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「2Dでも最強に」、東芝の大型グラスレス3Dレグザ2011 International CES

» 2011年01月05日 21時37分 公開
[小山安博,ITmedia]

 東芝は1月4日(現地時間)、米国ラスベガスで6日に開幕する「2011 International CES」の直前イベントを開催し、裸眼立体視対応の“グラスレス3Dレグザ”やPCのデモ展示を行った。東芝ビジュアルプロダクツ社映像第一事業部の村沢圧司事業部長は、「一昨年のCELLレグザ、去年末のグラスレス3Dレグザのように、どんどん新しいもの、技術が評価されるものを出して、元気なテレビ事業を創出していきたい」と意気込む。

東芝ビジュアルプロダクツ社映像第一事業部の村沢圧司事業部長(左)。先進国に比べて新興国が今後大きく伸びると予測(右)

 東芝は、家電エコポイント制度終了後の日本は一気に販売数が下落するものの、エコポイント需要がなかった頃に比べると微増で推移すると予測している。2008年度は898万台だったテレビ販売台数は、2009年度は1425万台となり、2010年度は2300万台と予測されている。さらに2011年度には1300万台、12年度には900万台まで下落するが、2008年度の規模は確保できるとの予測で、「エコポイントによる特需から一転して安定期に入る」(村沢氏)。

 東芝では、国内のテレビ総数を約1億2000万台と予測しており、今年3月までに約6600万台が地デジ対応に置き換わるとしても、残る約5400万台が潜在需要として残ると考えている。もちろん、これがすべて地デジ対応に買い替えられるわけではないが、「需要が多様化し、そうしたニーズに対応する商品企画、商品展開が必要になる」と村松氏は指摘する。

日本市場はエコポイントのおかげで急増したが、今後は通常通りに戻る(左)。今後は2台目、3台目の買い替え需要がポイントになるという(右)

 海外では、先に発表した新興国戦略に加え、北米市場でも新製品に加えて販売チャネルを強化するなどの施策を実施。現在7〜8%程度のシェアを、2011年度中に10%まで引き上げたい考えだ。

東芝では「北米市場」を米国、カナダ、メキシコに設定しており、それぞれで販売を強化し、シェアを拡大する

 こうした事業戦略の一環として、2011年度は新たな映像エンジン「CEVO ENGINE」(シーボエンジン)を導入する。CEVO ENGINEは、これまでCELL Broadbandプロセッサ上でソフトウェアとして動作していた部分をLSIとしてコストを抑え、ハイエンドから普及価格帯までをカバーするもの。精細感や諧調表現といった画質の向上をはじめとする「CELLレグザ」の「DNA」(同)は継承され、さらにネットワーク機能や省エネなどの環境性能も向上するという。

「CEVO ENGINE」は、高画質、ネットワーク、高機能の3つの観点で開発された。CELLのDNAを受け継いだエンジンとされる

画質の向上だけでなく、ネットワーク対応や環境品質にも配慮

 また、東芝は昨年末に裸眼立体視に対応した「グラスレス3Dレグザ」(12V型、20V型)の販売を開始したが、今年はこれを大型化。「40V型以上」の製品を開発する計画だ。既存のモデルと同じく、インテグラルイメージング方式とレンチキュラーシートで裸眼立体視を可能とするが、さらに3Dと2Dの切り替え表示に対応。2Dでは超解像技術により4K2Kのパネル解像度を生かした「今まで見たことのない超高画質を実現していきたい」(同)としている。超解像技術では、複数フレームでの超解像を行う新技術も搭載する計画で、3Dでの高画質化だけでなく、村沢氏は「2Dでも史上最強のレグザ」と意気込んでいる。

 一方、CELLテレビの今後については具体的に明らかにされていない。今後の商品展開は「未定」としており、当面はCEVOに注力する模様だ。

裸眼立体視が可能なグラスレス3Dレグザ。家庭用だけでなく、デジタルサイネージとしても注目を集めた(左)。今年度は40V型以上(サイズは決まっていない)の大型グラスレス3Dレグザを投入する

3D、2Dのいずれでも高画質化を実現(左)。こうした新製品で幅広いニーズに応えていく

 発表会場には、56V型グラスレス3Dレグザのプロトタイプが持ち込まれ、裸眼立体視のデモを行っていた。現時点では一定距離、一定角度から最も3Dに見える、という状態だが、大画面でも十分に裸眼立体視が楽しめる。ただ、仕様の詳細はまだほとんど検討中で、どういったテレビとなるのかはまだ見えていない。なお、CESの展示会場では、さらに大型の65V型も展示する予定だ(→東芝、CESで大型「グラスレス3Dレグザ」やネットテレビを展示)。

展示されていた56V型のテレビ。まだ試作段階

 これに加えテレビとスマートフォンなどを接続して機能を向上させる「レグザAppsコネクト」も強化。国内で販売する2011年春モデルからは、7〜8割のテレビが対応するという。また、iPhone/iPadなどのiOS版に加え、春にはAndroid版のアプリも提供予定。iOSに比べて自由度が高いことから、Android版では一部の仕様を公開して、一般の開発者がテレビを操作するアプリを開発できるようにもしたい考えだ。東芝自身も新アプリをさらに拡充する考えで、村沢氏によると録画予約関連の方向性を検討しているという。

今年度、国内市場向けで目指すのは高画質化、ネットワーク強化、録画機能の強化(左)。そのひとつの役割を担うのがレグザAppsコネクト。新製品では対応機種を拡大するが、旧機種への対応は検討中だが難しいという

 裸眼立体視関連では、対応するノートPCも参考展示していた。こちらは全画面での3D表示だけでなく、動画再生ソフトのウィンドウ内の映像だけを3D表示するといったことも可能。テレビに比べてよりプライベートな利用を想定し、液晶上部のWebカメラが人の顔を認識し、その位置に最適な3D表示になるように自動調整する、といった機能も備えている。今年秋には発売したい考えだ。

裸眼立体視を実現するPC。顔を認識してその顔がある方向に最適に立体視できるようにリアルタイムに調整してくれる

 もう1つ、タブレット型の端末に超解像技術を取り込んだ製品も参考出展していた。次期Android OSでタブレット向けと言われる「Honeycomb」を搭載し、デュアルコアのARMプロセッサを採用。10.2インチの高解像度液晶やHDMI端子などを搭載し、HD動画の再生が可能で、超解像技術によってより美しく映像を再生できる。フロントとリアに2つのカメラを備え、無線LANに加えて3G通信も搭載するそうだ。

大画面液晶を搭載したタブレット端末。Honeycomb搭載で、超解像技術により映像のを高画質に再生できる(左)。HDMI端子も備えている

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