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ホーンスピーカーの理論を応用、ファイナルオーディオ“Piano Forte II”お年玉で買えるカナル型イヤフォン特集

» 2011年01月18日 12時46分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 独自の設計思想で、個性的なデザインの高級イヤフォンをリリースするファイナルオーディオデザインが、初の低価格モデルをリリースした。それが今回紹介する「Piano Forte II」シリーズである。

“Piano Forte II”は、ブルーとブラウンの2色

 インナーイヤー型イヤフォンにガイドカバーが付属したような外観は、ひと目で同社の製品と分かる個性が際立つ。その内部には15.5ミリというインナーイヤー型としても希有な大サイズのダイナミック型ドライバーをチョイス、ネオジウムマグネットの採用とも相まって、低域はもちろん幅広い帯域を余裕もって再生する。

 またドライバーの前面にプレッシャーリングを配置することで、ひずみを低減し、スピード感のあるサウンドも実現している。

ユーザビリティー

 耳側にイヤーガイドのようなカバーが付属したかのような、ファイナルオーディオデザイン独自の形状は、慣れるまでちょっとした違和感があるものの、不満に思うほどではない。イヤーチップレスに関しても同様で、最初は簡単に外れてしまわないかと不安になるが、ボディが比較的軽いこともあり、使い続けているうちに全く気にならなくなった。音漏れに関しては、カナル型と違い多少あるが、騒音レベルの高い場所ではあまり気にならない。

イヤーチップをつけずに耳に装着するスタイル

 少々試聴に手間取ったのが、ドライバーが大口径であるためエージングに多少の時間が必要だったこと。まる5日間エージング信号を鳴らし続けると、最初の時に比べて格段に抑揚感やリアリティーがよくなった。とはいえこれは聴いているうちに勝手に改善していく話なので、実際の使用にはなんの問題もないだろう。

サウンドの特長

 きめ細やかなニュアンスを漏らさず再現しつつ、抑揚も豊かかつダイナミック。大口径ドライバーの余裕が大いに発揮されている、良好なサウンドだ。しかしながら、試聴曲として用意したハードロックやJポップにはなぜか合わない。イヤーカバーを起因とするものだろうか、一部の帯域をスポイルする反射音が重なってしまうのだ。

 まだエージングが足りないのかと思い、もう1日鳴らし続けてみたが特に変化せず。気分転換にオペラを聴いてみたところ、まるで霧が晴れたかのようにクリアですべての演奏が如実に伝わってきた。歌声も通りがよく、感情も豊か。なるほど、これはいい。クラシックに関しては抜群の相性だ。

 この音を聴かされたら、「2万円の高級モデルです」といわれても納得してしまうだろう。そう思えるほど、解像度感が高く、ニュアンス再現の細やかさとダイナミックさのバランスがよい。ハードロックやハイテンポのジャズ、スカなどは得意ではないようだが、オーケストラやオペラ、ボサノバなどをよく聴く人にとって、これほどコストパフォーマンスの高い製品は希有といえる。

音質評価
解像度 (粗い−−−○−きめ細かい)
帯域幅 (ナロー−−−−○ワイド)
帯域バランス (低域重視−−−○−フラット)
音色傾向 (ウォーム−○−−−クール)

メーカー final audio design
製品名 “Piano Forte II”FI-DC1550M1
型式 ダイナミック型
ドライバー 15.5ミリ
音圧感度 108dB/mW
再生周波数帯域 非公開
インピーダンス 16オーム
コード長 1.2メートル
プラグ 3.5ミリステレオミニジャック
価格 オープン
関連リンク メーカーサイト

試聴環境

アルティメットイヤーズの「TripleFi 10」

 今回の試聴には、リファレンスとしてアルティメットイヤーズの高級機「TripleFi 10」を使用した。こちらは発売されてからしばらく経過しているモデルだが、フラット&ワイドな帯域特性やダイナミックでリアリティーの高い音色、ひずみなく整った帯域バランスなど、いまでも多くの人から人気を集めている。こちらをフルマーク(音色傾向に関してはちょうど中間)と考え、各モデルを相対的に評価した。




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