さて、いよいよ3Dコンテンツのチェックだ。コンテンツといっても、Blu-ray 3Dについては、パナソニックが3D対応BDレコーダー/プレーヤーにバンドルしている“お試し版”BDしか存在せず、あとはBS11で録画した3D番組がいくつかあるだけ。それでも3D映像とシネマDSPの組み合わせは、それまでとは違う臨場感を演出してくれた。
例えば映画「アストロボーイ」のトレーラーでは、縦横無尽に飛び回るアトムの移動に、ジェットエンジンや風切り音の「効果音」がきちんとシンクロしている。上下左右前後に飛びまわる様子を、的確に表現してくれるのだ。「このくらい出来て当たり前なのでは?」と思う人がいるかもしれないが、実はこれ、かなり困難を伴う空間表現。一般的なサラウンドシステムの話をすると、左右/前後スピーカー間の“移動”は表現できるものの、上下やテレビ画面の奥側への空間表現が難しいことが暗黙の了解となっている。スピーカーがない場所への移動が表現できないのは、当然といえば当然だろう。しかしヤマハのシネマDSPは、上下方向や奥行き方向までの表現を、5.1ch/7.1chで表現する技術で、こういった部分が、3D映像にすごくマッチするのだ。
このアドバンテージは、同じくお試し版BDに入っている「ドラッグレース」を見るとはっきり分かる。こちらの映像では、奥から手前、手前から奥にものすごいスピードで駆け抜けるレーシングカーが映し出されている。しかし音声としては、左右に移動しているだけで、音場感、いわゆるテレビ画面内の前後移動は、音量の大小でしか判別できないコンテンツとなっている。それをシネマDSPでは、奥行き方向へ移動する音源の位相を的確に捉え、きちんと奥行き方向に移動している音として再現してくれている。
そう、3D映像は、“飛び出す”ことばかりに注目されがちだが、“奥行き感”の表現も重要だ。そしてシネマDSPは、3D登場以前から、その“奥行き感”に着目して開発されてきた。RX-V567が3D映像ならではの前後表現をサウンドでしっかりフォローできるのは、シネマDSPが志向していた立体的な音場表現が3Dと相性がよいことにほかならない。
もちろん、より正確な立体音響表現としては、プレゼンススピーカーを活用する「シネマDSP<3Dモード>」を搭載した上級モデルの方が、アドバンテージを持っているに違いない。これらのBlu-ray 3D対応製品はまだ登場していないが、エントリーモデルのRX-V567でも音場表現に対してかなりのアドバンテージを持ち合わせているのは事実。3Dという映像表現が、ヤマハAVアンプの特長をさらに際だたせたという印象を受ける。
1つはっきりしているのは、ヤマハRX-V567がエントリークラスとしては十分すぎるサウンドクオリティーを持ち合わせていることだ。一昔前の製品に当てはめると、10万円超クラスと同等のレベルと言い切っても過言ではない。こんなコストパフォーマンスの高い製品からAVライフをスタートできる人がうらやましい。これが、昔からのAVファンの率直な感想だ。
製品型番 | RX-V567 | RX-V467 |
---|---|---|
実用最大出力(JEITA) | 90ワット×7 | 105ワット×5 |
HDMIアップスケーリング | ○ | なし |
入力端子 | HDMI×4、コンポーネント×2、D4×2、コンポジット×5、アナログ音声×5、光デジタル×2、同軸デジタル×2 | |
出力端子 | HDMI×1、D4×1、コンポジット×1 | |
外形寸法 | 435(幅)×363(奥行き)×151(高さ)ミリ | |
重量 | 8.4キログラム | |
本体カラー | ブラック、シルバー | ブラック |
価格 | 6万1950円 | 4万9350円 |
発売日 | 6月下旬 | |
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