　録画番組をmicroSDメモリーカードなどにダビングして携帯電話やカーナビなどで再生できる持ち出し機能も強化された。従来はワンセグ画質（320×180ピクセル、320×240ピクセル、最大約400Kbps）だったが、高画質モードとして640×480ピクセルが追加され、ビットレートも1Mbpsまたは1.5Mbpsに引き上げられた。今回は知人のカーナビで高画質モードの画質を確認させてもらったが、ワンセグ画質では完全に破たんしてしまうような動きの激しいシーンでもほぼ問題なく再生できた。とくに重要なのは、ワンセグ画質と異なり、テロップなどの細かい部分がはっきりと識別できる点だろう。

　なお、高画質モードに対応する再生機器は、2009年冬モデル以降の一部のFOMA、ソフトバンクの3G端末、パナソニック製の一部のカーナビ、ポータブルワンセグテレビなどであり、現状ではそれほど多くないため、利用を考えている方は事前に対応リストを確認したほうがいい。また、持ち出し時には1回のダビングとして扱われ、ソニー製品のようにメモリカードから削除すると同時にダビング可能回数を復元させるといった機能もない。もっともワンセグ画質であればキャリアを問わず多くのワンセグ録画対応携帯電話で再生が可能であり、地上波だけでなくBSデジタルやアクトビラビデオでダウンロードしたコンテンツも転送できる点は魅力の1つだろう。

　DLNAサーバ機能は、同時配信が1ストリームのみという制限は変わっていないが、機能名が「お部屋ジャンプリンク」に変更され、再生機器が同社の対応製品であれば、レコーダー側とほぼ同じユーザーインタフェースで利用できるようになった。多くのDLNA対応メディアプレーヤーはユーザーインタフェースがレコーダーとはかけ離れていることが多く、番組一覧が録画順に並ばないといった点に不便を感じている人も少なくないはず。残念ながら今回は再生機材が手元にないため試すことができなかったが、便利な機能であることに間違いはない。もちろん、従来通り通常のDLNA＋DTCP-IP対応DLNAサーバとしても機能するため、他社製テレビと組み合わせることも可能だ。

手軽さが魅力の無線LANオプション

　姉妹機の中ではDMR-BW880のみが対応するのがUSB接続の無線LANアダプタである「DY-WL10」だ。IEEE 802.11a/b/g/n（2.4/5GHz）に対応しており背面のUSBポートに接続して使用する。直接差し込むと背面に結構出っ張るが、付属のUSB延長ケーブルを使って接続することもできる。

DY-WL10をDMR-BW880に接続したところ。本体の奥行きが短いだけに出っ張るように感じるが、背面にはHDMIケーブルなども接続するため、必要な空間には収まりそう。PC用のそれに比較すると少し大きめだが、802.11nではアンテナ数が多いほど通信速度も向上するため、性能重視と思えば納得できる

　DMR-BW880のネットワーク設定で設定が可能で、AOSS、WPS（プッシュボタン／ピン）の自動認証に対応し、検索したアクセスポイントの一覧からの手動設定もできる。さすがに長いキーをリモコンから入力するのは面倒だが、AOSSとWPSの両方に対応しているのでここ数年に発売された無線LANアクセスポイントを使用していれば自動認証が利用できるだろう。今回はNEC 「Aterm WR8700N」と組み合わせて試用したが、WPSで問題なく自動認証が行えた。

自動認証はバッファロー独自のAOSSに加え、WiFiアライアンスが提唱するWPSにも対応。ここ1〜2年内に購入した無線LANアクセスポイント（ルータ）ならほとんどが自動認証を利用出来るはずだ。アクセスポイントを検索しての設定も可能だ（左）。WPSで自動認証を使って無線LANアクセスポイントに接続。2.4GHz帯での倍速モード（40MHz）にも対応している（右）

　また、DMR-BW880をサーバとし、バッファローのメディアプレーヤー「LT-H90」をクライアントにしてみたところ（LT-H90とAtermの間は有線LAN）、802.11n接続であれば地上デジタル、BSデジタルのDRモードで録画したビットレートの高い録画番組もほぼ問題なく再生できた。もっとも同一室内に無線LANアクセスポイントを設置しているので単例でしかないが、「DY-WL10」の無線LANアダプタとしての性能は必要十分といえそうだ。価格は実売1万円前後と無線LANを有線LANに変換するイーサネットコンバーターと変わらない価格ではあるが、この手軽さは悪くない。