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HVT方式をリビングに、東北パイオニアが参考展示CEATEC JAPAN 2010

» 2010年10月06日 19時12分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パイオニアブースの一角にスタイリッシュなスピーカーの一群が展示されている。ヘッドフォンなどで知られる東北パイオニアが、独自技術のHVT方式スピーカーを用い、家庭用オーディオ機器の新しいスタイルを提案するコンセプト展示だ。

HVT方式スピーカーを使ったコンセプトモデルの数々

 HVT方式は、Horizontal-Vertical Transformingの略。ボイスコイルなど駆動力の水平運動を垂直方向に変換するリンク機構をスピーカーユニット内部に取り入れ、スピーカーユニットの大幅な薄型化と低振動化を可能にする。同社は今年1月にHVT方式の技術発表を行い、2月には製品化の第1弾となる車載用サテライトスピーカー「TS-STH1000」を発売した。

 TS-STH1000は、通称“ステルススピーカー”と呼ばれるほどの薄さを実現したが、HVT方式のメリットはそれだけではない。例えば、強力な駆動部(磁気回路・ボイスコイル)を使えば、小容積のエンクロージャーでも豊かな低域再生を可能にするユニットを作成できる。また振幅を制限する必要がないため、従来のダイナミック型スピーカーに比べてより低い最低共振周波数のスピーカーユニットを設計可能。さらにHVT方式ユニットを背中合わせにした両面駆動方式とすれば、互いに振動を打ち消し合い、振動が少なく、ほぼ指向性もないスピーカーが出来上がるという。

 こうしたメリットを生かし、カーオーディオ以外の分野にもHVT方式を拡大しようと作成されたのが、今回のコンセプトモデル。例えば木目のキャビネットをまとったフロア型スピーカーには、ウーファーとして両面駆動方式のHVTスピーカーユニットが入っている。振動が少ないため、スタンド部は金属製の棒一本でいい。高級感がありながら、薄くスマートな外観となった。

木目のキャビネットを使用したフロア型スピーカー(左)。研究中のシングルモーター片面駆動タイプ。とくに小型化/薄型化が可能で、展示機の厚さはわずか6ミリという(右)

 壁掛けテレビの両脇にはり付けた“壁掛け”スピーカーは、薄型にできるHVT方式ならでは。薄くても量感のある低音を再生できるため、別途サブウーファーを設けなくても十分なワイドレンジを実現できる。

 プロトタイプの中で、唯一、実際に音を出していたのが、ノートPCと組み合わせた小型アクティブスピーカーだ。PC用スピーカーにありがちな貧弱な音とはひと味違う、サイズに見合わないオーディオ的な音を聴くことができた。

コンセプトモデルの中で唯一実際に音を出していたPCオーディオ。長方形の部分がHVT方式のウーファーだ

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