さて、肝心の映像/音声のクオリティーはどうだったかというと、価格を考えれば決して悪くないレベルだった。なんだか歯切れの悪い言いまわしになってしまうのは、低価格BDプレーヤーとしてはごく平均的なクオリティーレベルだったからだ。
まず映像に関しては、DeepColorおよびx.v.Color対応をうたうだけあって、色合い表現に関してはなかなかのレベル。階調の細やかさはそこそこだが、ダイナミックレンジが広く、絵がはっきりとしている。また解像度感も、東芝得意の超解像技術「レゾリューションプラス」こそ搭載しないものの、ボケ感の少ないすっきりした画面が見られる。特筆するほどのリアルさや絵のつややかさこそ感じられないものの、ハイビジョンならではの映像美を充分に感じられる。
3Dコンテンツに関しては、同時に視聴した55F1が、3D対応の超解像技術「レゾリューションプラス5」を搭載しているため、フォーカス感が高くエッジのしっかりした3D映像を見せてくれた。SD-BDT1の素の映像(超解像オフ)と直接比較すると、解像度感の差は否めない。ただし、これは55F1が優れているだけで、他社製3D対応BDプレーヤーでも大差ないはず。気になる人は、東芝製の最新テレビを求める必要があるかもしれない。
音声については、残念ながら特筆すべきポイントは見あたらなかった。なかでもHDMI音声出力に関しては、膨大な映像情報に音声が犠牲にされている感が強く、抑揚が平坦気味で解像度感もそれなり。映画BD「300」ではSE(効果音)とBGMの分離が悪く、迫力にも欠けた。ライブビデオなどは、ロック系ならまだいいかもしれないが、BD「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」などのピアノ系やクラシック・コンサートなどでは音場のスケール感に不満を感じた。
そんななかで、唯一健闘したのが、同軸デジタル出力だ。HDMIからこちらに切り替えると、とたんに音の芯がはっきりとし、フォーカス感が高くリスナーまで良く届くサウンドになった。音の厚みや解像度感はいまひとつではあるが、HDMIに比べると充分納得できるレベルにある。BDライブビデオやCDなどのステレオ音源のコンテンツを楽しむ際には、面倒でも同軸デジタル出力を活用するのがベターだろう。
このようにSD-BDT1は、3Dをはじめとする最新BD規格にフル対応しながらも低価格を実現した、商品コンセプトそのものが最大の魅力となる製品だ。価格的にはプレイステーション3がライバルとなるだろうが、SD-BDT1はテレビのリモコンで操作できるという使い勝手の良さもある。例えば、3Dテレビを購入したが、手持ちのレコーダーがBlu-ray 3Dに対応していないなら、テレビ購入のポイントで導入を検討できる。また、個室にもBDプレーヤーを置きたいが、どうせなら3D対応にしておきたいケース、またCDやDVDなども再生できるリーズナブルなマルチプレーヤーがほしい人など、幅広いニーズが考えられるだろう。いずれにしても、この価格帯というだけで、十分に納得できるはずだ。
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