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DLNA対応が進むCATVセットトップボックスケーブルテレビ ショー

» 2009年06月20日 14時43分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東京国際展示場(東京ビッグサイト)で6月18日と19日の2日間、「Japan Cable TV&Telecommunications Show 2009」(ケーブルテレビ ショー)が開催された。ケーブルテレビのデジタル化とともにセットトップボックス(STB)の高機能化も急速に進んでいるが、今回のショーにはパナソニックに続いてパイオニアがDLNA対応のSTBを展示した。

photophoto ケーブルテレビ ショーの会場は、大きくハードウェアベンダーとコンテンツサプライヤーのゾーンに分けられている
photophoto コンテンツサプライヤーのゾーンでは、あちこちに「HD」の文字が躍る

 STBの高機能化を先導しているパナソニックは、昨年末に「TZ-DCH8000」をJ:COM向けに提供するなど、DVDドライブまで備えたSTBに力を入れている(→今度はDVDドライブ付き、J:COMが「HDR+」を12月中旬に開始)。現在は、ケーブルモデル搭載やOFDM対応などの違いにより、「TZ-DCH9800/9810」および「TZ-DCH9000」の3モデルを提供中。外観から想像できる通り、いずれも「DVDレコーダーのDIGAをベースに、QAMチューナーを搭載したSTB」だ。

photo パナソニックのTZ-DCH9810

 もとがDIGAシリーズなだけに、付加機能の多くはそのまま利用できる。例えばMPEG-4 AVC(H.264)エンコーダーを使って500Gバイトの内蔵HDDにフルハイビジョン解像度のまま最大5.5倍録画が可能。携帯電話によるリモート予約やアクトビラ、DLNAサーバといったネットワーク機能も充実している。なお、アクトビラに関しては基本的にベーシックまでの対応だが、ケーブルモデムの代わりにLAN端子を備えたTZ-DCH9810だけは、「アクトビラ ビデオ・フル」までサポートしている。

パイオニアのSTBでネットワーク録画が可能に

 パイオニアは、既存のSTBをファームウェアアップデートによって大きく変えようとしている。同社が「New 300シリーズ」として参考展示したSTBは、2008年にリリースしたスタンダードなSTB「BD-V371L」に開発中の新ファームウェアを導入したもの。同じく昨年登場した「BD-V301」「BD-371」の2機種も同様の機能アップが可能になるという。

photophotophoto 「BD-V371L」に新ファームウェアを導入した「New 300シリーズ」(左)。ネットワーク機能は、リモコンの“家”ボタンに割り当てられる(中)。DLNAサーバの選択画面(右)。なお、300シリーズはCAMチューナーを1基しか持たないため、ネットワーク録画中は、CATVの裏番組を視聴できない

 新ファームウェアの目玉は、DLNAガイドラインとDTCP-IPのサポート。しかも、東芝「REGZA」のZシリーズや「スカパー!HD録画」と同じように、番組表で録画したい番組を選ぶとネットワーク接続したNAS(Network Attached Storage)に録画できる仕組みだ。展示機には、アイ・オー・データ機器のDTCP-IP対応NAS「HVL1-G500」を接続して“ネットワーク録画”をデモンストレーション。NASに録画した番組は、ほかの部屋にあるSTBをはじめ、DLNA/DTCP-IP対応のテレビなどで視聴できる。

photophoto DLNAでPCに保存している写真をテレビ画面に映し出したところ(左)。追加機能の概要(右)

 STB以外の対応機器でも録画すれば専門チャンネルの番組を視聴できるようになるDLNAは、一見CATV局のビジネスモデルを阻害するように見える。現在、STBの契約数は1件あたり平均1.2台と、CATV局にとって「2台め、3台め」のSTBレンタル契約もビジネスの一部になっているからだ。

 しかし、パイオニアの見解は少し違う。「地デジの世帯普及率が上がったといっても実際に対応しているのはリビングルームのテレビくらいで、寝室や個室にあるテレビの多くはブラウン管のまま。これがアナログ停波までにすべて置きかえられるとは考えにくい。しかし、New 300シリーズのようなリーズナブルなSTBなら、寝室や個室のテレビを容易にデジタル対応にできる」。ネットワーク録画やDMP(DLNAのクライアント)のような付加機能は、アナログ停波を機にSTB増設を進めるための材料になるという考えだ。

 新ファームウェアは、年内をめどに各CATV局を通じて提供される予定。

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