはじめたのと同時に、ハリウッド映画などのメジャータイトルがHDオーディオを積極的に採用し、そのシナジー効果でHDオーディオ対応はAVアンプの必須条件になった。

 2008年初旬の段階で、HDオーディオのビットストリームを伝送できるHDMI1.3aを採用したモデルはトップエンドから上級クラスに限られていた。しかし2008年秋モデルでは、実売10万円から15万円のミドルクラスにも採用モデルが拡大。2009年の春には、エントリークラスまでの全ラインアップをHDMI1.3a対応にリニューアルするメーカーが大半を占めつつある。最新のAVアンプであれば、エントリーモデルであっても多くはHDオーディオを楽しめる。

 また、最新AVアンプのメリットとしては「ビデオアップスケーラー」がある。ビデオなどのアナログ映像やDVDの映像を1080pに変換、フルHD映像に近いニュアンスを持つ、繊細で美しい映像を楽しませてくれる機能が、ミドルクラスまで採用されるようになったのだ。いまだDVDの出番が多いSD/HD混在のご時世には、ありがたい機能である。フラットテレビやHDレコーダー側で同機能を持つものはあるが、採用モデルはまだまだ少数派。AVアンプ購入の際には、ひとまず検討しておくべき項目だ。

photo ヤマハ「AX-V765」の背面端子。比較的低価格なモデルでもHDMI入力の数は4系統に増えた

 そしてもう1つ、最新モデルのメリットとなっているのが、HDMI入力端子数の数だろう。2007年モデルにおいては、ミドルクラスであってもHDMI入力端子数が多くても3個、という状況だった。それが10万円以下のエントリークラスであっても4個程度は用意される時代となったのである。今後はHDMI接続の機器が増えていくだろうから、「再生機を変えるたびに端子を抜き差ししなければならない」なんて面倒な事態に陥らないよう、HDMI端子の数はしっかりチェックしておきたい。

 さて、ここまで最新AVアンプのメリットをかいつまんで話してきたが、実際にはどんなモデルが存在し、どんな特徴をもち、いかなる趣向のユーザーにピッタリなのだろうか。エントリークラス(10万円以下)、ミドルクラス(実売10万円台)、上級クラス(20万円以上)という価格帯別の3カテゴリーに分けて、多々あるラインアップのなかからお薦めモデルを紹介していこう。

エントリークラス(10万円以下)

 エントリークラスのAVアンプにはまだまだHDMI1.3a非対応のモデルがいくつかある。今回の主旨にあわないそれらをのぞき、お勧めの機種をピックアップしていくと、ほとんどが2009年春モデルということになる。

 最も台数を稼げるクラスだけあって、ラインアップは各社ともかなり豊富だ。おおざっぱに価格帯で分けると最もリーズナブルな5万円台、7.1チャンネルアンプ搭載モデルの6万円台、機能を充実させた8万円台といったイメージだ。

 なかでもお勧めしたいのが、機能充実タイプの8万円台。性能や音質があまり変わらなければ、安いモデルを真っ先にオススメしたいのだが、この価格帯は1万円、2万円の差で付加機能や音質に大きな違いが出てくる。また6万円台の製品が5万円台の製品を7.1チャンネル化しただけの傾向が強いのに対し、8万円台のモデルは10万円超クラスの廉価版といったイメージで、お買い得感がグッと上がるといった傾向もある。けっして大きな出費ではないはずだから、予算の許すならこの8万円台クラスから製品を選ぶことをおすすめしたい。

photophoto ケンウッドの「KRF-V9300H-S」とパイオニアの「VSA-919AH」

 お勧めのモデルも、コストパフォーマンスを考慮するとどうしてもこの価格帯が中心となる。発売前のモデルがほとんどなので、すべての機種の音をチェックしたわけではないが、筆者が試聴した中で、まず注目したのがヤマハの「AX-V765」。ボディーから基盤設計、パーツレイアウトまでのすべてを一新したモデルだけあって、音声、映像ともに前モデルから大きなクォリティーアップを実現している。HDMI入力の数も4系統に増えており、最新モデルならではの確実な進化が享受できる製品だ。こちらは近いうちにレビュー記事を掲載したいと思う(→ヤマハの“新世代AVアンプ”に2つの上位モデルが登場)。

 ケンウッドの「KRF-V9300H-S」は、今回の特集で取り上げた製品の中でも最安値のモデルとなってしまったが、サウンド的にはなかなかの健闘をみせた。とくに高音の素性の良さが光っており、音楽ソースをよく聴く人にも納得のできるチューニングが施されていた。また機能面では、映像と音声のタイミングずれを修正する「リップシンク」や、ディスプレイ消灯とアナログビデオ回路の停止により高音質化をはかる「ピュアオーディオモード」など、ミドルクラス以上の製品でしか見られなかった機能が搭載されている点がうれしい(→ケンウッド久々のAVアンプ「KRF-V9300H-S」を試す)。

 パイオニアの「VSA-919AH」も注目株だ。低音の位相ズレを解消する「フェイズコントロール」やHDMI伝送におけるジッターの影響を最小化する「PQLS 2chオーディオ」など、上位モデルで好評を博している独自の音質向上技術をこのクラスにまで採用した。残念ながら未試聴だが、そのサウンドが気になる機種である。iPodがデジタル接続であることも魅力的(→パイオニア、コストパフォーマンス重視のHDオーディオ対応AVアンプ3機種)。

 さらにデノンやオンキョーも、意欲的な新製品をラインアップしてきているので、このクラスはいずれ試聴を行ってみたいと考えている。

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