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» 2009年10月19日 09時04分 UPDATE

レビュー:高感度に強くなった多機能コンパクト機――キヤノン「PowerShot G11」 (1/3)

キヤノンPowerShotの最上位モデル「PowerShot G11」を使ってみた。従来機から画素数を減らすことで高感度の画質を高め、バリアングル液晶を採用することで構図の自由度を広げた高機能コンパクト機だ。

[永山昌克,ITmedia]

バリアングル液晶モニターが復活

 キヤノン「PowerShot G11」は、マニュアル露出やRAW記録など写真愛好家向けの本格機能を備えたコンパクトデジカメだ。昨年発売された「G10」の後継機で、Gシリーズとしては2000年の初代「G1」から数えて9代目となる。

photo PowerShot G11

 外観は、同社が「オーセンティックデザイン」と呼ぶ精悍(せいかん)なフルブラックボディだ。奥行きは48.3ミリで胸ポケットに入れるにはやや厚みがあり、本体重量355グラムは最近のコンパクトデジカメとしては少々重め。だが、ダイアカットしたむき出しのダイヤルや、刻印処理したロゴ、レザー風のグリップなど各部のデザインには重厚感が漂い、シリーズの最上位機にふさわしい高級な雰囲気をかもし出している。このデザインイメージは従来モデルを踏襲したものだ。

 デザイン上の大きな改良点は、液晶モニターを固定式からバリアングル式に変更したこと。Gシリーズは、初代機から2004年の「G6」までがバリアングル液晶で、その後、2006年の「G7」から昨年の「G10」までは固定式だった。つまり、5年ぶりにバリアングル式が復活したことになる。

photo ローアングルやハイアングルからの撮影がしやすいバリアングル機構

 液晶可動の角度は、左方向に約170度、上下方向に約270度。液晶サイズは2.8型で、画素数は約46.1万画素となる。前作G10の3.0型46.1万ドットの固定式液晶と比較すると、サイズこそはやや小さくなったが、構図の自由度が広がるメリットは大きい。十分な明るさと鮮やかさがあり、屋外での視認性は良好だ。

 光学ファインダーは従来と同じく、視野率77%の実像式ズームファインダーを搭載する。ごく大まかな構図しか分からず個人的に使用頻度は乏しいが、フィルムカメラの感覚で撮りたいときには役立つだろう。

 ちなみに、PowerShot G11と同じく1/1.7型1000万画素CCDを搭載し、マニュアル撮影やRAW記録に対応しながらも、より薄型軽量ボディを実現した「PowerShot S90」がほぼ同時期に新発売された。バリアングル液晶の復活は、このPowerShot S90との差別化という意図があるのかもしれない。バリアングル液晶や光学ファインダー、ズーム倍率を重視するならPowerShot G11、携帯性優先ならPowerShot S90という選択になるだろう。

photophoto 電源を入れると、レンズ部がせり出し約1.3秒で起動。レンズは前モデルと同じく28〜140ミリ相当の焦点距離を持つ光学5倍ズームだ(写真=左)、記録メディアはSD/SDHCカードで、電源はリチウムイオン充電池。CIPA準拠のバッテリー寿命は約390枚となる(写真=右)

アナログ感覚のダイヤル操作を継承

 主要な操作にアナログ感覚を取り入れていることは、前モデルから継承したPowerShot G11の大きな魅力だ。ボディ上部の中央部には、ISO感度ダイヤルと撮影モードダイヤルを2段重ねで配置し、上部左側には露出補正ダイヤルを装備する。これらを回すことで、それぞれの値を確実に設定できる。

photophoto 回転操作で±2段の露出補正ができる専用ダイヤル(写真=左)、ISO感度ダイヤルと撮影モードダイヤルの2段重ね構造。シャッターボタンの形状もユニークだ(写真=右)

 片手での操作には不向きで、特に露出補正ダイヤルを回すには左手を使う必要があるため、この操作系を嫌う人もいるかもしれない。スマートなデザインとはいえず、操作部の見た目は無骨である。だが、スピーディな直感操作ができることと、設定した値を常に目で確認できることは、アナログ式ダイヤルならではのメリットといっていい。

 絞り値やシャッター速度の調整については、背面のコントローラーホイールの回転で行う。マニュアル露出モードの場合は、測光ボタンを押すことで、ホイール回転の役割りを測光モードから、絞り値やシャッター速度に切り換えられる。またコントローラーホイールの中央にあるFUNC.ボタンを押すと、FUNC.メニューが表示され、ホワイトバランスやマイカラーモード、記録画素数などを設定できる。

photophoto FUNC.メニューでは、露出やフォーカスのブラケット撮影などを設定できる(写真=左)、ショートカットボタンには、ホワイトバランスなどの10機能の中から1つを割り当てられる(写真=右)

 操作のカスタマイズとしては、使用頻度の高い機能を割り当てられるショートカットボタンや、好きな項目のみをまとめて表示するマイメニューに対応。各種設定の組み合わせを2種類まで登録できるC(カスタム)モードもある。

 各ボタンは適度な大きさとクリック感があり、操作感はおおむね良好といえる。強いて言えば、コントローラーホイールがやや回しにくいことと、独自形状のシャッターボタンは少々気になった。シャッターボタンは通常の人差し指操作では問題ないが、表面積が狭いため、ローアングル撮影時に親指で押すのには向かない。レリーズ時に鳴る擬似シャッター音については、フィルムカメラを連想させる鋭い響きで、気持ちがいい。

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