機能的には上級モデルに負けない内容を誇るこのクラスにも、注目したいモデルは多々ある。
まずマランツの「SR6003」は、スタイリッシュな外観も魅力的だが、注目すべきはそのサウンドクォリティーの高さだ。マランツならではの丁寧かつ素性の良さを保ちながらも、骨格のしっかりしたサウンドを堪能させてくれるため、映画も音楽も存分に楽しむことができた。3入力/2出力のHDMI端子を装備するため、フラットテレビとプロジェクターを共存できる点も魅力だ。2Wayシアターを実践していて、なるべく安価なAVアンプを求めている人にはぴったりといえる(→デザインだけじゃない――マランツ「SR6003」の音と機能性)。
コストパフォーマンスの面では、ソニーの「TA-DA3400ES」もなかなかのものだった。ソニーが2007年に唯一ラインアップしたHDMI1.3a対応モデル「TA-DA5300ES」とほぼ同等、いや部分的にはそれ以上の機能を持ち合わせつつ、アナログ系の省コスト化で大幅なプライスダウンを実現。TA-DA5300ESのような「どんなスピーカーでもきちんと鳴らしてしまう」といった力強さはないものの、HDオーディオの世界を存分に堪能させてくれる製品であることは確かだ。全てのアナログ映像を1080pに変換してHDMI端子から出力するビデオアップスケーラーや、ウォークマンとデジタル接続できる「デジタルメディアポート」などの機能もありがたい。選んで後悔のない堅実な機種といえる(→映像に“リアルさ”を加える音、ソニー「TA-DA3400ES」)。
デノン「AVC-2809」は、「ビデオアップスケーラ」や「自動音場調整機能」など、ミドルクラスとしての充分な機能を有する堅実な1台。昨年モデルの難点だったHDMI入力端子数を4つに増加しつつ、アナログレコード用のPHONO端子も用意している。シアターとピュアオーディオをひとまとめにしたい人にもお勧めできる(→スピーカーを選ばない確かな駆動力、デノン「AVC-2809」)。
オンキョー「TX-SA706X」は、「THX ウルトラ2(プラス)」の認証を受けていることから、その音質には定評ある1台。そのサウンド傾向はまさに「アメリカン」なイメージで、ハリウッド映画などとはとても相性がよい。アクション映画を存分に楽しみたい人には、もってこいの1台だ(→オンキヨー「TX-SA706X」で「ノーカントリー」のリアルな音を聴く)。
さてこの価格帯の製品は、2009年春以降に新製品がいくつか登場している。そのうちの1つ、ヤマハ「AX-V1065」は、前述したAX-V765にカスタムチューンを施し、いくつかの機能を追加した製品だ。こちらも一緒に試聴したところ、ジャズやクラシックなどピュアオーディオ用としても充分活用できる素性の良さを持ち合わせていた。価格も実売で10万円を切っているため(発売前なので予約価格)、「できるだけ安価にシアターとオーディオを同居させたい」という人に推薦したい機種だ(→ヤマハの“新世代AVアンプ”に2つの上位モデルが登場)。
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