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フルデジタルNCイヤフォン ソニー「MDR-NC300D」を試すレビュー(2/2 ページ)

» 2009年06月30日 10時59分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 肝心なキャンセル効果だが、カナル型ながら「騒音99%カット」をうたうオーバーヘッド型の「MDR-NC500D」に匹敵する効果を体感できた。同時に発表されたカナル型の「MDR-NC33」も十分に高い効果だと感じたが、それ以上だ。

 地下鉄内ではホームへ車両が入線する際の音からガタンゴトンという走行音まで、かなりの低減効果を体感できる。喫茶店へ持ち込めば、空調の可動音はもちろんのこと周りの人の話し声までかなりを低減してくれる。

 深夜の静かな室内で音楽を止めるとさすがに「サー」というNCの動作音が聞こえるが、音楽を止めた状態でも、この原稿を書いているPCのファンの音はまったく聞こえなかった。外音を完全に遮断するわけではなく、話しかけられたことに気が付かないとまではいかないが、相当な低減効果であることは間違いない。

 耳穴の奥までイヤーピースを押し込める密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー方式の採用による密着感の高さや、7種類が用意されたイヤーピースによる物理的な遮音効果も高いのだが、ミュートボタンを押すと、まわりの騒音の多さに驚かされることから、デジタルNCの効果がいかに高いかを思い知らされた。

 装着しながら移動してみると、喫茶店内では「MODE C」、電車内では「MODE B」と自動的にNCモードが切り替わっていることも確認できた。モードが変更されても、それを知らせるアナウンスや電子音が流れることはなく、変更に伴う音質の変化もほぼないため、NCモードについて何ら意識する必要はない。まさにフルオートだ。

photophoto 深夜の室内にて。モードは「C」になった(写真=左)、こちらは地下鉄のホーム。自動的にモードは「B」に切り替わった(写真=右)

 NCユニットには、デジタルNCシステムとデジタルアンプ「S-Master」をワンチップに実装した新開発の「インテグレーテッドDNCプロセッサ」を搭載している。処理系のデジタル化により、これほどまでの高精度なキャンセル効果を得ているのだろう。ただ、S-Masterについてはあまり効果を実感することができなかった。

 S-Master搭載という点だけを取りあげれば、ウォークマン「NW-X1000」シリーズと同様なのだが、NW-X1000を試用した際に感じた解像感の高さや、ガラスを連想させるきらめくような硬質感は感じなかった。非常にフラットな、耳障りの良いサウンドを奏でてくれるために万人向けといえるが、NW-X1000のような音響特性には期待しない方がよい(初出時、NW-X1000シリーズのドライバ径に関する記載に誤りがありましたで、該当カ所を訂正させて頂きました)。

 航空機用プラグはもとより、装着することでプラグから耳元までの距離を2メートル近くまで延長できるケーブルが標準で添付するほか、「MOVIE」モードを備えることからも、純粋なオーディオ専用というよりも、航空機内での映画観賞まで視野に入れた、NCイヤフォンとしての汎用性に重きを置いているといえる。

photophoto 付属ケースには延長ケーブルや変換プラグ、クリップ、予備電池などを収納できる(写真=左)、径と高さの異なる7つのイヤーピースが付属する(写真=右)

 ただ、NCイヤフォンとしての効果は前述したよう非常に高く、NCユニットはやや大柄だが、オーバーヘッド型の製品に比べれば携帯性も高い。直販サイトでの販売価格は2万9800円とカナル型のNC製品としては高価ではあるが、「カナル型でとにかく強力なNC効果が欲しい」「宅内や航空機内での利用がメイン」というならば本製品は自信を持って勧められる製品だ。

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