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» 2010年09月08日 10時22分 公開

touch、nano、shuffle、どれを買う?:2010年のクリスマスを飾る“最強”の布陣――新型「iPod」ファミリー徹底レビュー (3/4)

[林信行,ITmedia]

速さと手ごろさの絶妙なバランス――「iPod touch」

新「iPod touch」

 iPodファミリーの新ラインアップで最大の目玉は、やはり「iPod touch」だ。新iPod touchは前モデルと比べてもはるかに薄く、その薄さで世界を魅了したiPhone 4すらを分厚く見せてしまう。さらに横幅も前モデルより少し縮まっており、手に持つとその小ささと薄さに驚かされる。

 それでいて、高精細326ppiのRetinaディスプレイを搭載し、iPhone 4の特徴である前後2つのカメラを搭載。iPhone 4のCMでもおなじみのFaceTimeによるビデオ通話もできるのだから、iPhone 4の立つ瀬がないと思う人もいるかもしれない。

 しかし、アップルはあえてiPhone 4の人気に水を差すような製品を出すことはしない。iPod touchをつぶさに見ると、実は同製品はiPhone 4の良い“引き立て役”になっていることも分かってくる。

本体前面、上面、下面

本体サイズ比較。写真は左から、初代touch、前touch、新型touch、iPhone 4、iPhone 3GS

 それらの詳細を語る前に、まずは新旧のiPod touchを比較していこう。最初は基本性能の比較だ。新旧のiPod touchにGeek Benchと3D Benchmarkを入れ、ベンチマークを実行したところ、新型iPod touchのほうが解像度が高くなっているにもかかわらず、いずれのテストでもはるかに高いスコアをはじき出した。

 具体的には、Geekbenchのスコアで約31.7%高速に、そして画面上に3Dグラフィックスを描画させる3D Benchmarkでは、より高解像度な画面に毎秒4フレームも余分に絵を描きながら、9%短い時間で処理を完了させている。

Geekbenchの結果。左が新型iPod touch(iOS 4.1)、右が旧型iPod touch(iOS 4.0.2)。新iPod touchが35%ほど高速な結果になった

3D Benchmarkの結果。左が新型iPod touch(iOS 4.1)、右が旧型iPod touch(iOS 4.0.2)。Retina Displayで解像度が増しているにもかかわらず、新iPod touchの方が、高いフレームレートで再生しつつもより早くアニメーション描画を終えている

 なお、新型iPod touchに搭載されているとウワサされる1GHzのA4プロセッサは、Geekbenchでは識別できなかったものの、内蔵メモリは247Mバイトと認識した。いくつかのアプリケーションの実行では、この内蔵メモリの大きさがものをいう。iPhone 3GS、iPod touch、iPadは軒並み256Mバイト前後だが、iPhone 4はこの内蔵メモリが倍の512Mバイトあるからこそ、高解像度の画像を扱うアプリケーションでも快適に動作するが、新しいiPod touchは、内蔵メモリに関してはiPhone 4よりは旧iPod touchやiPadに近いようだ。

カメラはiPhone 4と前iPod nanoの中間を目指す

動画対応のカメラを搭載した

 続いてカメラに注目しよう。iPhone 4の背面カメラは500万画素で2592×1936ドットの写真が撮れるが、新iPod touchの背面カメラは960×720ドットで、まずは解像度が全然違う(iPhone 4の15%ほどの解像度)。もっとも、この960×720ドットは720pのHD動画を撮影するにはピッタリのサイズで、動画撮影時の解像度でいえばiPhone 4と互角だ。アップルのiPod touch公式ページでも、静止画撮影についてはそれほど大きく触れず、HD撮影について大きく触れているが、これはその辺りの事情を組んでのことといえそうだ。

 実は新iPod touchはカメラがついたiPod touchというよりも、前iPod nanoのビデオカメラのライフスタイルを継承し、発展させたと考えるほうが正しい見方なのかもしれない。そうやって見ると、撮影した映像をiMovie(別売り)で編集し、720pの映像作品に仕上げられるなど、ビデオライフスタイルが格段に進化していることが感じられる。

内側にもカメラがありFace Timeを利用できる

 iPhone 4とiPod touchのカメラを比較すると、両者の間には解像度以外にも違いが多いことに気がつく。まず、物理的な違いではカメラ/ビデオ用のLEDライトが割愛されている。また、iPhoneでは、液晶画面に映っている被写体を指でタップすると、そのタップした箇所にあわせてフォーカスと露出が変わるが、新iPod touchはパンフォーカス、つまり、フォーカスをあわせる機能がないので、露出だけがあうことになる。このため遠近感を出す写真もiPod touchでは撮れない。

 さらにiPhone 4では、iOS 4.1から自動HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影が可能になる(シャッターを押すと3枚写真を撮り、それらを合成することで明るいところと暗いところの両方に露出があった写真を撮影できる)が、この機能もiPod touchでは利用できない。

写真サンプル1。iPod touch(左)とiPhone 4(右)では解像度が違うため多少シャープさに違いはあるものの、明るいところで撮った写真は液晶画面で見る限りほとんど違いが分からない

写真サンプル2。iPhone 4(右)では、手前のオブジェクトにタッチし、マクロフォーカスにすることで、遠方をぼかすことが可能。iPod touch(左)では同じところをタッチしても露出は調整されるがフォーカスは変わらない(全体にフォーカスがあった写真になり、ボケない)

写真サンプル3。暗いところで撮った写真を比較するとiPhone 4(右)のほうが高解像度だがノイズは少ない。iPod touch(左)は、とりあえずカメラアプリケーションが楽しめるようにカメラがついてはいるが、あまり高画質を追求したモノではない。解像度の違いこそあるがiPhone 3Gのカメラを使う感覚に近い

 iOS搭載デバイスにスチルカメラとして注目しているユーザーは、例えiPod touchの薄さに魅力を感じても、iPhone 4を選ぶのが正解だ。一方、それほどこだわらないカジュアルユーザーで、撮影した写真を友だちと一緒に楽しむ程度で問題ないのなら、iPod touchでもRetinaディスプレイの解像度ほぼそのままで撮れるし、それほど不自由を感じることはないだろう。

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価格は、8Gバイトが2万900円、32Gバイトが2万7800円、64Gバイトが3万6800円。


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