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» 2009年11月18日 12時28分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.40:この冬最大の話題作「CELL REGZA」で観るBD「スラムドッグ$ミリオネア」の喧騒と光彩 (1/2)

2009年冬のテレビ最大の話題作といえば、東芝“CELL REGZA”だろう。この時代に55V型で100万円という値段に驚かれた方は多いだろうが、詳しく見ていくと、その内容の濃さには目を見張る。

[山本浩司,ITmedia]

 深刻な不況といわれ続けられながらも、大画面薄型テレビが今年後半好調な売上げを続けている。エコポイントの後押しも当然あるだろうが、こんな時代だからこそ“イエナカ”の楽しみを充実させたいとお考えになる方が多いせいもあるのではないかと思う。

 さて、そんな2009年冬のテレビ最大の話題作といえば、“CELL REGZA”東芝「55X1」ということになるだろう。この時代に55V型で100万円という値段に驚かれた方は多いだろうが、詳しく見ていくと、その内容の濃さ、クォリティへのこだわりには目を見張らざるを得ない。本機は間違いなく今年最大の力作テレビである。

photophoto 東芝の“CELL REGZA”「55X1」

 55X1最大の注目ポイントは、従来の画像処理エンジンに用いられたCPUの約143倍の演算処理速度を持つCellプラットフォームの採用だ。超解像処理などの画質追求のみならず、「地デジ8番組同時録画」などタイムシフト・マシンとしての機能性や使い勝手にもCellの能力をフル活用し、これまで想像できなかったクォリティと使い心地を実現したモンスターTVといっていいだろう。

 まず驚かされるのはその圧倒的な録画能力だ。本機別筐体のコントロールボックスには合計14のチューナーユニットと3TバイトのHDD(ハードディスクドライブ)が内蔵されており、HDDの2Tバイト分を先述した「地デジ8 番組同時録画」の26時間保存に使用し、残りの1Tバイト分を番組予約録画に充てるという寸法だ。全番組録画は数年前にソニーがVAIOで提案したことがあるが、確かにこれはテレビの見方を根本から変えるソリューションかもしれない。帰宅してテレビを点け「あ、この番組面白そうだな」と思ったら、すぐさま番組開始時間に戻れるわけで、その便利さは使い始めると病み付きになること間違いない。大量に録画したコンテンツを関連づけて検索できる「ローミングナビ」の仕上がりも楽しみだ。これでコントロールボックスにBDレコーダー/プレーヤー機能があれが完璧なのに、と思うのはぼくだけではないだろう。

photophoto 8画面の動画表示(左)と「ローミングナビ」(右)

 さて、本機の画質は試作機の段階から何回か見せてもらったが、まず驚かされたのは、その圧倒的ともいえる明暗のダイナミックレンジの広さだった。LEDバックライトのローカルディミング(部分消灯)によって漆黒の闇を実現すると同時に、いまだかつて見たことのない鮮烈な白を表現する。この白ピークの輝きを見て、薄型テレビがやっとインパルス表示のブラウン管を超える輝度表現を獲得したと思った。

 では、なぜこんな画質が実現できたのか。55X1は白色LED バックライトを512分割し、エリアごとに入力画像の輝度レベルを分析してその光らせ方を決めていくのだが、あるレベルまで暗くできるエリアについては白ピークを持ち上げる処理を行なっているのだ。明るいエリアで白ピークを持ち上げると、単にまぶしくなるだけなので、そこではこの処理は行なわない。バックライトの増幅度は、従来の16倍から512倍まで増やしているという。コントラスト表示は500 万:1という前代未聞の数字である。

 また、本機は1秒間に120枚の映像を表示する倍速表示を行なうが、エリア分割してバックライトを点滅させることで、1枚前の残像を低減して液晶特有の動きボケを抑える「Wスキャン倍速」が採用されている。CCFL(冷陰極管)に比べて圧倒的な高速応答が実現できるLEDを点滅させるわけだから、CCFLを用いていたときのようにフリッカー(画面のちらつき)が気になることもない。また、エリア分割数も昨年のモデル「ZH8000」シリーズの8倍となる16分割ときめ細かくなり、よりいっそう滑らかで躍動感のある映像表現を実現している。

 さて、Cellを用いた高画質技術といえば「超解像」である。これは、ボケている輪郭を見つけたら、その傾きと同じ角度を持ったエッジを同画像の中から探し出し、それをボケている部分に貼り付ける処理などを行なうことで、見た目の解像感を向上させる技術。本機では新たに色解像度の向上まで踏み込んだ処理が加えられている。ハイビジョン放送からDVDのようなSD素材、ネットコンテンツのYouTubeまで、クォリティ偏差のあるさまざまな映像の鮮鋭度を等しく上げようという試み、これも1つのテレビの夢の実現といえるだろう。

photophoto Cellをコアにした「Cellプラットフォーム」(左)と「YouTube」の画面。「超解像」技術で見やすくなる

 さて、大画面薄型テレビ最大の弱点は音質にあったわけだが、55X1はそこにも本気でメスを入れてきた。

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