印刷速度と印刷品質については、E-800とE-600で同等と考えてよい。実際に、写真用紙とはがきの印刷にかかった速度は下表にまとめた通りだ。個人向けのインクジェットプリンタとして最速クラスには届かないが、印刷していてストレスを感じることがないスピードといえる。これなら、大量に年賀状を印刷しても問題ないだろう。
E-800/E-600の印刷速度 | |||
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印刷の内容 | ダイレクト写真印刷 | PCから写真印刷 | PCからはがきの通信面印刷 |
用紙種別 | 写真用紙クリスピア<高光沢> | 写真用紙クリスピア<高光沢> | インクジェットはがき |
用紙サイズ | L判 | L判 | はがき |
印刷したデータ | JPEG画像(約4.8Mバイト) | JPEG画像(約4.8Mバイト) | 独自データ |
標準品質の印刷時間 | 43秒12 | 28秒22 | 34秒09 |
きれい品質の印刷時間 | 1分25秒27 | 1分14秒54 | − |
ダイレクト印刷は印刷実行から排紙終了まで、PCからの印刷は紙送りの開始から排紙終了までの時間をストップウォッチで計測した |
印刷用紙にエプソン純正の写真用紙、写真用紙エントリー、写真用紙クリスピアを使う場合、印刷品質の設定で「標準」と「きれい」が選べるが、見た目の画質差はごくわずかだ。グラデーションの細かさでは比較的分かりやすいが、用紙に目を近づけて凝視しなければ区別がつかない。通常は「標準」の印刷品質でまったく問題ないだろう。なお、印刷用紙が「郵便光沢ハガキ」や「郵便ハガキ(インクジェット紙)」の場合、印刷品質は「標準」のみとなる。
写真印刷の品質にも特に不満はない。印刷するデータによっては、やや濃いめだったり高彩度に感じる場合もあるが、嫌味なほどではなく、コントラストや明るさのバランスは安定している。グラデーションも優秀で、暗部の黒つぶれ、明部の白飛び、高彩度の色飽和などは、まず気にならない。インクのドット感も無視して差し支えないレベルだ。自動補正機能はデフォルトの「オートフォトファイン!EX」−「標準」設定が無難で、もっともハズレが少ないように感じた。
PCと接続して印刷する場合のプリンタドライバは、カラリオシリーズ共通のもので使い勝手は良好だ。ただし、用紙サイズ/種類の選択肢がE-800/E-600用になり、拡大/縮小印刷、割り付け印刷、スタンプマーク印刷といった一部の機能が無効化されている。
写真印刷用のアプリケーションとしては、ほかのカラリオシリーズと同様に「E-Photo」が付属している。フォルダツリーとサムネイルから印刷画像/枚数を選択して、フチなしなどのレイアウト、用紙種類/サイズを指定して印刷する流れだ。フレーム印刷したり、簡単な画像補正を施すこともできる。E-Photoの画像補正を利用する場合、画像内で人物の「顔」を自動検出して、顔を細めに印刷する「小顔補正」と、肌をきれいに印刷する「美白補正」、さらに体全体をスリムにする「スリム補正」の適用が可能だ。
近年のカラリオミーシリーズは、印刷品質と速度、機能、操作性など、全体的に小型フォトプリンタとして完成の域に達しつつあった。こうした基本的なところを踏襲しつつ、今回のE-800とE-600は、プリンタ単独での機能性と操作性を高めた意欲作だ。大型液晶ディスプレイとリモコンの標準装備で操作性が向上し、市場が急成長しつつあるデジタルフォトフレーム機能を盛り込んだのもよい着眼点といえる。
加えてE-800においては、キーボードとはがき作成/住所録管理の機能も標準装備し、E-800だけで年賀状などのはがきを作成/印刷できる。オリジナルの写真を使ったはがきをPCなしで手軽に作れる点に大きな魅力を感じる人は少なくないだろう。携帯電話やデジカメで写真を撮っているがPCは苦手という人にはもちろん、多彩なデジタルフォトフレーム機能もあるため、プレゼントに贈っても喜ばれるのではないだろうか。
PCなしであて名面を印刷できる小型プリンタは過去に他社からもリリースされてきたが、プリンタ市場で目立ったヒットは見られない。カラリオミーのブランド力とプリンタとしての高い完成度により、E-800がこの市場をどれだけ開拓できるのかにも注目していきたいところだ。
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