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» 2009年12月25日 18時23分 UPDATE

本田雅一のTV Style:2009年の薄型テレビ、2010年の薄型テレビ(後編)

先週の2009年振り返りに続き、今週は2010年の薄型テレビ市場を予想してみよう。個人的に注目しているのは、録画機能付きテレビの進化についてだ。

[本田雅一,ITmedia]

 先週の2009年振り返りに続き、今週は2010年の薄型テレビ市場を予想してみよう。

photo BCNが2009年2月に発表した「主要デジタル製品平均単価下落率推移」調査結果。2008年から2009年にかけ、液晶テレビは15%も値下がりした

 まず懸念されるのは、市場での価格低下がテレビの質低下につながるのではないか、ということだ。価格指向が行き過ぎると、メーカーにとってはビジネス上のリスクは増えるのに利益が出にくい市場になる。利益率を改善するには、販売価格に見合うよう、ひたすらにコストダウンを重ねていくほかない。品質指向のバイヤーが、もっとも危惧しているのは、テレビの価格が下がりすぎ、業界全体で製品の質が下がってしまうことだろう。

 モノというのは、購入するときにはうれしさや新鮮さもあって、すべてが良く見えるものだが、使い慣れてくると製品の本当の質感や画質、操作性などの善し悪しが見えてくるものだ。しかし来年いっぱいは、さほど大きな心配はしなくていい。来年の年末商戦は、2011年のアナログ停波に向けてラストスパートとなる。言い換えれば、長く続いたアナログ製品からの“買い換えバブル”も来年が最後なので、市場環境は徐々に悪化しているものの、各社とも引き続き薄型テレビに力を入れてくると考えられるためだ。

 では、画質や機能の面で、改善する余地はあるのだろうか?

 まず画質だが、毎年改善が重ねられているように、液晶パネルやPDPの素の特性は来年も良くなっていく。液晶であれば黒浮きが抑えられ、バックライトのLED化も進んで超薄型デザインの液晶テレビが一般化してくるはずだ。LEDを用いて高画質化を目指した液晶テレビと、LEDで薄型デザインを狙った製品の両極に分かれるだろう。

 PDPは、国内で唯一の製造元となったパナソニックが、いよいよパイオニアの技術を一部導入するなどして画質を磨くようだ。新世代のパネルには来春の3D対応テレビで切り替わるのではないか? と予想している。

 その3Dテレビだが、来年春には3D対応BDプレーヤー(あるいは3D再生対応のBDレコーダー)とともにパナソニックから発売され、その後、ソニーが追従することになる。「プレイステーション3」(PS3)も初代機を含めてファームウェアアップデートで3D対応になる。3Dゲームだけでなく、Blu-rayの3D規格にもPS3はファームウェアアップデートで対応する。

photophoto 10月の「CEATEC JAPAN」で注目を集めたパナソニック(左)とソニー(右)の3Dテレビ

録画テレビの進化に期待

 個人的に注目しているのは、テレビ内蔵の録画機能がどうなっていくかだ。来年は、ここで各社の差がついていくのではないだろうか。

 従来のテレビ内蔵録画機能は、その多くがレコーダー機能を取り込んだだけだった。ここでいうレコーダー機能とは、VHS時代からの使い方を踏襲するもので、番組を予約して録画しておき、後で見るというタイプの機能だ。

photo ソニーが2002年に発売したHDDレコーダー「Cocoon」(CSV-E77)。自動録画機能「おまかせ・まる録2」のほか、放送中のTV番組を一時停止する「TVポーズ機能」や気になる場面をもう一度見るために15秒前にさかのぼる「フラッシュ機能」などを搭載していた

 しかしもう1つ、常時タイムシフトの方が良いという考え方もある。VHSレコーダー的機能を統合するのではなく、テレビが本来持つ機能をHDDなどの一時ストレージを活用することで拡張するという考え方だ。以前、ソニーが販売していた「Cocoon」が、このタイプの代表格だが、常時HDDを使い続けることによるHDDへの負荷の大きさや、常にHDDの動作音がし続ける問題などが指摘されている。

 とはいえ、常時タイムシフト機能というのは、使い始めると手放せない魅力がある。ふと何気なく見ていた番組を保存する場合に、見始めた時間までさかのぼって保存できたり、録画しているか否かに関係なく、生で見ている番組にポーズをかけたり、最初から見直したりといったことが可能だ。テレビをより便利に使いこなすという意味では、こちらの方がテレビ内蔵機能としてはシックリくる。

 最近の製品では、東芝「CELL REGZA」が本格的な常時タイムシフトを導入したが、それ以外のREGZAはまだレコーダー型だ。これは日立製作所やパナソニックの製品も同じである。が、来年はそろそろ、常時タイムシフト採用の製品が増えてきてもいいだろう。タイムシフト専用なら、HDDが壊れてもダメージは少ない。このあたりの機能をどのように使いこなしていくかには、各メーカーの考え方が強く反映されるものだ。

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