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「ホームスターPRO」で“立体プラネタリウム”を試す月がとっても丸いから(2/2 ページ)

» 2009年06月16日 17時03分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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ボールのようなお月様

 ホームスター専用3Dフィルムは、厚紙の枠にフィルムを装着した簡易的な原板ソフトと赤青メガネのセットだ。紙枠は、原板ソフトのサイズが一回り大きい「ホームスターEXTRA」用のサイズで作られているため、PROで使うときは最初にハサミで周囲を切り取る必要がある。通常の原板ソフトはフィルムを透明なプラスチックではさんだ丈夫な作りだが、今回はフィルムむき出しのため、周囲を切り取る際には十分に注意したい。

 また通常の原板ソフトは丸く、投影距離が2〜2.3メートルの一般的な高さなら、天井全体を覆うくらいの大きさで星空を投影することができるが、今回の立体フィルムは四角い窓のようなスタイル。セガトイズ、ファミリーエンタテインメント事業部でホームスターシリーズのマーケティングを担当する宮口真子氏によると、「2〜2.3メートルの投影距離なら、天井に縦横1.7メートルほどの四角い映像が投影されます」という。

photophoto セガトイズ、ファミリーエンタテインメント事業部でホームスターシリーズのマーケティングを担当する宮口真子氏。今年1月に日本科学未来館に導入された立体プラネタリウムを見て、今回のキャンペーンを企画したという

 丸く切った原板ソフトを本体のトレイに入れ、電源を入れたら準備完了。部屋の明かりを落とすと、CGで緻密に描かれた月と地球が天井の中央に浮かび上がった。投影レンズのフォーカスリングでピントを合わせると、月や背景の星に赤や青の影が描かれていることが分かる。これを赤青メガネで見ると、青いフィルムの右目には青い部分が見えなくなり、左目では赤い部分が見えずに視差が生まれる仕組み。昔から映画やグラビアなどによく使われているアナグリフという方式だ。

photo 3Dフィルムを投影したところ。高感度モード撮影では、実際よりも色が濃く写る傾向があるため、参考程度に見てほしい

 液晶シャッターや偏光メガネを使う方法に比べると発色などいくつかの点で不利だが、アナグリフ方式はとにかくローコストに“飛び出す映像”が作り出せるのがメリット。また、「付属のメガネを壊してしまっても、文具屋にいけば材料が売っていて、自作して家族で楽しむこともできる」(宮口氏)という手軽さは、家庭用プラネタリウムとしては重要なポイント。

 照明を消した部屋で赤青メガネをかけると、視界はかなり暗くなる。それでも目が慣れて投影画像に焦点を合わせられるようになると、だんだんと立体的に見えてきた。天の川をバックに青い地球が浮かび、その手前に月が飛び出して……というのが理想的だが、実際には“地球をバックに月がぽっかりと浮かんでいる”印象。白いボールのような月は、確かに球体として感じることができた。

 一方の地球はというと、天の川と一緒に月を引き立てる役に徹してしまっているようだ。むしろ、天の川が地球より奥に感じられるようになると、空間的な広がりが生まれて地球も立体的に見えてくるかもしれない。また、カラー原板ならではの青い地球も、モノクロっぽく色あせて見えるのは少々残念。片目に青いフィルムをつけて見ているのだから、仕方のない部分か。

 暗い環境でアナグリフ方式のデメリットが少々目立つ結果になったが、月を“球体”として感じられるプラネタリウムには、ホームスターが描く緻密(ちみつ)で美しい星空とは違う、一発芸的な面白さがある。例えば、今回の立体原板がほかの原板ソフトと同じ価格で売られていたら首をかしげるだろうが、キャンペーンのプレミアムとしては斬新で、なんとなく得した気分を味わえる。赤青メガネをいくつか自作して、家族や仲間と一緒に「見える?」「見えた!」などとわいわい楽しむのがおすすめだ。


 今回のキャンペーンを企画したセガトイズの宮口氏によると、立体プラネタリウムについては、その方式やハードウェアなども含めて研究を進め、将来的には商品化も検討していきたいという。やはり「課題は、天の川の立体視」(同氏)とのことで、絵としては細かい点の連続でしかない天の川を、いかに立体的に表現するかがポイントになりそうだ。

※キャンペーンは6月25日スタート
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