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» 2010年07月23日 10時52分 UPDATE

本田雅一のTV Style:薄型テレビの音を変える“サウンドバー”

日本ではいまひとつ定着していないが、“サウンドバー”と呼ばれる薄型テレビの下に置く一体型のスピーカーシステムが北米を中心に売れ始めている。その中には高価ではあるが、非常に心地良い音を提供してくれる製品がある。

[本田雅一,ITmedia]

 前回、薄型テレビ内蔵スピーカーの音質について書いた。その音を改善する「サウンドバー」という製品カテゴリーが北米を中心に注目を集めている。

 サウンドバーというと、なんとも新しい響きなのだが、以前からいくつか製品はあった。にもかかわらず、昨年後半ぐらいから単独のカテゴリー名で紹介されるようになってきたのは、やはり薄型テレビの画質や画面サイズに似合わない、音質のためだろう。しつこいようだが、人の声をきちんと聴かせてくれれば、あとからスピーカーを買い足したいという人はさほど多くないと思う。

 1月に米国で開催された「2010 International CES」でも、サウンドバーは成長分野としてアナリストに名指しでヒットを予想されていた。なんでも200%を越える成長が見込めるという(もっとも、数字の根拠はいまひとつよく分からない)。

photo B&Wの「Panorama」

 サウンドバーという呼び方は、日本ではいまひとつ定着していないのでネットで検索してもパソコン用スピーカーばかりがヒットするのだが、必ずしもお手軽なローエンド製品ばかりではない。オモチャのようなスピーカーならば投資の価値はないが、中には高価ではあるが、非常に心地良い音を提供してくれる製品がある。

 例えば、英スピーカーメーカーの雄、B&Wから昨年発売された「Panorama」は24万円とやや高価だが、音のバランスはとてもよく、耳に届いた時の感触もソフトで当たりが柔らかく、しかししっかりと情報量は届いてきて、そのバランスが素晴らしい。デジタル入力でサラウンド音声のデコーダーにも対応し、5.1chシステムへと発展させることが可能なプリアウトも備えている。

 意外に音楽も心地良く聴けるので、DLNAを用いた音楽再生にも対応するテレビ(例えばソニーのBRAVIA)を組み合わせれば、ジュークボックス的にテレビを通じて音楽を軽く楽しむこともできるだろう。

photo マランツの「CINEMARIUM ES7001」

 一方、バーチャルサラウンド機能を持つサウンドバーでオススメ出来るのが、マランツの「CINEMARIUM ES7001」。こちらは12万4000円とかなりお手頃。ステレオスピーカーでバーチャルサラウンドを実現するお馴染みのシステムなのだが、その手の機能を持つラックシステムより、ずっと高いバーチャルサラウンドを実現してくれる。ただし、バーチャルであるために立体感を感じることができるエリアはさすがにリアルな5.1chよりは狭い。

 しかし2人掛けソファーに並んで映画を楽しむ程度であれば、充分と言える広いサービスエリアで、ライバルに比べてもかなり優秀だった。本格的に楽しむならサブウーファーと組み合わせたいが、そこまで投資しなくともそこそこ低音が出るので、音楽を演奏させてもBGM程度ならば違和感を感じさせない。

 さらにもう一歩、映画寄りの表現を望みたいなら、やはりヤマハの「YSP-5100」だろう。定番の製品だが、フロントに配置するサウンドバーにあって、本当の7.1チャンネルオーディオを実現できるのは、ヤマハのYSPシリーズだけだ。しかも奥行きは9センチしかない。

photo ヤマハの「YSP-5100」

 YSPの仕組みは、指向性のある多数のビームスピーカー(YSP5100では40個)を5ないし7つのグループに分け、それを壁や天井に反射させることでサラウンドスピーカーのように機能させるというものだ。どの方向に向けるかは、マイクで自動音場補正を行うことで部屋に合わせて決まり、反射の状況で距離情報など耳に音が届く時間も厳密に補正される。今年のモデルではツィーターが追加され、音のグレードが一回り向上した。

 実のところ、YSPの良さというのは、なかなか店頭で体感しにくい。なぜなら、反射させる壁や天井が遠いところにあることが多いからだ。また、大人数の体験会でも、反射した音が他の視聴者に吸収されて弱まり、サラウンド感が減じてしまうことが多い。デモンストレーション用に板などを配置して体感しやすくしている店もあるが、店頭よりも自宅の方がより良い体験を得やすいだろう。

 とはいえ、きちんと調整されたYSPのデモ環境も増えてきているようなので、近くの店を探してみるといいだろう。大手量販店では置いているところがほとんどだ。実売価格は20万円を切る。

 テレビが低価格化する中にあっては、どれもやや高価と感じるかもしれない。おそらく、今後は市場の拡大とともに5万円程度のサウンドバーが主流になっていくのだろう。しかし、音が良いと映像も良く見えるもの。どのぐらいの価値があるのか、体験せずに評価するのではなく、まずは体感してみてほしい。

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