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2010年版、麻倉怜士の“デジタルトップ10”(後編)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/3 ページ)

» 2010年12月27日 11時00分 公開
[聞き手:芹澤隆徳,ITmedia]
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第3位:B&W、「800 Diamond」(→音楽シーンを変える、B&W「800 Diamond」の衝撃

――第3位はB&Wの「800 Diamondシリーズ」です。トップ10にいくつものスピーカーがランクインしていますが、今年はオーディオが豊作だったようですね

B&Wの「800 Diamond」。ダイヤモンド・ツィーター、150ミリのミッドレンジ、250ミリのウーファーを2基搭載した3Way4スピーカーだ。価格は178万5000円(ローズナット/チェリー)、189万円(ピアノ・ブラック)

麻倉氏: 本当に今年は良いスピーカーが多く登場しました。この連載でも、エラックの「180シリーズ」やKEFの「Qシリーズ」、フォーカルの「ステラユートピア」などを紹介してきましたね。その中で、最高のものを選ぶなら、やはりB&Wの800 Diamondシリーズではないかと思います。

 最近もビックカメラのイベントでスピーカーを取り上げたのですが、B&Wならではの音楽性がまことに素晴らしい。単に音が物理的に出るのではなくて、音楽が自発的に鳴っているような、音楽志向の響きがします。鳴り方のクオリティー感がいいのにプラスして音楽性が素晴らしい。旧作にくらべて音の情報量が圧倒的に増えました。旧作は、主旋律はフィーチャーされて良く聞こえるものの、副旋律はお団子状態のハーモニーになりがちでした。それが今回は、すべて聞こえて、その上ハーモニーを奏でます。クラシックをはじめとして、音楽系では最高の表現力といえるでしょう。

第2位:BD「サウンド・オブ・ミュージック」

――第2位には、20世紀フォックスのBlu-ray Disc、「サウンド・オブ・ミュージック」がランクインしました。製作45周年記念HDニューマスター版ですね

麻倉氏:私は過去に販売された「サウンド・オブ・ミュージック」のパッケージソフトやエアチェックをほとんど持っていますが、今回のBDはDVDより100倍は良いです。例えば、芝生のシーンの見え方、マリアの髪の毛の感じなどが大きく違います。従来のものは、ハイビジョンであってもさまざま。例えばNHKで放送したものは解像度は高くても情報量が少なめ、WOWOWで録画したものは、シャキシャキした印象ですが、ノイズも多かったと思います。

20世紀フォックスのBlu-ray Discサウンド・オブ・ミュージック」製品情報サイト

 今回のBlu-ray Discは、オリジナルネガを8K4Kでスキャンして、4K2Kでレストアを行い、最後にフルHDに落としたものです。2005年、最後の劇場公開用にロバート・ワイズマン監督が色補正をし直したものを使用しています。

 映像はものすごく情報量が多いですね。例えば前述の芝生ですが、これまでは単なる緑に見えていたところが、今回は「けっこう枯れた部分がある」といったことまで見て取れます。また、マリア先生の金髪の微細な輝きも素晴らしい。これが監督が欲しかった色なのだとよく分かりました。

 劇場の音は、後方に1ch、前方に5chという構成でした。BDでは、それを7.1chのDTS HD MAにしていますが、画像と音像にまとまりがあって、すごく良いです。一般的な5.1chソフトでは、セリフがセンターからしか出ませんが、サウンド・オブ・ミュージックは違います。セリフが人物のいる方向から聞こえます。

 それにもう1つ。パッケージも素晴らしいですね。特典は、写真集にオルゴールなどとても豪華です。特典を見ると、いかにレストアしたか、歴史的背景など、「サウンド・オブ・ミュージック」の世界がよく理解できます。これらをまとめたパッケージとしての楽しさがあります。

 例えば「Apple TV」のように手軽な仕掛け(VoDなど)も良いですが、やはりお気に入りのコンテンツはコレクションしたいものです。パッケージが豪華になっていると、コンテンツを見ないときも楽しめます。LPの時代はジャケット自体が芸術でした。ディスクそのものだけではなく、付随する物理的なものがコレクションマインドを刺激してくれる。作品としてのありがたみが増すというものです。

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