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3Dと「シネマDSP」のいい関係、ヤマハ「RX-V567」(2/3 ページ)

» 2010年06月18日 11時22分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 リモコン操作もなかなか良好。標準添付される多機能リモコンは、テレビやレコーダーなどのコントロールも設定できる。HDMIリンクにも対応しており、5メーカー(パナソニック/東芝/日立/シャープ/三菱電機)のテレビのリモコンから電源オン/オフや音量調整、入力切替が連動して行える。使い勝手に関しては、なかなかの上出来さだ。

photophoto 付属のリモコンは接続したテレビやレコーダーなども設定できるマルチタイプ。ボタン数が多いものの、配置がよく考えられているため、使い勝手はよい

 続いて実際の設置性についてはどうだろう。入出力端子は、HDMI入力が4系統と充分。そのぶんアナログ入力端子などの必要最低限に整理されている。シンプルなことと、出力端子が目立つようのまわりを白くペイントされていたことから、配線に関しては手間取ることもなくスムーズに行えた。入力端子のリネームが可能になった点も分かりやすくて良い。

 数が多い分、配線時に一番やっかいな存在となるスピーカー端子だが、旧モデルからグレードアップし、全チャンネルにバナナプラグ対応のスクリュー式ターミナルを採用したこともあって、装着はかなりしやすかった。

photophoto HDMI端子は入力が4系統、出力が1系統。エントリー機としては充分な数だ(左)。全チャンネルともスクリュー式となったスピーカーターミナル。この価格帯の製品として、かなり豪華な装備といえる(右)

 配線が終わったら自動音場調整をスタート。集音マイクを専用のジャックに接続すると、自動的にセットアップ画面が起動する。メニューは英文だが、シンプルな内容になっているため、説明書なしでもまったく迷うことはない。テストをスタートすると、2分ほどでチェックが完了。意外なほどあっさりと、設定が完了した。

エントリークラスでは望外のサウンドクオリティー

 さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。

 今回の視聴には、3Dテレビにパナソニックの50V型プラズマディスプレイ「TH-P50VT2」と、プレーヤーに同じくパナソニックの「DMP-BDT900」をチョイス。スピーカーは、AVアンプの価格帯に合わせてコンパクトサイズの5.1chスピーカー、AADの「CUBE-CINEMA」2セット(生産終了品)を用意した。

photophotophoto オンスクリーンメニューは英語表示。とはいえ、シンプルでうまく整理されたメニューツリーのため、まず操作に迷うことはない(左)。サウンド・セットアップ画面では、リップシンクやバランス調整など、必要最低限の項目に限定することで使いやすさを優先した印象(中)。HDMIメニューでは、連動コントロールやARCのオン/オフなどが行える(右)

 まずは見慣れた2Dコンテンツの視聴から。セットアップを完了し、そのまま微調整せず聴き始めると、80ミリフルレンジ、わずか10センチ四方のユニットサイズのスピーカーにもかかわらず、壮大なスケール感を持つサウンドフィールドが出現。6畳の我がシアタールームを突き抜けんばかりの、迫力あるサウンドを披露してくれた。なかでも縦方向に拡がるサラウンド感は最高。映画BD「300」では、無数に降り注ぐ敵軍の弓矢が、はるか遠方から飛んできて自分のすぐ脇に突き刺さる様子がリアルに感じられる。まったく天井を意識させないその表現力は、まるで広場に設置したかのよう。音場作りの巧みさに関しては、さすがヤマハというべきだろう。

photo お気に入りのBD「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館(ESXL-2/6090円)」を再生中。ライブ感の強いサラウンドを楽しめる

 一方、音質に関してもなかなかのクオリティーを持ち合わせている。今回は、電源部の強化に加え、デジタル/アナログ回路の電源もそれぞれを分離するなど、細やかな熟成のかいあってか、BD「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」をダイレクトモードで聴くと、倍音成分の素性が良く、ピアノの響きがとてもナチュラル。柔らかい音色のなかにもしっかりした芯のある、心地よい響きを堪能させてくれる。女性ヴォーカルも印象的。声の強弱や歌い方のニュアンスがしっかりと伝わってきて、普段より数段ライブ感の強い音を楽しませてくれた。

 試しに我が家のTADを繋ぎ、ステレオ再生を試みる。かなりの駆動力を必要とする大口径(しかもモニター用)スピーカーだけに、まともな音は無理だろうな、と予想していたのだが、なんと、それなりに鳴ってくれたのだ。さすがに38センチウーファーは十全とまで動ききらないものの、中高域にかけて素性の良い丁寧なサウンドは好印象。一聴しただけでは、これが実売5万円台のAVアンプに繋がれているとは思わないだろう。もちろん、解像度感やニュアンスの細やかさは普段の高級システムには及ばないものの、スピーカーを選ばない優等生といえる。

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