今回の密かなサプライズは、iPod classicのアップデートだろう。iPod touchの大容量化も進み、徐々にフェードアウトの気配がしつつあったclassicだが、今回はストレージ容量が120Gバイトから160Gバイトへと引き上げられ、値段も249米ドル(2万4800円)の据え置きと、お買い得な内容になっている。とにかく手持ちのライブラリを丸ごと収めて持ち歩きたいと考えるユーザーたちの声は根強くあり、こうしたユーザーを切り捨てない姿勢には評価したい。
また、iPod shuffleのアップデートも行われた。デザインはボタンなどのUIをすべて省いた細長型を踏襲している。これまでと同様、操作はイヤフォンの途中に用意されたリモコンを使い、ディスプレイを持たない代わりにVoiceOverによる音声で現状の動作をユーザーに通知する仕組みだ。
shuffleのカラーバリエーションは5種類で、これとは別にシルバー色のApple Store限定特別モデル(光沢スチール製で本体重量が通常より重い)が用意されている。値段は2Gバイト版が59米ドル(5800円)、4Gバイト版が79米ドル(7800円)、特別モデルが99米ドル(9800円)だ。
最後にこぼれ話を。今回のイベント全体を見渡して、実は一番マーケティング的にプッシュされている製品はiPod touchだと感じた。ゲーム紹介を含めてデモの時間が一番長かったほか、iPhone 3.1、iTunes 9、Genius Mixes、App Storeなど、これらはすべてtouchに関係してくる。ふとイベント帰りにサンフランシスコ周辺を見渡してみると、そこかしこにtouchの広告が出されていたことに気付く。スペシャルイベントに合わせて広告を変更したのかと思って、過去に市内で撮影した写真を見比べていると、すでに数週間以上前からtouchの広告が出始めていたようだ。これは意外な発見だった。
Appleを過去数年にわたって見続けてきて面白いと思ったのは、携帯音楽プレーヤーや携帯電話、ダウンロード販売など、手法や技術が枯れて飽和しつつあると思った分野をうまく盛り上げ、1つの大きなビジネスに結びつけていくその手腕だ。今年こそはネタが尽きるだろうと思いつつも、しっかりと新しい提案をしてくるあたりはAppleらしい。来年もまた、こうした小さなサプライズをきっと見せてくれることだろう。
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