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» 2010年01月29日 23時09分 UPDATE

本田雅一のTV Style:3DのおかげでHDMI 2系統出力が身近に?

AVファンに朗報だ。今は高級BDプレーヤーにしか採用されていないHDMIの2系統出力が身近になるかもしれない。その理由は、3D対応の副産物?

[本田雅一,ITmedia]

 前回まで3Dテレビの話を続けたが、今回はその話のちょっとした続編ということで、AVマニアにとっての朗報を伝えさせていただきたい。

 高級BDプレーヤー……例えばデノン「DVD-A1HD」やパイオニア「BDP-LX91」といったハイエンドクラスには、HDMI出力を2系統装備し、これを映像と音声で分けて出力する機能がある。レコーダではソニーの「BDZ-EX200」が唯一装備する機能だ。

photophoto パイオニア「BDP-LX91」(左)とソニーの「BDZ-EX200」(右)

 実はHDMI出力を2系統装備するのは意外に大変だ。それぞれ別々の製品を接続するのだから、両方につないだ機器が正常に動作するように配慮する必要があるし、そもそもHDMIという規格そのものが1対1の接続しかサポートしていない。サポートするための開発や検証のコストは、おそらく読者の皆さんが想像しているよりずっと大きい。

 そのために上位機種にしか装備できていなかったのだが、それでもこの機能を採用する製品が増えてきているのは、音声と映像を分けることによって、音質が格段に良くなるからだ。

photo ソニー「BDZ-EX200」のHDMI出力は2系統

 よく”音声出力専用にすることで、信号帯域に余裕が生まれるから”音がよくなると解説されているが、これはあまり正しい説明ではない。ちょっとHDMIを知っている人ならば、なんじゃそれは? と思うだろう。HDMIの元になったDVI規格は、もともとデジタル映像のデータを送出することしか想定していない。音声はHDMIとしての枠組みを決める際、通信フレームの開いている部分に音声データを載せただけ。”映像を送らない”という選択肢はないので、映像があってもなくても、HDMIの通信速度は変化しない(もちろん接続する解像度が変われば通信速度は変わる)。

 だから音声専用にしても、プレーヤーからは”黒い映像”を送り続けている。音がよくなるのは、それを受信する側にあり、受信した映像の暗号を解いてデジタル映像のパラレル信号に変換したとき、信号値が暴れずに同じ値になってくれるので、受信LSIの電源が安定する。すると受信LSIが組み立てる音声信号の質が高まる。とまぁ、こんな具合の仕組みでHDMIのセパレート出力が、音質向上に寄与していたのだ。

 ところが、BDプレーヤーが3D対応になると、そのほとんどはHDMI2本出しになりそうなのだ。全機種がオーディオセパレート出力をサポートするかどうかは分からない(単に切り替え、あるいは同時に同じ映像と音声を出すだけという機種も出てくるかもしれない)が、少なくともパナソニックが米国で発表した「DMP-BDT350」は、HDMIからの映像・音声セパレート出力をサポートしている。

 では、なぜ3D対応になるとHDMIが2本出しでなければならないのだろうか。

 3Dに対応するには、HDMI 1.4という規格に対応していなければならない。ところがAVセンターの多くはHDMI 1.3対応なので、AVセンターでサラウンド音声を再生する構成にしてしまうと、3D映像が楽しめないということになってしまう。

 もちろん、HDMI端子からのケーブルは3Dテレビに直結し、音は別途、SPDIF端子などからAVセンターに接続することは可能だが、その場合はロスレス圧縮音声などの、BDになって進化した高音質を楽しむことができないという、とても困った話が出てくる。

 そこでHDMIを2系統出力し、それぞれ別のHDMI規格で接続可能にする必要が出てきたのだ。もちろん、上記の問題を無視した製品も出てくるかもしれないが、出てきたとしてもHDMI 1.4が普及する数年後だろう。気の利いたメーカーならば、HDMIが2本出しになると思っていい(逆にそこをケチったメーカーの製品は選ばないという気構えぐらいでもいいと思う)。

 というわけで、あこがれの映像・音声セパレート出力対応のBDプレーヤーは、まもなく身近な存在になるだろう。

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