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テレビ向け無線LANの条件――「テレビコネクション」新製品タッチ&トライ

» 2009年09月04日 14時40分 公開
[ITmedia]
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 「アクトビラ ビデオ」や「Yahoo!動画」といったテレビ向けのネットサービスが充実し、対応するテレビやレコーダーも増えてきた。各社の薄型テレビを見回すと、ミッドレンジ以上の製品であれば何かしらのネットワーク機能が搭載されているといった状況だ。

 しかし、LAN配線が面倒とか、やり方が分からないといった理由で、せっかくの機能を寝かせてしまっている人もいるのではないだろうか。今回は、アイ・オー・データ機器が6月に発売した「WN-LA/Cシリーズ」を使い、テレビの無線LAN化を考えてみたい。WN-LA/CシリーズのLAは「Link AV」の略で、「テレビコネクション」という愛称も付けられている“AV機器用”無線LAN機器だ。

photophoto WN-LA/Cシリーズ。WN-LA/Cシリーズの場合、親機と子機が同デザインでちょっと区別しにくいが、製品ロゴの近くに“地球”のマークが付いているほうが親機、テレビのマークが子機だ

 WN-LA/Cシリーズは、デザインから機能まで家電ライクにできているのが特徴。具体的には、薄型テレビのトレンドに合わせた光沢ブラックのコンパクトなボディー、省電力モードの搭載、そして出荷時にすべての設定が完了している点などが挙げられる(テレビのために生まれた無線LAN機器、アイ・オーから)。

photophotophoto 親機を付属のスタンドで縦置きにしたところ。サイズはどちらも、70(幅)×117(奥行き)×28(高さ)ミリ。ちょっと気になったのは、親機のLANポートにも「1」「2」としか書かれていないこと。1番ポートに「WAN」の表記くらいは入れるべきだろう。ちなみに2番ポートはLAN用のため、親機/子機合わせて3つの有線LANポートを利用できることになる

 デザインについてはご覧の通り。親機/子機ともに70(幅)×117(奥行き)×28(高さ)ミリの“手のひらサイズ”で、縦置き/横置きのどちらにも対応できる。最近の無線LAN機器にありがちなごついアンテナもなく、曲線を基調にした流麗なスタイルだ。AV機器のトレンドにあわせたという光沢ブラック塗装で、AVラックとの相性も悪くない。これなら、あえて隠す必要はなさそうだ。

photophotophoto こちらは子機。2つのLANポートにテレビやレコーダーを接続する。LANポートの隣にあるスライドスイッチで使用する周波数帯を変更できる

 ステータス表示用のLEDも明るさは控えめで好感が持てる。わが家では数年前の4ポート無線ルータをAVラックに置いているのだが(CATV回線のためチューナーの近くにWAN回線がある)、4つの青色LEDが明るすぎ、部屋の明かりを落としたときにはジャマに感じるほど。ならばと思ってゲーム機の背後に隠してみたところ、今度は間接照明のように壁を青く照らし出し、その明るさに改めて驚かされた。映画を見るときは照明を落とすといった人は、このあたりも一考したほうがいい。

 また、WN-LA/Cシリーズは節電機能も備えている。テレビなどの接続機器に電源が入ってないことを検知すると「おやすみモード」に移行。無線機能をオフにして消費電力を3ワット以下に抑える。

1本のケーブル代わりに

photo テレビの横にあっても違和感はない

 重要なのは、やはり最初から5GHzに設定されている点だろう。2.4GHz帯は何かと混み合い、家庭内で電子レンジなどの干渉も受けやすいため、安定性が求められるAV用途にはあまり向かない。DLNAで写真や音楽を楽しむ程度なら問題ないが、動画伝送を前提にするならPC用の無線ネットワークとは切り離し、5GHzを利用することをオススメしたい。

 しかし、PCとの接続性を考えれば店頭に並ぶ商品は2.4GHz帯をデフォルト設定にするのが普通だ。そして使用する周波数を変更しようとすると「なんだか面倒な設定作業」(あくまでもイメージ)が発生してしまう。対してWN-LA/Cシリーズは最初から5GHzに設定し、さらに接続やAES暗号化などの設定も出荷時に済ませているため、AV用途に限れば本当の“設定いらず”。またアダプタータイプの無線LANなので、テレビ側は有線接続時の設定のままでいい。実際にレビュー用に取り寄せた薄型テレビと組み合わせてみたが、箱から出して設置するだけで問題なく使用することができた。

photophoto 左はソニー「BRAVIA」の「KDL-40F5」、右はパナソニック「VIERA」の「TH-P42V1」と並べたところ

 WN-LA/Cシリーズが対応する無線LAN規格は、IEEE 802.11a/b/gおよびIEEE 802.11n ドラフト2.0。IEEE 802.11nは9月にも正式規格となる予定だが、Wi-Fi Allianceは7月末に「ドラフト認定された機器は最終的な認定プログラムの中核となる要件を満たすため、再テストを受けることなく802.11n認定機器として扱える」と発表している(→無線LAN「802.11n」、2009年9月に最終決定へ──携帯端末や家電への急速普及も見込む)。実際、他社製品ではすでに11nドラフト対応機器を“正式対応”とするケースも出てきており、ドラフト2.0だからといって接続性や将来性を心配する必要はない。もっとも、前述のようにAV用途に特化した1本のパイプとして使うのであれば、標準規格である必要もないのだが。

photophoto もちろんPCを有線接続して管理画面を呼び出し、細かく設定を変更することも可能だ。画面左は親機、右が子機の設定画面

 ラインアップは親機と子機をセットにした「WN-LA/C-S」(2万円)と単体子機「WN-LA/C」(1万400円)の2種類。単純にスペックだけを考えると、もっと安い同等製品も存在するし、複数台のPCを使っているような人なら有線ポート数がもっと多い製品を同じ価格帯でチョイスすることもできる。しかし、AV機器との相性は抜群で、手軽さは魅力。ネットワークの知識があまりない人にもオススメできる、ユニークなコンセプトの無線LAN機器だ。複雑なことを考えず、単純に“テレビをネットにつなぐパイプ”として無線LANを求めるなら、最初に検討したい製品だと思う。

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