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「CEATEC JAPAN 2010」総括(1)、展示会場で見つけたトレンド麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/3 ページ)

» 2010年10月16日 15時13分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

あえてHDDを外したシャープの薄型BDレコーダー

photo シャープの薄型BDレコーダー

麻倉氏: シャープが参考展示した薄型のBlu-ray Discレコーダーも、すごくコンセプチュアルで良いと思いました。同社はハイビジョン対応HDDレコーダーを初めて作ったメーカーです。第1世代のBlu-ray Discレコーダーでも、HDDを最初に入れたのはシャープでした。その“HDDに強い会社”があえてHDDを外した点もユニークです。

 HDDはいつか壊れるもの。一方、BDXLでリライタブルメディア(RE)も100Gバイトまで対応しましたので、HDDに代わる使い方も十分に考えられます。100Gバイトの容量があれば、気になる番組をどんどん録画して、見たあとでいらないものを消していけば、最終的に大事なコンテンツのコレクションができます。一見、不便のように見えますが、コレクションの手順から考えると、とても合理的。ただ、BD-REへの直接録画では録画番組がコピーネバーになってしまうので、BDAのパネルディスカッションで話したように、ダビング回数を維持できる仕組みが望まれるでしょう。

 もう1つ。シャープはカムコーダーを手がけていないことが残念ですね。3Dの文化は、ユーザー中心の製品があって初めて広がるもの。子どもの成長記録や旅の思い出を3Dで残したいと思う人も少なくはないはず。シャープはかつて、「液晶ビューカム」で「撮る/見る」を1台でこなすカムコーダーを提案しました。せっかく“目のつけどころがシャープ”なのですから、しっかりした現代風のカムコーダー製品を作ってもらいたい。スマートフォン3Dカメラなどをやる暇があったら、ちゃんとしたカムコーダーを作ってほしいですね。

プラズマも見たい 日立の3Dテレビ

麻倉氏: 日立ブースでは、IPSパネルを使用した液晶3Dテレビを参考展示していました。先行した他社に追いつきたい気持ちは十分に伝わりましたが、液晶の3Dテレビは激戦区ですから、どのように差別化していくかが課題です。私としては、日立が作るプラズマパネルの3Dテレビを期待したいですね。最近のプラズマWoooは、独自の画作りが効果を上げているので、その3Dバージョンが見たいです。

photophoto 参考展示の3D対応液晶テレビ(左)と「S-LED」の展示)(右)

 一方、展示のメインになっていた「S-LED」は、その効果と経済性に注目しています。直下型のLEDバックライトは精密なエリアコントロールを行えますが、価格が上がってしまいます。しかし、短冊形のLEDブロックを用い、直下型とエッジ型の特長を併せ持つS-LEDは、ハイブリッドならではの良さがあります。ただ、エリア制御の中でブロックそのものの形が出てしまうと良くないので、難しい調整も必要ですね。悪いところ取りにならないように。日本市場への参入を表明したLG電子も似た技術を使用していますが、今後はいかに完成度を高めるかが課題になるでしょう。

三菱はプロジェクターデバイスのデパート

麻倉氏: 三菱電機ブースでは、参考出品の3D対応プロジェクターを見ました。IFAのときは動作が不安定で3D効果もくずれていたのですが、今回はうまくいったようです。この3D対応プロジェクターは、ソニーのSXRDを採用したもので、コントラストが良く、暗さを感じない画面を実現しています。うまくマネージメントしていたと思います。また新型SXRDは画素ピッチが狭くなっていることもあり、スクリーンからは精細な印象を受けました。「アリス・イン・ワンダーランド」もカラフルでハイコントラスト。とても良くできていて感心しました。

 三菱は、透過型液晶やDLPのプロジェクターを手がけていますが、今回はそれにSXRDが加わり、プロジェクターデバイスのデパートのようになりました。透過型あり、LCOSあり、DLPあり。同社の開発力の高さが伺えます。

photophoto 三菱が参考出品した3D対応SXRDプロジェクター(左)とレーザーテレビ(右)

 夏に発売したレーザーテレビも展示されていました。数カ月前(発売前)に見たときは、すこし画面がぎらついている印象を受けましたが、今回はスクリーン面で対策をしたため、しっとりとしたマット調の映像に仕上がっています。色の再現範囲が広く、とても印象的な色でした。レーザーテレビの再現できる色域は、NTSC比で約180%もありますから、今までにない色を見ることができます。それから、劇場用の3Dシステムも“次”はレーザー光源が有望とされています。技術的にも今後の注目株といえますね。

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