一方、ソニー、東芝、ノキア、サムスンといった機器メーカーと一緒にコンソーシアムを立ち上げ、今年の6月に仕様を発表した「MHL」に関する展示も行われていた。
MHLは、携帯電話などのモバイル機器をハイビジョンテレビに接続するためのシリアル・リンク技術。HDMIとの互換性を維持しながら、より少ない5つのピンだけでハイビジョン映像の伝送を可能にする。具体的には、8ch(7.1ch)の音声付き1080p映像、画像、音楽の伝送、およびIP通信(インターネット接続)が可能。さらにテレビ側からモバイル機器をコントロールする信号やモバイル機器に電源を供給するラインも設けられる。
同社は、10月4日に初のMHL対応製品として、前述のテレビ向けポートプロセッサー「Sil9381A」をはじめ、携帯端末向けの低消費電力トランスミッター「Sil9244」、MHL/HDMI間ブリッジ「Sil9292」を発表。2011年早々には対応機器が登場する見通しだ。Sil 9381Aを搭載したテレビでは、4ポートのうち1ポートがMHLをサポート。このポートを前面や側面の入力端子などに利用すれば、携帯端末と接続しやすくなるはずだ。
想定される利用シーンは、携帯端末のコンテンツを家庭の大画面テレビやオーディオシステムで楽しむこと。例えば、将来的にLTEなどを使って携帯端末にハイビジョン動画をダウンロードするようになったとき。持ち歩いて視聴することはもちろん、リビングのテレビに映したいというニーズも出てくるはずだという。もし手持ちのテレビと携帯端末がMHLに対応していれば、テレビのHDMI入力(MHL対応ポート)にケーブルを接続するだけで、携帯端末の充電を行いながらコンテンツを大画面で視聴可能。テレビのリモコンで再生や早送りといった操作も行える。
HDMIの小型コネクターやmicro USBでも近いことは行えるが、竹原氏によると、携帯端末に電源を供給できる点が大きく異なるという。
「HDMIにもモバイル機器向けの小型コネクターは存在しますが、接続すると逆に5ボルトの電源をテレビ側に供給することになり、機器の充電は行えません。一方、現在モバイル機器で使われているmicro USBでは5ボルトの電源をテレビから供給してもらうことができますが、HD映像の伝送や機器コントロールが行えません」(竹原氏)。大容量コンテンツをダウンロードしている最中に携帯端末のバッテリーが切れることも考えられるため、電源の供給は非常に重要だという。
「日本国内では、ようやくスマートフォンの市場が立ち上がり、micro USBを搭載するケースが出てきました。MHLは、その次のステップとして、テレビや携帯端末、(端末用)クレードルなどに採用されると考えています」(同氏)。
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