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» 2010年10月25日 23時56分 UPDATE

本田雅一のTV Style:映画タイトルが少ない!? Blu-ray 3Dの現状

もともと3D映画を家庭に届けるために作られたBlu-ray 3D規格なのに、対応ソフトが増えないのはなぜだろうか?

[本田雅一,ITmedia]

 3D表示に対応したテレビが数多く発売された今年だが、この3Dトレンドの元をたどると、そこには3D映画の隆盛がある。3D映画は一時の作り出された流行ではなく、何年もの時間をかけて撮影、演出などの技術面と劇場でのマーケティング調査を行ってきた結果、自然に盛り上がってきたものだ。

 今年、ハリウッドで50作品以上の3D作品が作られているのも、流行だから3Dで作るのではなく、3Dで映像を表現することが当たり前になろうとしている証左だろう。「物珍しいからウケる」という時代は、そうそう長くは続かないものだ。

 それらの3D映画を家庭に届けるために作られたのが、Blu-ray 3D規格(3Dテレビは流通が始まる3Dコンテンツを表示するために、3D表示機能が加えられた薄型テレビであり、“3Dのために作られたテレビ”ではない)だが、現状、あまり3Dソフトが発売されていないことは事実だ。

 もともと3D映画を家庭に届けるために作られたBlu-ray 3D規格なのに、対応ソフトが増えないのはなぜだろうか? と思う人もいるだろう。詳しい事情は筆者が10月に著した書の中で述べているが、一部の映画スタジオは2009年末には3D映像ソフトの販売を本格化したいと本気で思っていた。

 実は2009年から3D対応映画が増産されることが、あらかじめ計画されていたからだ。せっかく3Dで制作したのなら、3Dという付加価値をつけて販売しなければ映画会社的には損失である。3D映画に関して他社より有利と考えている映画会社(例えばCGアニメ作品の多いディズニー)ならなおさらだ。

 しかし3D元年ともいえる今年、少々奇妙な状況に陥っている。まだ少ないBlu-ray 3Dソフトの本数をカバーするため、各社は3D関連製品にBlu-ray 3Dソフトをバンドルしている。映画スタジオ側からすると、まだ再生ハードウェアが少ない市場にソフトを投入するよりも、独占バンドル契約を結ぶ方がリスクが少ない。バンドル用のタイトルは有力作品から採用されていく傾向があるので、いよいよ単体での発売が少なくなるというサイクルになってしまうのだ。

 しかし、そんな事情も年末に向けて落ち着いてきているという。年末向け製品のバンドル契約は、春〜夏ぐらいまでには終わってしまうので、そろそろ映画スタジオも自ら「Blu-ray 3Dタイトルの流通をさせ始めないといけない」と考えるフェーズに入っている。

 すでに3Dテレビを購入している方にとっては、なにをいわんやという状況だろうが、この問題は時間が解決してくれる。現在は3D作品のオーサリングを行える場所も限られているが、そのうち制作のスループットも上がり、既存の3D映画がBlu-ray 3Dソフトとして発売されていくサイクルが確立されるだろう。

 ただ、3Dで見るコンテンツの多くは映画だ。テレビではなくプロジェクターの大画面で見たいという人も少なくないはず。ということで、今回から数回で3Dプロジェクターの現状を紹介することにしたい。

ts_vpl01.jpg ソニーの3D対応プロジェクター「VPL-VW90ES」

 プロジェクターで3Dを表示する手法は大きく分けると2つある。まず、両目用の映像それぞれに異なる偏光をかけたり(IMAXやRealDなど)、異なる特性のカラーフィルターを施したり(Dolby 3Dや前時代的アナグリフ)して、光学フィルターを通して見るタイプがある。もう1つは3Dテレビで使われている手法で、高速で左右の映像を表示し、その表示タイミングに合わせて液晶シャッター付きメガネで表示を行うフレームシーケンシャル方式だ。

 前者と後者には、それぞれ長所と短所がある。次週以降でそうした部分を整理しつつ、実際の製品の3D対応状況をお伝えしたい。

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