音質面にもCellの恩恵がある。
Cell REGZAのために用意されたスピーカーは、全長1.3メートルの横長タイプ。アルミ引き抜き材による剛性の高いエンクロージャーとし、グリルの中にはスピーカーメーカーとして知られるフォスター電機と共同開発したスピーカーユニットを7つ収めた。内蔵のデジタルアンプは総合出力で60ワット。ウーファーが各20ワット、ツィーターは10ワット(それぞれ最大出力)のマルチアンプシステムだ。
ハードウェアそのものも従来のREGZAシリーズとは一線を画しているが、Cellのパワーが生かされているのは音声信号処理の部分だ。Cell REGZAには、リアルタイムシーン検索エンジンとリアルタイムCM検索エンジンを利用した「コンテンツ適応音質制御」が搭載されており、番組内の音楽やナレーションの違い、本編とCMの違いなどを高精度に検出。それぞれに合わせてサウンドモードを切り替えるという。
中でもユニークなのは、リアルタイムCM検索エンジン。新しいCMを検知すると、冒頭の音声的な特徴を記録しておき、約4000本もの「CM音声データバンク」を保存しておく。これを参照することで、CMへの切り替わりを素早く検知し、音量の自動調節やサウンドモード切り替えに利用する仕組みだ。
Cell REGZAのチューナーボックスには、“Cellプラットフォーム”の2枚の基板(残りの1枚はディスプレイ側にある)に加え、合計14基のデジタルチューナーと3Tバイトのストレージが搭載されている。
ストレージのうち、2Tバイトは「タイムシフトマシン」と呼ばれる録画機能専用。タイムシフトマシンは、地デジの番組を常に上書き録画する、いわば“8チャンネル全録機能”だ。これをオンにしていると、HDDには過去26時間に放送された番組が常にストックされた状態となる(TS記録、20Mbpsで計算)。
リモコンの「タイムシフトマシン」ボタンを押すと、通常のレコーダーでは表示されない“過去の番組表”が表示され、見たい番組を選択すると放送中の番組のように再生がスタートする。また番組検索機能で目的の番組を見つけたときも、実はすでに録画されていて、再生できる状態になっているかもしれない。こうした新しい録画スタイルを提案するのがタイムシフトマシンだ。
「大量のコンテンツをストックし、自由に視聴する。ユーザーはテレビの放送時間から解放され、自分に合わせたスケジュールで番組を見ることができる」(同社)。
ただし、録画される番組は膨大な数になる。26時間すべてが1時間番組と仮定しても、8チャンネルを合わせれば数は200以上。スムーズに番組を探すには、より高度な検索機能が求められる。そこで東芝は、やはりCellのパワーを生かして「ローミングナビ」と呼ばれる直感的なユーザーインタフェースを実装した。
ローミングナビを起動すると、選択中の番組を中心に「タイトル」「人物」「ジャンル」「キーワード」という4つの軸で関連性のあるコンテンツを羅列する。輪状に広がるコンテンツの中から、広い視野で番組を探すことができるのメリット。「娯楽性と機能性を兼ね備えた新感覚の番組検索。知らなかった番組と“出会う”機会も増えるだろう」。
一方、通常録画用の1Tバイトには、一般的な予約録画やシリーズ録画(簡単連ドラ予約)にくわえ、「ちょっとタイム」、BS/CS110度デジタル放送を交えた「地デジ見ながらW録」といったREGZAシリーズならではの録画機能が利用できる。もちろん録画中の「追っかけ再生」にも対応。容量が足りなくなったら、USBの外付けHDDを2台まで接続してさらにストレージを拡張可能だ(登録は8台まで可能)。こうした多チャンネル録画を含め、複雑な処理をいくつも並行して行えるのもCellの処理能力ならではという。
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