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» 2010年05月13日 13時31分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.46:見た目も美しいソニー“3Dブラビア”で観るリアルな奥行感 (1/2)

今回は、試作機を見る機会のあったソニーの3D“レディー”モデル「HX900シリーズ」について触れたいと思う。デザインの美しさもさることながら、ソニーのトップエンド・モデルらしい、よく磨き込まれた繊細な画質を楽しませてくれた。

[山本浩司,ITmedia]

 店頭展示が始まって数週間。パナソニックのフルHD 3Dテレビ「VT2シリーズ」が人気を集めているようだ。フルHD解像度を維持した立体映像ならではの“手でつかめそうな仮想リアリズム”が、販売店を訪れる多くのユーザーをトリコにしているのは間違いない。

photophoto ソニーの3Dブラビア「HX900シリーズ」。モノリシックデザインの美しいフラッシュサーフェス

 そのプラズマ・タイプのVT2シリーズにやや遅れて液晶タイプのフルHD 3D(対応)テレビを3月に発表したのがソニー。なんと3シリーズ8モデルという豪華ラインアップである。ここでは、試作機を見る機会があった、7月中旬発売予定のハイエンドライン「HX900シリーズ」の52V型機「KDL-52HX900」について触れたいと思う。ちなみに本機は3D再生機能は「内蔵」しておらず、別売りのトランスミッターと3Dメガネを購入すればフルHD3D視聴ができる“3Dレディー”タイプである。

 本機を前にしてまず感心するのは、デザインの美しさ、仕上げの見事さだ。(世界市場で)サムスン、LGの韓国勢がデザインの美しさで話題を集める中、しばらく精彩を欠いていたと思える“ソニー・デザイン”だが、このHXシリーズはその復活の手応えを感じさせる見事な仕上がりだ。ソニーはカタログなどで「モノリシックデザイン」とうたっているが、ディスプレイ前面を1枚の大きなガラスで覆い、外枠にアルミを用いたそのフィニッシュは、画面のどこにも凸凹やガタつきのない、美しいフラッシュサーフェス。本機は液晶パネル背面に白色LEDを配した直下型バックライト方式が採られているが、薄さでも健闘していて、サイドビューもまさに1枚岩のモノリシック、すごくスタイリッシュだ。

 では、画質はどうか。試作段階でのチェックだったが、HX900はすでにソニーのトップエンド・モデルらしい、よく磨き込まれた繊細な画質を楽しませてくれた。

 照明を抑えた暗い環境で、色温度を6500ケルビンに設定、2.2乗の基準ガンマカーブをトレースし、色域をHDTV標準規格に合わせた「シネマ1」で映画BDを何枚か観たが、LEDバックライトの部分減光(ローカルディミング)とラインブリンキングを組み合わせた高級液晶テレビならではの、キレのよい鮮やかなハイコントラスト映像が楽しめた。ラインブリンキングというのは、1コマを水平分割してその1部分のLEDバックライトを連続的に完全消灯していく手法。液晶テレビ特有の残像感の低減とコントラスト感の向上に寄与する。

 黒の安定感と暗部階調の描きわけも、液晶テレビ離れした卓抜な表現だ。ホワイトバランスの安定感も出色で、わずかにピンクがかる白人女性の肌色表現も、ソニーTVらしい伝統が感じられて好ましい。ただし、ローカルディミングのエリア区分はかなり粗く、黒画面をバックに光が当たった物体がすばやく動くようなシーンで、その周囲がぼんやりと明るくなる現象が散見されたことは指摘しておきたい。

安定感のある立体映像

 本機にトランスミッターをつなぎ、3Dメガネを装着して、ソニー製デモ用BD ROMによる3D映像も体験してみた。サッカーの試合や動物園の実写映像、CGアニメなどのフルHD 3D映像を観たが、とくにCGアニメでリアルな奥行感が得られ、なるほど他社に先駆けて240Hz駆動の4倍速技術を磨いてきたソニー製品ならではの安定感のある立体映像だと思った。ホールド表示の液晶タイプで危惧された、クロストークの弊害がさほど感じられないのである。

photophoto 3Dトランスミッター(別売)。トランスミッターから延びるケーブルを背面の専用端子に接続する

 もちろん両眼視差が強調される立体視に違和感がないではない。とくに実写映像はボケるべき被写体が書き割りのように浮き上がって見えるケースが多く、ふだん見慣れた現実の風景との乖離(かいり)が大きく、長い時間観ていると脳がいささか疲れる印象だ。しかし、現時点で3D映像の難点をあげつらっても仕方ないだろう。考えてみれば、まだ市販の3D BD ROMは一枚も発売されていないわけだし。急務は、人間の脳に違和感を覚えさせない自然な立体視を提供できる3D映像の撮影ノウハウの確立だろう。

 予想外によいと思ったのは、3Dメガネをかけても明るさが極端に落ちないことで、これはメガネに偏光膜を設けなかった3Dブラビアならではのメリットだと思った。また、偏光膜ありなしの2種類のメガネをかけ替えてみて興味深いことを発見した。偏光膜のあるメガネでは、HX900の脇に置いてあったLED照明器具の50Hzパルスによるフリッカーがものすごく目立ち、偏光膜のない3Dブラビア用メガネではそれが消えることである。


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