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» 2010年10月04日 01時13分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:「REGZAブルーレイ」登場、“RD復活”はエアチェック界の大事件 (1/2)

編集機能が充実したレコーダーの代名詞ともいえる東芝の“RD”シリーズが、Blu-ray Discドライブを搭載した「REGZAブルーレイ」として復活した。ファン待望の新製品は、AV評論家・麻倉怜士氏の目にどう映ったのか。試聴インプレッションを交えて詳しく解説してもらおう。

[ITmedia]

 編集機能が充実したレコーダーの代名詞ともいえる東芝の“RD”が、いよいよBlu-ray Discドライブを搭載して復活した。ラインアップは、こだわりのアナログ回路を備えたハイエンドモデル「RD-X10」、およびWチューナー搭載でHDD容量の異なる「RD-BZ800」「RD-BZ700」、シングルチューナーの「RD-BR600」の4機種(→復活の“RD”、「REGZAブルーレイ」詳報)。ファン待望の新製品は、AV評論家・麻倉怜士氏の目にどう映ったのか。試聴インプレッションを交えて詳しく解説してもらおう。

photo フラグシップの「RD-X10」は、エクステリアもぜいたく。フロントパネルにはエンジェル・デメル社製のアルミパネルを採用。天板には、スチールと大型ステンレス板を組み合わせた異種金属結合による制振処理を施した

――ついに東芝から“RD”型番のBlu-ray Discドライブ搭載レコーダーが登場しました

麻倉氏: これはエアチェック界の大事件です。思い起こせば、2000年に「RD-2000」が登場してエアチェック(放送番組録画)の状況は大きく変わりました。大容量のHDDに好きなように録りため、残しておきたい部分だけをDVDに残す。それまでのVHSなどでも番組をアーカイブすることはできましたが、それは単に1つの番組をそのまま残す記録に過ぎませんでした。しかし、番組すら関係なく、自分の好みのシーンを編集してパッケージ化できる“RD”シリーズの登場により、自分のための付加価値を付けたコレクションを作り出すことが可能になりました。エアチェックという幅広い文化の中でも主体的な価値観で放送記録を再編できるようになったことはエポックメイキングなことでした。それを可能にしたのが片岡さん(東芝ビジュアルプロダクツ社の片岡秀夫氏)が生み出した“RD Style”ですね。

 片岡さんのすごいところは、やりたいことをトコトンまで突き詰めること。スポーツ番組なら好きな選手が登場しているシーンやそのプレイを、音楽番組では好きな歌手や楽曲シーンを集めるといった発想です。非常に個人的な思いからの機能ですから、他社が追随しようにもできません。片岡さんは東芝の人間ですからね。根本的に発想が違います。その良い例が、チャプターを編集の単位(パーツ)として使える“ユニティエディット”方式です。今でこそ他社製品も同じような機能を採用していますが、出た当時はDVD規格にも存在せず、片岡さんがDVD規格の網の目をくぐって実装したというのが正解です。

photophoto 「編集ナビ」からプレイリスト編集が可能(左)。「見るナビ」のチャプター一覧(右)

 ユニティエディット方式は、1つのコンテンツをタイトル、分割点をチャプターと称しファイル単位で扱うことによって、すべての再生・編集操作を一貫して行う方式のことです。つまり番組のプレイバック中に頭出し点として打ったチャプターが、そのまま編集点になるという仕掛けです。当時は、編集するには別画面を開いて、いちいち再生しながら編集点を打たなければならなかった。それが編集点と頭出し点を一緒にするということで、きわめて合理化できたのです。この賞賛すべき機能は、実はDVDの規格にはなかった。東芝はこれを実現するために独自のソフトウエアを作り、「規格で定められた条件内とみなす」という複雑な手続きをやってのけた。“ユニディエディット”はとても素晴らしい機能であり、この名前も秀逸ですね。

 これで編集自体がすごく面白くなりましたし、出来上がったものはまさにワン・アンド・オンリー。問題は、ハイビジョン時代になってもメディア争いのためにしばらく表舞台に出てこなかったことでしょうね(注:過去数年はDVD製品のみだった)。

 今回、ついにBlu-ray Discドライブを搭載した“RD”が登場しました。もちろんユニティエディットとプレイリスト環境は健在です。「RD-X10」は画質/音質回路を除く多くの部分が従来機(RD-X9)からの継承となっていますが、それでもまずは十分ですね。デジタル放送を中心にコンテンツの画質や環境(ダビング10など)も良くなっていますから、実は良いタイミングで出てきたのではないでしょうか。

 私自身も過去に「RD-X5」を愛用していました。久しぶりに“RD”を使ってみると、とても使い勝手が良いですね。リモコンも編集を多分に意識した作りになっていて、連続的な動作が非常にやりやすい。ボタンがアイコンの形になっていて、例えば「再生」は大きな三角形が浮き彫りになっていて指の感覚で分かりますから、ブラインドタッチもできます。GUIのレスポンスも良好でした。

photo RD-X10のリモコンを使って編集作業を行う麻倉氏。編集作業に適したリモコンがお気に入り

 録画機能でもう1つ東芝らしいと感じたのが、外付けのUSB HDDへの対応です。RD-X10には2TバイトのHDDが内蔵されていますが、ヘビーな録画好きなら番組を消せなくなってしまうこともあるでしょう。しかし、外付けUSB HDDが最大8台まで登録できるので(同時に利用できるのは1台)、使い分けができます。例えば、内蔵HDDに録りためておいて、アーカイブしておきたいシリーズ物などは外付けHDDに移動しておく。特定の番組だけを保存しておきたい場合はBDに焼いても良いですし、編集してから保存する方法もあります。コンテンツの貯蔵方法を選べることは、ユーザーにとって、とてもありがたいことです。

おまけコーナー:RD豆知識(1)

photo 「RD-BR600」

 新ラインアップ唯一のシングルチューナー機「RD-BR600」。実はソフトウェアはダブルチューナー機と共通する部分が多く、そのために「スカパー!HD録画」と内蔵デジタルチューナーの組み合わせであれば、変則的ながらも“W録”が可能になるという。一方のダブルチューナーモデルは、W録とスカパー!HD録画の並行動作が行えないため、RD-BR600だけの特権といえそうだ。スカパー!HD録画のためにレコーダーの追加を考えている人には、面白い選択肢になるかもしれない。


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