レビュー
» 2009年06月12日 11時24分 UPDATE

映画に没入できる“立体的”な空間表現、ヤマハ「AX-V765」 (1/3)

ヤマハの「AX-V765」は、手が出しやすい価格ながら、このクラスで初めて「シネマDSP<3Dモード>」を搭載した注目のAVアンプだ。立体的で部屋のサイズを感じさせない空間表現をじっくりと検証した。

[野村ケンジ,ITmedia]

 ホームシアター関連でこの春最大のトピックといえば、エコポイントが話題のフラットディスプレイになるだろう。しかしその影に隠れてはいるが、テレビ以上の進歩と充実度を誇るカテゴリーがある。それがAVアンプだ。

 この春は、エントリーから10万円クラスのグレードアップがすごい。昨年秋まではミドルクラス以上だったHDオーディオ対応がエントリークラスまで広がり、幅広い製品でBlu-ray Discの高品位なサウンドを堪能できるようになった。そんな、今もっとも“熱い”製品の1つ、6月8日に出荷が開始されたばかりのヤマハ「AX-V765」をいち早く試聴する機会に恵まれた。自宅のシアタールームに持ち込み、1週間ほど聞き込むことができたので、それらの感想を交えつつ紹介していこう。

photo ヤマハ「AX-V765」は6月8日に出荷を開始したばかり。希望小売価格は8万4000円

基板構成から見直した新規設計

 ヤマハのAX-V765は、先にデビューしたエントリークラス「AX-V465」「AX-V565」の上位モデルにあたる製品だ。AX-V465/V565は、実売価格で5万円を切るレンジにありながら、HDオーディオ対応や4系統のHDMI入力、主要テレビメーカー6社に対応するHDMIリンク機能など高いコストパフォーマンスを誇るエントリーモデルだが、今回取り上げるAX-V765は、さらに音質面を磨いた、いわば“高音質チューンドモデル”といえる。

 10機種近い充実したラインアップをもつ同社AVアンプの中では、ミドルクラスに位置し、昨年人気を博した「DSP-AX763」の後継モデルとなる。ただし、実際は最新テクノロジーを取り入れつつ、基板構成から全面的に見直した、完全な新規設計だ。

photo AX-V765(左)とDSP-AX763(右)の内部。奥行きが短くなったこともさることながら、基板と基板をつなぐケーブルがほとんどなくなっている点に注目。基板同士を直接接続することで、信号の伝達経路を最短化している

 DSP-AX763の単なるアップグレード版でないことは、AX-V765のボディーを上からのぞき込むとよく分かる。内部のパーツレイアウトが大きく異なっているうえ、奥行きも3センチ近く短縮された。例えば、音声回路は入力段から増幅段、出力段までを1枚の基板で構成することで音声信号経路を短縮し、信号の劣化を極力抑える。同時に映像やデジタル系回路を分離して、悪影響を及ぼさないように配慮。また素材メーカーまで吟味した大型電源トランスや大口径ケミカルコンデンサー、特注抵抗などの高品質パーツを投入し、音質を向上させるために徹底した試聴テストを繰り返したという。

photophoto パーツの選別も一からやり直した。例えば電源トランスは、鉄芯や銅線など構成パーツの組み合わせを変えたものを20個も製作し、比較試聴によって採用するものを決めたという。音の解像度が高く、わずかな強弱の差も明確に描き分ける力は、こうしたこだわりから生まれた

 さらにリアパネルの端子レイアウトも大きく変わり、デジタルとアナログ、映像系が比較的まとまった配置になっている。設置時に戸惑うことのない、分かりやすい整理が施されている。

この価格帯で初めて「シネマDSP<3Dモード>」を搭載

 基本設計に一切手抜かりのない製品だということは、これまでの紹介で分かってもらえたと思う。しかしAX-V765の良いところは、機能面でも充実した内容が与えられていることだ。

 まずHDMI端子数は、1.3a対応の入力が4、出力が1。下位モデルのAX-V465/V565が同じ数を搭載しているため、それほど有り難みを感じなくなっているかもしれないが、一昔前は多くても3つ程度だった。また主要テレビメーカー6社(パナソニック/東芝/日立製作所/シャープ/三菱電機/ソニー)のテレビやレコーダーに対応したHDMIリンク機能も搭載。メーカーを(ほとんど)選ぶことなく、テレビ側リモコン操作で電源オン/オフや音量調整、入力切替が行えるのもうれしいポイントだ。もちろんHDオーディオに対応しており、定格95ワット×7チャンネル・パワーアンプでBDソフトのドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioがしっかり楽しめる。

photo リアパネルは入力端子がほどよく整理させていて、接続時に戸惑うことはまずない。とはいえ必要充分な数は用意されている

 さらに注目は、この価格帯で初めて「シネマDSP<3Dモード>」を搭載したことだろう。ヤマハは今日のようにバーチャルサラウンド機能が全盛を迎える以前から、空間一体のサウンド表現に深いこだわりをもっていた。なかでも「3Dモード」は、前後左右だけでなく上下方向にもサラウンド表現を拡大。天井があることを忘れてしまうような、開放的な音響空間を実現した。これが搭載されていることだけでもAX-V765を魅力的に感じる人は少なくないはずだ。

 映像面では、アップスケーラーを搭載している点にも注目したい。これはDVDソフトなどのSD(480i/480p)映像をフルHD(1080p)に変換してHDMIに出力する機能で、DVD再生時のボケ感を低減してくれる。まだまだDVDを見る機会は多いので、現状では積極的に利用したい機能だ。

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