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“見えないトコロ”が進化したラックシアター、ヤマハ「YRS-1100」新旧製品比較(2/2 ページ)

» 2010年10月29日 17時20分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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“壁ピタ”設置ができる理由

 さらに興味をひかれたのが背面部分だ。天板の中央に細長い切り欠きがあるのでこれは何かと尋ねたところ、テレビを壁寄せ方式で固定する金具用のスペースだという。そう、新ポリフォニーは壁寄せ金具を使用して、本当に「壁寄せ」できるのだ。

ガラス天板にも切り欠きがあり、オプションの壁寄せ金具がきっちりとはまる。もちろん、テレビを載せたときはケーブル類の出口として利用できる(左)。手近な壁に寄せてみたところ。天板の端が壁にぴったりとつく(右)

 「それって当たり前の話じゃないの?」と思う人がいるかもしれないが、実は違う。ほとんどのシアターラックでは、壁寄せ金具を利用すると背面から金具の分だけ後方に出っ張ってしまうため、ピッタリと壁に寄せることができない。しかしYRS-1100では、金具を付けてもラックの背面がツライチになってくれるため、壁にピッタリ寄せることができる。

 さらにスピーカー部分の背面が一段引っ込んでおり、サブウーファーの背圧逃げを兼ねた切り欠きが天板部分の下側に設けられているため、ケーブルがじゃまをして寄せられない、ということもない。スタイリッシュな外観を持つだけではなく、ラックとしても本当によく考えられた造りといえる。

壁にぴったり寄せてもバスレフポートの後ろに空間ができるようになっている(左)。従来機「YRS-1000」の背面。一見、スッキリしているように見えるが、壁にピッタリ寄せるとバスレフポートがふさがれてしまう。ケーブルの逃げ場もない(右)

 さらにもう1つ、実はオプションの壁寄せ金具もかなり進化している。実際問題として、メーカーにもよるが、薄型テレビの背面は意外と凸凹しているもので、汎用の壁寄せ金具では対処できないことが多い。このため、「壁寄せにしたければ純正シアターラックを選ぶのが無難」というのが販売の現場では通説になっており、先代のポリフォニーでも対応機種はかなり限られていた。しかし新製品では、金具(YTS-V1200、オープン価格)のレイアウトを工夫して、強度を維持しながらパナソニックや東芝、日立など、多くのメーカーの新製品に対応できるようになった。

背面からみたところ。壁寄せ金具の支柱がしっかりと天板にはまっている(左)。新しい壁寄せ金具では、縦長の金具をテレビに取り付け、それを支柱にひっかけてネジ留めする仕組みだ。テレビの背面は意外と凹凸が多いものだが、テレビ背面に接している部分を減らすことで、さまざまなテレビに対応できるようにした(右)

サウンド面をチェック

 では、シアターラックとしての真骨頂、サウンド面はどうだろう。

 まずは映画を視聴した。BD「2012年」では、デジタル・サウンド・プロジェクター技術によるサラウンド感は十分。左右や斜め後ろからもさまざまな効果音が聴こえてくる。一体型サラウンドスピーカーながら、音にびっしりと包まれているステージングの確かさには毎度のことながら驚かされる。これぞヤマハといえる、上質なサウンドフィールドだ。

 BDソフトを「300」に替え、リニアPCM5.1チャンネルで音質をチェックしてみる。さすがに上位シリーズの「YSP-LC4100」(ラック一体型のYSP-4100)には及ばないが、中位機なりに納得できる音を聞かせてくれた。あえて弱点を挙げるなら、中低域の線の細さが気にかかる。とくに低音は、ボリューム感が不足しているため、迫力に欠ける傾向があった。

 一方、「アンジェラ・アキ」などのライブを見ると、さずが楽器も作っているヤマハというべきだろう、ピアノの音色がとても自然だ。高域への伸びや帯域過渡特性に優れているのだろう、小編成のクラシックや弾き語り系のポップスだったらなかなか楽しめそうだ。


 新ポリフォニーは、デザインだけでも充分に魅力あるモデルでありながらも、サウンドにも手抜かりのない、なかなかの秀作であると分かった。なにより、AVラックとしてのカタチを追求し、ユーザビリティーを向上させる工夫が随所に見られたことは、既存のラックシアターに不満を持っていただけにうれしい。フローリングの洋室に置くスタイリッシュなシアターラックが欲しいという人には、迷わずお勧めできる1台といえる。

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