どうしても気になる部分。それは、背面に設けられたツィーターと思われるユニットだ。説明書には「360度サウンド」と書かれているが、壁際設置が多いはずのPC用スピーカーになぜ背面ユニットが必要なのか、違和感が残る。オフィスで向かいの人に自分の好きな音楽を強制的に聴かせる仕様なのだろうか。
ものは試し。後ろ向きに設置してみたところ、低音のボリュームが少し下がる印象はあるものの、それ以外は前向きと変わらない音を聴くことができた。指向性の弱い低域は1つのユニットを共用し、指向性の強い高音域だけを専用のツィーターでまかなう仕組み。スイートスポットも前向きの場合と同じ場所となるため、“360度”というよりは“180度×2”のほうが適切かもしれないが、確かにユニークな機能である。
難点を挙げるなら、スピーカーを後ろ向きにすると配線が露骨に見えてしまうこと、そして電源やボリュームの操作ができないことか。いや、設置する前から分かっていたことだけど。
とはいえ、いまひとつ具体的な利用メージがわかないことに代わりはない。その後しばらくは放置していたが、ロジクールの広報に思い切ってたずねてみた。
――360度サウンドって、どのようなシチュエーションを想定した機能なのでしょうか?
「リビングルームに多くの人がいるようなケースに適しています。とくにホームパーティーなどにいいかもしれませんね」
――日本でホームパーティーって、そんなに多くあるんでしょうか
「米国に比べると少ないかもしれませんが、それなりにパワーがあって、どこにいてもちゃんと音が聞こえるということは、スピーカー自体を置く場所の自由度が上がるということです。日本の住宅事情ではスピーカーの置き場所にもかなりの制約があると思いますので、この機能は国内でも大きなアドバンテージだと思います」
――なるほど。しかし、何かまだ引っかかっているような気がします
「まあ、1万円クラスのPC用スピーカーは市場に数多くありますから、開発担当者も何かしらの特徴を持たせたかったのでしょう」
ナゾ解明。なにやら胸のつかえがとれたような気がした。
現在のところ、わが家では普通に壁際設置されているSpeaker System Z520。もっと広い部屋に引っ越したら、PCデスクを壁際以外の場所に置いて背面スピーカーも活用してあげたい。ついでにホームパーティーなんぞも企画してみよう。そんな気持ちにさせるPCスピーカーであった。
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