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» 2010年02月26日 12時15分 UPDATE

本田雅一のTV Style:3D対応が衛星放送やCATVから進む理由

3Dテレビが実用化に向かうきっかけとなったのは映画だったが、実際に3Dテレビが発売された後は、もっと日常的に3D映像を楽しめるチャンスを増やす必要があるだろう。

[本田雅一,ITmedia]

 ”3Dテレビ”というのだから、3D映画を楽しむだけでなく、テレビ番組にも3Dが放送されなければ意味がないじゃないか。そうした意見をよく耳にするようになってきた。3Dテレビが実用化に向かうきっかけとなったのは映画だったが、3Dテレビ発売後はもっと日常的に3D映像を楽しめるチャンスを増やす必要がある。

photo BS11では、隔週土曜日の「3Dシアター」など積極的に3D放送を展開している

 3Dテレビ放送は、すでにBS11にて一部番組を3D放映しているが、今後はスカパー!HDが放送を夏に予定しているほか、CATVネットワークのJ:COMもビデオオンデマンドでの3D映像配信を4月から行うと発表していることは、この連載の読者なら承知のことだろう(→関連記事1関連記事2)。

 3Dの映像ソースには大きく分けると2種類がある。1つはBlu-ray Discを用いたもので、こちらは既に規格化が終わっていて、フルHDの品質をそのままに3D化を行える。ひとつの映像ストリームに左右分の映像を収めた上で、従来の2Dプレーヤーでも再生できる下方互換性もある点などが特徴だ。

 3D BD規格が3D映像フォーマットの現時点における頂点とするなら、放送やオンデマンド配信で使われようとしているフォーマットは、画質こそ落ちるものの、もっとシンプルで規格化が不要な技術である。簡単にいえば、フルHDの画素を半分にして、左右の情報を1枚のフレームに混在させることでステレオ化する。

 左右映像の画素を、どのように分割するかによって、大きく4種類の分割方法が考えられるが、どの放送局もサイド・バイ・サイドという左右二分割した画面に、それぞれ左右の映像を入れる方法を採用している。当然、左右方向の画素数は半分になるため画質は落ちる。

 ほかにも画素を市松模様に間引くことで左右の映像を1枚分の画素数で伝送するチェッカーサンプリング方式や、ラインごとに左右に振り分けるライン・バイ・ライン方式があるが、市松模様の分割は解像感はあるもののモアレが出やすかったり、3Dメガネをかけていない人が放送内容を判別しにくいなどの問題がある。一方のラインごとの分割では走査線数が半分になるためか、左右分割のサイド・バイ・サイドよりも解像感の低下が著しく感じられる。結局、視認性が良いサイド・バイ・サイドが採用された。

photo Blu-ray 3D、チェッカーサンプリング方式、ライン・バイ・ライン方式の概要(出典はパナソニック)

 米英で開始される3D放送もサイド・バイ・サイドのため、3Dテレビと名の付くものは、既に発表しているパナソニックだけでなく、ソニーや東芝が今後リリースするであろう製品でもサイド・バイ・サイドの放送を検出して正しく表示する機能は付いてくるので、互換性の問題はあまり考えなくていい。「テレビ放送はサイド・バイ・サイドで3D化する」という放送規格が定義されているわけではないが、事実上のスタンダードになっており、今後発売される3Dテレビは、すべてこのフォーマットに対応するからだ。

 ただし、サイド・バイ・サイドの放送の場合、3Dに対応しないテレビで番組を楽しむ際には、左右いずれか片側の映像を画面いっぱいに拡大表示する機能がなければ、一風変わった縦長のほとんど同じ画像が並ぶ映像しか見ることはできない。

 根本的な問題解決には、3D BDのような下方互換性のある放送規格策定が必要になるだろうが、多チャンネル化が容易な放送メディアやオンデマンド配信ならば、ユーザーが自分で2D版と3D版をチョイスできる。そのため、CATVや衛星放送の3D化は比較的早く進むのだ。ただし、地上波が3D対応になるまでには、まだしばらく時間が必要だろう。

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