連載
» 2010年01月28日 11時44分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:3Dの未来と課題 (1/5)

世界最大規模の家電展示会「International CES」には、さまざま新製品や技術、トレンドが集合する。今回の「デジタル閻魔帳」は“CESの水先案内人”こと麻倉氏に、3Dの未来と課題について語ってもらった。

[渡邊宏,ITmedia]

 今回で43回目を迎えた世界最大級の家電の祭典「International CES(Consumer Electronics Show)」が今年も米ラスベガスで開催され、さまざまな新製品/新技術/トレンドが紹介された。

 デジタルメディアのトレンドをいち早く、しかも分かりやすく紹介してくれる麻倉怜士氏の月イチ連載「デジタル閻魔帳」。毎年1月前半はCESからハリウッドまで精力的に米国取材をこなす“CESの水先案内人”こと麻倉氏に、CES取材を通じて明らかになった“3Dの未来と課題”を語ってもらった。

photo

麻倉氏: 去年はリーマンショック直後で人も少なく、3日目にはかなり人影はまばらとなりましたが、今年はそのような様子もなく盛況でした。会場を一部縮小した影響で出展社は減りましたが、予約だけで12万の展示企業/団体が参加したそうです。日本企業についても、三洋電機とビクターが復活しましたので、予想より盛り上がりましたね。

 見所はなんといっても3Dでした。CESの主催団体「CEA」のゲイリー・シャピロCEOは今回の最大の話題は3Dの登場だと明言していました。彼は加えて、画面サイズが5〜10インチの携帯端末も注目すべきジャンルだと言います。現在はネットブックあるいは電子ブックリーダーが該当する製品群ですが、確かに、それらの製品群は会場を見渡しても多く見受けられました。

 話を3Dに戻しましょう。3D化への流れは国際的な展示会ごとに加速していました。去年のCESではパナソニックとソニーが実験的に3Dテレビを見せ、9月のIFAと10月のCEATECではデモンストレーションの規模が拡大しました。そして、今回のCESではソニーとパナソニックから川上から川下までのサポートという、商業ベースでの開始がアナウンスされました、昨年はアピールにとどまっていましたが、ビジネスの段階に進んだのが、3Dの現在といえるでしょう。

 CES開幕前日のプレスデーから、各社のアピールは3D一色でした。LG Electronicsがプラズマ/液晶/プロジェクタでの3Dを、東芝はCell REGZAでの2D/3D変換を打ち出しました。また、Samsung ElectronicsはLEDバックライト搭載液晶テレビ「LED TV」の3D対応、パナソニックは映画「Avatar」を使って応答速度の速いプラズマは3Dに有利とアピール、ソニーは新型BRAVIAとメガネ、PS3との組み合わせる……などです。

 会場へ足を踏み入れても3D一色なのは変わりません。LG Electronicsは6.9ミリという薄型液晶を大きく展示していましたが、メインはやはり3Dです。LEDバックライトを使った3D液晶テレビとプラズマテレビ、それに富士フイルムの3Dデジカメに対応した3Dテレビや、SXRDを使った3Dプロジェクターを展示していました。

 このプロジェクターは120Hz駆動の光学系をコの字形に2つ搭載し(プリズムによってレンズは1つ)、液晶プロジェクタなみのコンパクトさを実現しています。3Dという映像の特性からすると常時見続けるというより“観賞”用であり、プロジェクターとの相性は良いはずです。ですが「ビジネスのスタートアップ」を考えると、直視型が優先されるのは致し方ないのかもしれません。ただ残念なのは、SXRDを搭載しているのになぜソニーではなく、LG Electronicsなのかということですね。

 シャープはCEATECで見せていた新液晶パネル「UV2A」の改良版を展示していました。3Dテレビの展示について各社がカバーをつけたり暗いところで見せていたのに対して、彼らは明るいところで見せ、その明るさ、コントラストをアピールしていました。3Dについては先行しているとはいえませんが、それは彼らがコンテンツやディストリビューションを手掛けない企業だからです。3Dのデモは行われていましたが、ベーシックな3D技術を保持していること、独自のパネル技術を有する強みを感じさせました。

麻倉氏: パナソニックのブースはおよそ半分が3D関連の展示で占められていました。彼らのこだわりは「フルHD/3D」です。BD-ROMフォーマットで同社がフルHD/3Dを提案したことも、「最高画質でないと普及させることは難しい」と考えているからです。最高画質の3Dとは、「絵として優れていること、そして、視覚的に3Dらしいこと」までも含んでいます。

photo

 同社米国法人社長の北島氏によると、「ここにきて流通が積極的になってきた」と言います。3Dはこれまで何度も失敗を繰り返してきた経緯があり、流通側は今回も当初は及び腰だったそうですが、コンテンツ制作側も放送側も積極的な姿勢を見せていることもあって、かなりのリアリティをもって受け止めているとのことです。同様の話はソニーでも聞きました。

 パナソニックの新しいプラズマは画質はもちろん、快適性にも優れています。Comfort&Quality(快適さと高画質)とはSamsung Electronicsが使っていた言い回しですが、3D時代では画質も大事ですし、加えてどれだけ快適に視聴できるも重要になるということですね。パナソニックはどちらも重視しています。シアターでは103V型を筆頭に多くのフルHD 3Dを表示しており、開場とともに満員となるほどの人気でした。

 体験できるというのはやはり大事で、ブースでは3D映画「Alice in wonderland」と「avatar」、それにいくつかの3Dデモを流していましたが、CEATECのときよりもメガネ視聴での不自然さが減っていました。ただ、DirecTVの放送コンテンツの3DコンテンツはハーフHDとなってしまうため、やや見劣りする感は否めませんでした。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.