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» 2009年12月22日 17時07分 UPDATE

デジカメ動画活用塾:第2回 デジイチ動画のキモ、オートフォーカスを知る

デジタル一眼で動画を撮影した際、ビデオカメラと比べて最も違和感を感じるのはオートフォーカスの速度だろう。その仕組みを知る。

[渡邊宏,ITmedia]
photo ビデオカメラでは快適なAFが利用できる

 デジタル一眼で動画を撮影した際、ビデオカメラと比べて最も違和感を覚えるのはオートフォーカス(AF)だろう。大半のデジタル一眼において、動画撮影時のAF速度はビデオカメラに劣る。それはなぜだろう?

 この疑問を解決する前に、AFについて確認しておこう。AFとは文字通り、カメラのピント(フォーカス)を自動(オート)にあわせる機能で、近年のカメラおよびビデオカメラではほぼ標準搭載される機能となっている。ただ、静止画を撮ることが主目的のカメラと、動画を撮ることが主目的のビデオカメラではそもそもの目的が違うため、「動画撮影時のAF速度はビデオカメラに劣る」と論じるのはある意味ナンセンスといえる。あくまでも、それぞれの目的に適した形で機能を実装したために起こった差異なのだ。

 しかし、機構の変更によってビデオカメラ並みとはいかなくとも、パナソニック「DMC-GH1」やオリンパス「E-P1」など、かなり快適な動画AF速度を手に入れているデジタル一眼は存在する。いずれもミラーボックスを内蔵せず、AFは「コントラストAF」という方式で行う。これはレンズを少しずつ動かしながら、撮像素子がとらえた映像をチェックし、コントラストが一番高くなったところを見付けるという方法だ。

 さきほどミラーボックスという言葉が出てきたが、これは「一眼レフ」を一眼「レフ」たらしめる部品で、レンズから入った光を反射させてファインダーとAFセンサー、そして撮像素子へ分配する役割を持つ。いわゆる一眼レフの場合、レンズから入った光は普段、45度の角度がつけられたミラーで上方向に反射され、ファインダーへ抜ける。撮影時にはミラーが上がり、光はレンズから撮像素子へまっすぐ導かれる。

 このミラーは半透過式で、非撮影時(シャッターを押していない状態)だと、前述のようにファインダーへ光を導きつつ、透過した光をAFセンサーにも導く。シャッターを切る瞬間はミラーアップされるので、ファインダー/AFセンサーへ光を導くことはできないが、レンズから入った光をAFセンサーへ直接導けるので被写体までの正確な距離が判明し、結果として高速なAFスピードを実現できる。これはAFセンサーの方式から一般に「位相差AF」と呼ばれる。

photo デジタル一眼レフの非撮影状態。半透過式のミラーに45度の角度がついている

 動画撮影時のAFを理解する際に重要なのは、後者のミラーボックスを搭載したカメラは「ファインダーでの被写体確認/ピント合わせ」と「撮影」の動作切り替え時にミラーを動かす必要があるため、撮影の瞬間にはピントをあわせ続けられない、ということだ(ミラーダウンの状態しか位相差AFが利用できない)。動画撮影は撮像素子へ光を当て続けなくてはならないので、必然的にマニュアルでピントをあわせるか、一度あわせたピントで撮影をし続けることになる。この欠点を補うためには、動画撮影時のみコントラストAFを利用することになるが、そうしたカメラは元来がレンズ制御も含めて位相差AFを前提に設計されているため、コントラストAF利用時のフォーカス速度はお世辞にも快適とはいえないものがほとんどだ。

 ミラーアップ/ダウンでピンときた人がいるかもしれない。ミラーボックスを搭載した一眼レフで動画を撮影するという行為は、レンズから入った光(映像)を背面液晶で確認しながら撮影する「ライブビュー」の延長ともいえる機能だ。世界初の動画対応デジタル一眼レフとして登場したニコン「D90」は動画撮影をする際、ライブビューボタンを押してから動画撮影モードへ移行する。この辺りの事情を知っていれば、この仕様にも合点がいくだろう。

 一方のコントラストAFだが、これは前述したよう、ピント合わせの際、撮像素子がとらえた映像をチェックしつつ、レンズを動かすという方法となるため、これまで、迅速なピントあわせが要求されるカメラには搭載されてこなかった。しかし、カメラ/レンズの処理速度向上やピント合わせアルゴリズムの最適化などが進み、最近では別途AFセンサーを搭載する方式にも劣らないほどのAF速度を実現するに至っている。

photo マイクロフォーサーズ規格を採用する「DMC-GF1」。ミラーがないため、レンズを外すとすぐに撮像素子が姿を現す

 DMC-GH1などが採用するマイクロフォーサーズ規格はフォーサーズ規格準拠製品よりもさらに小型の製品を作り出すために企画されたものだが、レンズマウントの接点数は9点から11点に増加しており、ライブビューや動画撮影などさまざまな処理の高速化と高機能化が可能となっている。同規格を採用する製品が快適な動画撮影を実現しているのは、AF方式の選択もさることながら、規格自体が静止画/動画の融合した、デジタル時代のイメージング機器に即したものであるからといえる。

 ただ、位相差AFを採用する製品群にもメリットはある。それは、これまでに登場した豊富なレンズ資産を活用できることだ。快適な動画撮影を考えるならばマイクロフォーサーズ規格のカメラが選択肢の上位にくることは間違いないが、規格自体がスタートして間もないため準拠レンズは現在8本であり(マウントアダプターを利用すればこの限りではない)、動画撮影時のAFや絞りについて制限のかかるレンズも多い。位相差AFを利用する製品では既存の交換レンズ――ニコン「ニッコールレンズ」やキヤノン「EFレンズ」、ペンタックス「スターレンズ」など――、これまで販売されてきた数々のレンズを利用して動画撮影を楽しめる。

 カメラ自体がそもそも動画撮影用機器ではないので、動画撮影時にビデオカメラなみの快適性を求めるのは無理な話といえるが、前回に述べたよう、ビデオカメラでは撮影できない「デジイチ動画」ならではの映像があることも確か。製品それぞれの長所と短所を理解しながら使うべきだろう。

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